【いつ読んでも色褪せない】象られた力

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文芸

【2011/01/14 (Fri) 09:48】

象られた力

飛 浩隆 

  • 文庫: 423ページ
  • 出版社: 早川書房 (2004/9/8)
  • ISBN-10: 4150307687
  • ISBN-13: 978-4150307684
  • 発売日: 2004/9/8
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.8 cm

・目次 

デュオ
呪界のほとり
夜と泥の
象られた力

惑星“百合洋”が謎の消失を遂げてから1年、
近傍の惑星“シジック”のイコノグラファー、クドウ円は、
百合洋の言語体系に秘められた“見えない図形”の解明を依頼される。
だがそれは、世界認識を介した恐るべき災厄の先触れにすぎなかった…
異星社会を舞台に“かたち”と“ちから”の相克を描いた表題作、
双子の天才ピアニストをめぐる生と死の二重奏の物語「デュオ」ほか、
初期中篇の完全改稿版全4篇を収めた傑作集。
(Amazonより

去年、伊藤計劃氏とともに
私の中でいちだいムーブメントだった著者の初期作品。
SF作品である。
だいたい10年前に書かれたもので、
しかしまったく色あせてない、というお決まりの言葉しか浮かんでこない。
個人的には「夜と泥の」の表現にかなり感銘を受けて
挙句にひとつはなしを書いてしまったほど。
代表作品「象られた力」は
某ファンサイトに、こわい話とあって
読む前は「なにそれ?」だったが
いまはうなずける。
簡単に感想を言ってもいいのか毎回悩む。
いろんな解釈があるだろうし、彼の作品は形はかわっても
根底が変わってない。
おなじ場所に総てがあるようで
どんな感想を述べたとしても
それすら著者の思惑な気がしてならないのだ。

タイトル:象られた力
著者:飛 浩隆 
出版社:早川文庫JA

【2020/10/27追記】

本を読んだ人を殺させる能力があるとしたら殺されたいと切に思う。

読むと一週間はとらわれれてしまう。

著者のとある本を読み終わってトイレにいって一時間立てなかったことがある。

脳が、感情が処理できない。追い付かない。いったい自分は何を読んだのか。

確かに文字は日本語で物語でSFだった。なのにそれが支配して戻ってこれない。

みためはいつも通りの生活でも、知らなかったことにはできない。

あんな世界がこの中におさめられている。

恐怖であり、狂喜であり、兵器のようなものだと思うと同時に

これから読む人が存在するということに嫉妬する。

あの世界に初めてもぐることを心底うらやましく思う。

甘美で、中毒性がある、血なまぐさい未来にいける幸せよ。

たいていの場合一冊気に入っても他のはちょっと、ということがほとんどなのだが

著者の場合はもはや私の一方方向の恋のようなものである。

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