北大博物館のすごい標本

ノンフィクション

北海道大学の博物館に所蔵されている標本から、各ジャンルから10個ずつ

合計100個の代表的、価値ある標本を選出、解説された本です。

出版社は北海道新聞社。

ある意味、地元出版社だからできた本ともいえます。

北大博物館、正式名称は「北海道大学総合博物館」

北海道大学開設当時から採取された標本や、国内外フィールドワークにて採取された標本などが所蔵されています。

また北海道大学函館キャンパス内にある「水産科学館」にも標本が所蔵されています。

北大博物館は基本無料で入館することが出来ますが、大量の資料に説明を読んでも

「うーんよくわからんな?」とちょっとみて終わってしまうこともしばしばです。

(個人の感想です)

この本をさらっとでもいいので見てから遊びに行くと、さらに面白さが深まるのではないでしょうか。

陸上植物
1.ヨコワサルオカゼ
2.エゾゴマナ
3.オオバナノエンレイソ
4.エゾエンゴザク
5.テシオコザクラのタイプ標本
6.イトイバラモのタイプ標本
7.ウリュウコウホネのタイプ標本
8.レブンアツモリソウのタイプと推定される標本
9.ユウシュンラン
10.イチヤクソウのアルビノ株

※「タイプ標本」とは、その生物を定義するための標準的標本。

「ホロタイプ(正基準標本)」「シンタイプ(等価基準標本)」などがある。

・7.ウリュウコウホネのタイプ標本は1994年に伊東浩司教授により採取されていましたが特徴など報告はあれど正式な学名発表がされていなかったので、2005年に高橋秀樹らに再採取、あらためて記載されたそうです。

標本ひとつでも物語があるのですね!

菌類
11.ヘビキノコモドキ
12.ポプラトヤマタケ
13.ヒメノタケ
14.ココガネテングタケ
15.タマゴテングダケモドキ
16.チャナメムツタケ
17.カラハツタケ
18.キホウキタケ
19.オオキヌハダトマヤタケ
20.ツチチャヒラタケ

藻類
21.ナガコンブ
22.ルモイイワノカワ
23.カサノリ
24.チシママリモ
25.エンドウモク
26.渦鞭毛藻
27.イカダコノハ
28.ヤタベクサ
29.ヨナグニソウ
30.エキシカータ

30.エキシカータとは「乾燥標本集」のこと。博物館同士で交換して収蔵コレクションを充実させるなど目的で、同じ内容で数十組ほどがつくられるそうです。

なるほど!

昆虫
31.ウスバキチョウ
32.アリクイエンマムシ
33.クモフンバエ
34.ヨトウガ
35.イチジクホソガ
36.コバチ(͡コガネバチ類)
37.アイヌキンオサムシ
38.ヤマトサビクワガタ
39.ヨーロッパの蝶の標本群
40.昆虫の大きさの多様性

35.イチジクホソガ。この標本写真どうみても葉っぱ…おかしいな?と解説を読むと「潜葉性昆虫」とあります。葉っぱの模様と思っていたのは虫の食痕で、この葉っぱのなかに幼虫がいるようです。うわー…いろんな昆虫がいるのですねえ。

魚類
41.シシャモ
42.キチジ
43.ビワアンコウ
44.ユキホラアナゴ
45.イトヒキカガミダイ
46.ラウスカジカ
47.タンガニイカ湖産カワスズメ科の一種
48.ワカサギ
49.ブラウントラウト
50.イトマキエイ

47.タンガニイカ湖産カワスズメ科の一種。こちらが特徴的な表紙の写真になります(一部が表紙になっています)。タンガニイカ湖はタンザニア西端にある淡水湖。内戦、クーデターが起きている政情不安がおおきい場所で行けない場所も多いそいうです。フィールドワークを行いたくても社会情勢で出来ない、というのは考えたこともなかったです。

無脊椎動物
51.ミズダニの一種
52.ヒメヒトデ属の一種
53.セイスイプレーンヒラムシ
54.シンタヒモムシ
55.スナムカシゴカイ
56.フトミミズ属の一種
57.イトミミズの一種
58.ハナダカアプセウデス
59.エビヤドリムシ科の一種
60.サンティア科の一種

古生物
61.ニッポノサウルス
62.デスモスチルス
63.マチカネワニ
64.タルボサウルス
65.プラテカルプス
66.三葉虫
67.ユーリプテルス
68.ニッポニテス
69.メソプゾシア
70.ゴードりセラス

岩石・鉱物
71.幌満かんらん岩
72.マントル捕獲岩
73.プチスポット溶岩
74.内陸火山の溶岩
75.カーボナタイト
76.デカン高原の溶岩
77.縞状鉄鉱層
78.コバルトリッチクラフト
79.光竜鉱山の金鉱石
80.羽幌鉱山の鉱石

考古
81.ヒグマの頭骨
82.オホーツク式土器
83.擦文土器
84.ヒレナガゴンドウの頭骨
85.針入れ
86.銛先
87.銛先鏃
88.骨偶
89.柄付きナイフ形鉄器
90.石錘

学術資料アーカイブ・科学機器
91.気象学講座関係フィルム
92.牧野佐次郎関係映像コレクション
93.水産学教授用掛図コレクション
94.庭園学関係ガラス乾板コレクション
95.八木健三スケッチブックコレクション
96.チセリウス式電気泳動装置HT-B型
97.Otto Himmler社製顕微鏡
98.蒸発計(室外蒸発皿)
99.オシログラフ記録器
100.和文タイプライター

各章のあいだに、どのように標本がつくられているかの道具についてのコラムと、北海道大学にゆかりのある教授せんせいの活躍が掲載されています。

標本というものはこうきっちりかっちり教授やスタッフさんで作られているイメージだったのですが、こちらではボランティアさんが作成や保存整理を行っているそうです。

(場所によって異なると思います)

今まで整理されていなかった標本の中から発見が…!ということもあるようなので、またあらたな発見が紙面をにぎわすかもしれません。

タイトル:北大博物館のすごい標本
著者:北海道大学総合博物館
出版社:北海道新聞社

北大総合博物館のすごい標本

コメント

タイトルとURLをコピーしました