【オリンピックイヤーだったからこそ読みたい】義足ランナー: 義肢装具士の奇跡の挑戦

ノンフィクション

今回紹介するのは、義肢装具士とその義足で走ってる方々の物語です。

オリンピックイヤーだった今年のうちに、
オリンピックにまつわる本が読みたいと思いチョイスしました。
この本にしたきっかけは
「パラリンピックの義足の選手、あの義足かっこいいよね」
「ロボットっぽいよね」
「でも義足についてなんにもわかんないなあ」
という些細なやり取りからでした。
この本の表紙には金属板がカーブしたものが義足となってるものを着用したランナーの
足元を写したものが使われています。
「バネ板」と呼ばれるものです。
バネ板の上にはソケットと呼ばれる足と義足をささえる器具も写っており
それに模様があって、入れ墨っぽいなとも思っていました。

この本は一人の義肢装具士との出会いで
義足の人が走るなんてとんでもない!
と思われていた時代に
走ること、スポーツすることの喜びをふたたび知った方々の物語です。
全9章、8人の選手について書かれています。

1990年代に義肢装具士の臼井二美男さんは
「義足でも走れるのではないか」
と勤務していた病院にて義足をつかっている女性に声をかけます。
8人の男女が臼井さんと出会い、走り、
ひとによっては別の競技もはじめます。
臼井さんは「おいでよ」「やってみない?」くらいの勧誘で
しつこく誘っていたわけではありません。
「じゃあ」となんとなく来た方にそっと寄り添い、躊躇している方にそっと寄り添うだけなのです。

この「走る」という競技は
「どの部分から切断されているか」
で難易度がかわります。
足首からの場合と、太ももからの場合
走る時に切断面にかかる重さやバランスのとり方、走り方が全く異なります。
義足はその人それぞれに合わせてつくるのです。
普段の日常生活用の義足、スポーツ用の義足
共に同じように違和感なく使えないと競技の時影響が出てしまいます。
スポーツ用の義足を使いこなせば使いこなすほど
健康な足や腰に影響がでるのです。
そのフォローをしているのが義肢装具士なのです。

声をかけられて「じゃあ」となんとなくはじめてみて、
「走る?無理でしょ」から「楽しい!」「もっと記録を伸ばしたい」
「じゃあどうすればいい?」
そのすべての始まりが「風をかんじる」
走った時に風をかんじました。
これをまた感じたいと続けるきっかけになった人が多かったのが印象的です。

背中をそっと押して、個人の義足のメンテナンスをする。
練習するかしないかを決めるのは個人の問題で、基本的に本人まかせ。
休日にグラウンドを確保したり、自分の持ち出しでボランティアで行われている練習会。
この練習会に参加することで、少しでも「生きる」ことに前向きになってほしい。
「走れた!」という成功体験で別のことに挑戦できるようになるかもしれない。
足を切断したといことは、それだけ重いことでもあるのです。
それを私たちは「かわいそう」と決めつけがちです。
でもその先があること、歩ける走れることを
私たち以上に楽しんでいる姿は素敵だなと思います。

義足ランナー: 義肢装具士の奇跡の挑戦

著者:佐藤次郎
出版社:東京書籍
発売日:2013/1/25


【本日のサムネイル】
義足のランナーのイラスト(パラリンピック)
両足に義足を付けた足に障害のある人が、陸上競技をしているイラストです。

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