2022年3月にテレビ局を退社、
研究職に就くと発表された人気アナウンサー
桝太一さんの半自叙伝です。
どんな内容なの？
著者がどのような環境で育ち、
どのように「生き物」、
生物に触れてきたのかがわかる内容となっています。
１ 生き物との出会い
ゲームと同じくらいムシを追いかけるが好きだった著者。
だからと言ってガブトシムなどスター昆虫が好きだったわけではなく
身近にいるムシがとにかく大好き。
グッピーの出産やファーブルの伝記に感動した小学校時代。
中学ではヘッセの「少年の日の思い出」に感銘をうけます。
そしてなぜかマッチョで過酷だった生物部。
中高一貫校だったため、先輩方はきっと大人に見えたでしょう。
そんな生物部ではマラソンや筋トレは当たり前。
夏休みには高山にて観察合宿。
慣れないキャンプをしながらチョウの魅力に惹かれていきます。
２ チョウ男の日々
この生物部、
なんと夏に合宿だけではなく観察旅行にもいっています。
東京近郊の山々や山梨などの他に
沖縄や西表も訪問しています。
その時のチョウにまつわるエピソードが書かれています。
チョウの捕まえ方も詳しく書かれています。
あらすじにある
「デートとムシ取りの究極の選択」
このエピソードもここで読めますよ。
３ 有栖川班の挑戦、そして理系へ
有栖川とは学校の近所にあった「有栖川宮記念公園」のことです。
公式HPを拝見しましたら、とても素敵な自然あふれる公園でした。
そんな公園内にある植物をすべて調べてかつ
文化祭にジオラマにして発表という
壮大な計画の章です。
青春感がすごいです！
４ アナゴ大学生
大学生となった著者が入ったサークルが「海洋研究会」
そこですっかり海に魅了されます。
大学四年の卒論に
アナゴの耳の研究をはじめました。
どうなることでしょう。
研究に使用するために捕まえたアナゴはみなさんでおいしくいただいたとのこと。
なんともうらやましい！
５ アサリ漬けの修士課程
もともと大学院まで視野に入れていた著者は
卒論研究時に自分が研究職にむいてないのでは？
と思うようになりました。
アナゴからアサリに研究対象を変えての日々が始まりました。
実はアサリはあまりにも身近なため、生態についてわかっていないことが多いのです。
その研究をしていた二年間、
「自分には研究者としての素質がない」
と感じ始めていました…
６ 「理系アナ」の試行錯誤と現在地
内向的な自分の殻をやぶりたい！
とアナウンサー試験を受験。
紆余曲折ありましたが、なんと日本テレビに採用されました。
その後の活躍は皆さんのご存じのとおりです。
読んでみて
あまりテレビを見ない私でも知っているアナウンサー。
日本テレビ系の番組で自然に関する内容の時の出演が
「どう見てもガチオタでは…？？？」と
ずっと思っていました。
自然で生き物と触れる、しかもわかりやすい動物ではなく
磯にいる生き物をみてめちゃくちゃいい笑顔！
なんでこんなタイプの人がアナウンサーやってるんだろう…
ずっと思っていました。
生き物オタクがアナウンサーやっていたのですね。
この本でよーくわかりました。
一般的に子どもの頃はみんな生き物、昆虫だーいすき！
ですが徐々に離れていくのが一般的です。
それでも生き物が大好きな著者をそっと見守っていた親御さんが素晴らしい！
（高山合宿にコッソリついて行くのはびっくりですが）
中高時代の部活動がその後の人生に大きく影響するのだな
とよくわかりました。
いい先輩といい環境に恵まれました！
そういう中で大学時代の
「研究者に向いていないかも…」は
ご本人にとってはショックだったと思います。
そこからのアナウンサー志望は振れ幅が大きすぎると思いましたが。
自分を冷静に判断し、何が足りないかを考えるのは
まさしく研究を重ねてきたからだと思います。
すき
という気持ちを大事にしたからこそのいま。
そういうものが詰まった本でした。
お子さんの本棚にそっと入れたい一冊です。
【あらすじ】
筋トレと登山合宿が必須の「体育会系」生物部の過酷な日々。
デートとムシ取りの究極の選択。
アナゴ採集で船酔いと戦い、
アサリ掘りで砂にまみれた大学での研究生活。
そして、未知のテレビ業界へ―。
生き物とともに成長し、
理系魂で困難に立ち向かってきた日々を語る、
人気Ｎｏ．１生物オタクアナの「ムシ熱い」青春記。１ 生き物との出会い
HonyaClub より
２ チョウ男の日々
３ 有栖川班の挑戦、そして理系へ
４ アナゴ大学生
５ アサリ漬けの修士課程
６ 「理系アナ」の試行錯誤と現在地
著者：桝 太一
出版社：岩波ジュニア新書
発売日：2014/7/19
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