まるい円柱のカタチの学校があるのをご存じですか?
北海道石狩市に
2年前まで使われていた円形の小学校、
その校舎が昨年から一般公開されています。
円型小学校ってなあに?
円形校舎(えんけいこうしゃ)とは、
ロタンダ(円形建築物)となっている学校の校舎である。
1950年代に多数建設され、北海道から鹿児島県まで広く分布していたが
以降は少子化や老朽化で解体され、2020年代前半には約30棟が残存するのみとなった「最も経済的に造る」ことを信念とする建築家の坂本鹿名夫が考案した。
廊下や壁、建設費用、建築面積、などが軽減される特長
風光の出入りが良く、教室は扇形で教員と生徒の距離が近く教員は全体を見渡せる利点がある直径30メートルほどの正円平面の外周と内周に、柱を均等に配置するラーメン構造である。
Wikipedia より
中心部は動線と設備の空間で、外壁一面のガラス窓を通じて背後から採光する。
各室は扇形に仕切られ、円の中心側に黒板を設置した。
※今回訪問した旧石狩小学校は坂本鹿名夫氏の設計ではないそうです。
【円形校舎が採用された理由】
・廊下や壁がすくないことで、建築コストが安いこと
・後方からの自然光が取り込めるので、採光が理想的
【円形校舎が消えていった理由】
・教室が扇形なので机などの配置が難しい
・生徒の増加に対応しにくい
・非常時の通路が中央の階段に限定される
こういった理由で円形校舎が少なくなっているようです。
どこにあるの?
住所は
〒061-3376 北海道石狩市横町39
札幌から車で一時間ほどの
石狩の海水浴場「あそびーち」の付近
天然温泉「番屋の湯」さんの手前左奥となります。
旧石狩小学校ってどんな学校だったの?
1956年 昭和31年に北海道で初めての円形小学校として建設されました。
二階建ての校舎となります。
2020年 令和2年に閉校となりました。
64年ものあいだ小学校として使われていたのですね。
建てられた後も生徒が使いやすいように
少しずつ近代的な設備も取り入れ、整えられていたようです。
実は予約制ですよ!
実はこちらの見学は「予約制」となっております。
原則一週間前までに予約が必要となります。
・公開期間:7月13日水曜日 から 9月29日木曜日 まで
・公開日:毎週水、木、土
・公開時間:10時~16時 (12時~13時は除く。)
※入館は15時30分まで
・見学料:無料
・見学方法:予約制
※原則1週間前までのご連絡をお願いしております。見学をご希望の際は原則1週間前までに、
下記にご連絡いただき、ご希望の日時をお伝えください。
見学時間は1時間ごとでお願いしております。
<午前>
10時から11時
11時から12時
<午後>
13時から14時
14時から15時
15時から16時
なお、12時から13時につきましては、見学は承っておりませんので、ご了承ください。連絡先
石狩市HPより
いしかり砂丘の風資料館(石狩市教育委員会文化財課)
Tel:0133-62-3711
Mail:bunkazaih@city.ishikari.hokkaido.jp
受付時間:9時から16時
※こちらの情報は
2022年度のものになります。
最新情報は石狩市HPまたは
「旧石狩小学校円形校舎」で検索してくださいね。
いってみたよ
外観
ベージュの壁が円を描いています。
後ろ側から。
非常階段はのちに設置されたそうです。
今はこんなふうに利用されています。
一階エントランスには、ここに通っていた生徒さんがつくった
学校内のジオラマが展示されていました。
同じく生徒さんたちが作った地域紹介コーナーも。
(現在はない施設もあるそうです)
一階部分は石狩市の各施設の設備を修理するスペース、
石狩市内にあった学校史の展示
また市内在住の人形作家の作品展示
校長室にはこの小学校の資料の展示などがありました。
二階部分は廃校になった学校の備品や
当時使われていた備品が置かれていました。
生徒さんたちがつくったもの
生徒さんたちが通っていた当時の掲示物はありませんが
一階と二階エントランスの手作り鏡、
各クラスの表示などが少し残っていました。
教室のようす
教室の後ろにはカーテンがあります。
普段見学者がいない時や、暑い時期はカーテンがひかれていますが
そのカーテンを開けるととても明るくなります。
(写真の色補正などはしてません)
天井の蛍光灯はのちにつけられましたが、完成当時はなく
それでも後ろから差し込む日差しでじゅうぶんに明るかったそうです。
(こちらは許可をいただいてカーテンを開けています)
ロッカーなどは職人さんの手作りで、きれいにはめ込まれて作られています。
湾曲になっているので製作は技術的に大変だったそうです。
四か所の廊下ですが、そこには小さなコート掛けが設えてありました。
下部には溶けた雪が落ちるため金属トレイがはめこまれていました。
ちょっとわかりにくいかもですが
教室の後ろ左右に扉があって、隣の教室にダイレクトに移動することが出来ます。
当時のあかりのこと
天井に丸い穴が開いていますが
これ蛍光灯やダウンライトではないのです。
もともとこのようなガラスがはめ込まれていて
自然光がここから階下に差し込んでいたそうです。
(緑の床は後に張られたものです)
屋上の屋根、二階のエントランス、一階のエントランス
それぞれにこのようなガラスの筒があって
当時通っていた方のおはなしによると
いつもとても明るかったそうです。
まなちゃん
二年生の黒板に
先生が描いたメッセージが残っていました。
2020年までここで実際子どもたちが学んでいたのです。
「まなちゃんもおうえんしてるよ!」
まなちゃんとはいったい…?
管理をされていた市の方にお伺いしましたら
「学校に花子さんとかいるっていうでしょう?
…まなちゃんがいるんですよ」
ここには閉校当時通っていた子どもたちがいまでも遊びに来るそうです。
「まなちゃんはね、本当にいるんだよ!」
まなちゃんはずっと子どもたちを見守っていてくれる存在のようです。
いってみて
何もしらないまま訪問したので
二年前まで使われていたことにびっくりしました。
大切にみなさんに愛されて使われていたことがわかる展示物や
建築当時の最先端技術がぎゅっとつまっていて
とても素敵な場所でした。
管理されていた文化財課kさまに
さまざまなお話、質問をお伺いしてしまいましたが
とても郷土資料に詳しく、
日ごろ「なんでだろう?」と個人的に思っていた疑問が
実は開拓時代までさかのぼることだったりと、すごく勉強になりました。
(その後お薦めしていただいた本を探しに図書館に行きました)
なにもなかった場所を開拓し、人々が集まって生活したから
この小学校もここに建てられていまがある。
そんな北海道の歴史の一部を少し感じれた学校でした。
ここ石狩市だけではなく
日本全国に円型校舎が現存しています。
なかにはいまだ現役の学校もありますので
みなさんのお住いの近くにもあるかもしれませんよ。
★北海道の開拓についてこちらの本おすすめです★
【本日のサムネイル】
学校の建物のイラスト(背景素材)
白い校舎と大きな校庭が描かれた、背景用イラストです。
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