「道に迷ったら沢を下るな。尾根に上がれ」
この本の出版元は
山と渓谷社という山岳系(山岳、アウトドア、自転車、など)
の本を中心に刊行されていらっしゃるの出版社です。
そんな山岳のプロが事故や遭難を啓蒙するために作られたのが(のだとおもいます)
この「ドキュメント」シリーズ。
ドキュメント 遭難シリーズはケース別6冊
山登りは手軽に行えると一般的に思われているレジャーですが
こんなに遭難のケースが細かいとは知りませんでした。
その中でも一番身近に感じた「道迷い遭難」を読んでみました。
ドキュメント 道迷い遭難
・南アルプス 荒川三山 1999年8月
・北アルプス 常念岳 2001年1月
・南アルプス 北岳 2001年9月
・群馬 上州武尊山 2002年5月
・北信 高沢山 2003年5月
・房総 麻綿原高原 2003年10月
・奥秩父 和名倉山 2005年5月
上記7例が収録されています。
どのケースも非難にあったみなさんの命が無事だったので
安心しました。
非難された方へのインタビューや当時のながれ、
どのように救助されたか、その後の思いなどが詳細に書かれています。
登山はしないのですが、地元が里山だった私がびっくりしたのは
山の中で突如あらわれる、木の枝に結んである蛍光ピンクのリボン
あれは個人でもつけていいのですね!
分岐点の看板がわかりにくい場合、
山頂までいって、また別の頂を目指す場合
途中の折り返し地点がすぐにわかるようにつけるなど
個々でもつけれることは全くしりませんでした。
そのリボンがつけっぱなしのせいで勘違いを発生させ
その果てに遭難に至ってしまったのは皮肉だなと感じました。
「道に迷ったら沢を下るな。尾根に上がれ」とは登山の鉄則だといいます。
ですが
「せっかくここまで下ったし」
「この斜面を登るのは無理」
など、遭難者は沢に向かって下っていきます。
「川につけばなんとかなるだろう。」
ですが
その川岸には木々が生い茂り、遭難者を探しにきたヘリコプターからは
その木々のせいで川はほぼ見えないことが多いそうです。
また緩やかな川岸があることはまれで
崖や滝が続いてることも多いそうです。
「道に迷ったら沢を下るな。尾根に上がれ」
その基本は遭難時は忘れてしまい、
「山を下れば助かる」
と沢に向かってしまうのでしょう。
大事なのは
「おかしいと気づいたら戻る勇気」
戻るのはあきらめではなく
命をだいじにすること。
一人でも遭難する人が減りますように。
著者:羽根田治
出版社: 山と溪谷社
発売日:2015/9/18
【本日のサムネイル】
遭難のイラスト
登山の最中に、山道で遭難して座り込んでいる男性のイラストです。
コメント