【極上のSF体験を】グラン・ヴァカンス/ラギッド・ガール 廃園の天使シリーズ

文芸

【初回公開:2011/01/19 (Wed) 14:31】

グラン・ヴァカンス
ラギッド・ガール

飛 浩隆

・グラン・ヴァカンスデータ

  • 文庫: 494ページ
  • 出版社: 早川書房 (2006/09)
  • ISBN-10: 4150308616
  • ISBN-13: 978-4150308612
  • 発売日: 2006/09
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 2.4 cm

仮想リゾート“数値海岸”の一区画“夏の区界”。
南欧の港町を模したそこでは、
ゲストである人間の訪問が途絶えてから1000年、
取り残されたAIたちが永遠に続く夏を過ごしていた。
だが、それは突如として終焉のときを迎える。
謎の存在“蜘蛛”の大群が、街のすべてを無化しはじめたのだ。
わずかに生き残ったAIたちの、絶望にみちた一夜の攻防戦が幕を開ける―
仮想と現実の闘争を描く『廃園の天使』シリーズ第1作。

・ラギッド・ガールデータ

文庫: 496ページ
出版社: 早川書房 (2010/2/10)
ISBN-10: 4150309833
ISBN-13: 978-4150309831
発売日: 2010/2/10
商品の寸法: 16.5 x 11.1 x 2.5 cm

人間の情報的似姿を官能素空間に送りこむという
画期的な技術によって開設された仮想リゾート〈数値海岸〉。
その技術的/精神的基盤には、
直観像的全身感覚をもつ一人の醜い女の存在があった――
〈数値海岸〉の開発秘話たる表題作、
人間の訪問が途絶えた〈大途絶〉の真相を描く「魔述師」など全5篇を収録。
『グラン・ヴァカンス』の数多の謎を明らかにし、
現実と仮想の新たなる相克を準備する、待望のシリーズ第2章。

去年の最大級の衝撃。

読んだ当時、そのままトイレに行って一時間立てなかった。
脳内処理がしきれないと当時のついったでつぶやいたが
今まで様々な本を読んできてこれほどの衝撃はなかった。

なので本当は書評をためらっていた。
しかし、書評待ちの積んだ本の一番上に
たまたま鎮座していたこれを無視できるほど…

私はあの夏。
数値海岸でしんでもいいと思った。
目の前で映像が浮かびあがるような感覚
完璧までな夏の、生命あふれる世界と残虐。
そもそも私はそんなに残虐行為は好きじゃない。
本はまだ耐えれるが、映画は一切受け付けない。
でも何故か。
この流れるようななめらかさでおこる残虐にうっとりした。
今思うと、どう考えても恍惚してた。
たしかに夏の終わり、私は数値海岸にいたとしか思えない。

で。思ったわけです。
知らないジャンルを読んだから衝撃受けただけだ。
そう思い込もうとした。
正直、なんか怖かった。
でもやめれなかった。
グラン・ヴァカンスを読み終わる前に
ラギッド・ガールを購入していたのだ。

阿形渓しか覚えられなかった。
イメージはアンナ・カスキしかなかった。
ラギッド・ガールは5編からなる短編小説集なのだが
奇妙なことに私は全くアンナの名前を受け付けなかった。
今もやっと作中から探してきた。
「ああそんな名前だった」という感覚。
数値海岸の成り立ち。
グラン・ヴァカンスでおこったことのはるか前の出来事。
それよりも阿形渓とアンナがあまりにも強烈だった。

のめりこんでるとはちょっと違うと思いたい。
でも奇妙な経験で
でも私にとっては、しあわせだった。
うまく書けてる自信はまったくない。
でもこの世界に出会えて、感謝してます。

タイトル:グラン・ヴァカンス

     ラギッド・ガール
著者:飛浩隆
出版社:早川文庫JA

【2020/10/27追記】

釧路から標津、網走への旅行のお供に持ってきました。

釧路でなぜか所用で病院に立立ち寄り、そのできたばかりのやたら真っ白い病院の待合室で虚数海岸に潜りました。

あれから10年ですがいまだに虚数海岸にいます。

誰も来ることのないサービスが終了するその場所での殺戮と、成長するAIの攻防と

それらを作った象女に会いたい日々です。

好きすぎてつらい本当は薦めたくない本です。

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