人間をお休みしてヤギになってみた結果

ノンフィクション

ヤギになってみるって、たいへんだ。

ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)

という本があります。
トースターをゼロから、原料から集めて作ったという破天荒な内容です。
(実は読んでいますが、レビュー待ちの山に積まれています…。)
その著者がその後どうしたのかが本書です。

「人間をお休みしてヤギになってみた結果」

もうなにを言ってるかわかんねーと思うが、状態です。
ですが
月曜日の朝に
「会社(学校)行きたくねえなあ、猫になりたいなあ」
そう一度は思ったことがあるかと思います。
それと似たような感じです。たぶん。

仕事でパッとしないし、恋人には怒られてばっかり
いっそ「象になりたい」と思ったのです、著者は。
「象」そうです、ぞうです。ぱおーん。
「いや、タイトルに「ヤギ」ってあるじゃん!?」
わかります、ですが、
最初は「象」だったのです。
それが途中にある出来事から「ヤギになりたい」となるのです。
その出来事から流転するように物事は動いていきます。


なぜ「ヤギ」なのか、
古代では「ヤギ」はどのような役割だったか、
ヤギにとって悩むとはなにか、(ヤギの思考をさぐる)
脳を操作して、他の動物になる体験をできるか
ヤギと同じ姿勢でいるための装具をデザインしたり
それをプロの人工装具研究者に依頼して作ってもらったり
ヤギの解剖をして骨格、内臓をみてみたり
ヤギと同じように草を食べたいのでそれらを消化する酵素を購入したり…
各方面からヤギになるために
各専門家に突撃しているのです。
ちなみに著者のお仕事は「グラフィック・アーティスト」です。
もう読んでいて、やりすぎ感もすごいですし
その文章が軽い(読者に話しかけるような文章)ので
おもわずツッコミをせざるを得ないのです。
そのツッコミが全く追いつかないのが本書です。


冒頭の前書トースター本以上にツッコミしかないのです。
そして装具作成をした方々には「死ぬなよ!」の言葉と
酵素を販売した会社からも「その使用法はやめてください」(意訳)
挙句にスポンサー様から
「象になるって言ってたけど、ヤギってなに?要説明はよ!!」の
メールが来る始末…
(スポンサーおったのかい!というさらなるツッコミが!!)
諸々の助言、苦言を押し切って著者はなんと
「ヤギになってアルプスの山々を登る」
のです。
もうなにを言ってるかわかんねーと思うが、状態です。(二回目)

スイスで実際ヤギになってる最終章は読んでからのお楽しみということで
写真のコメントにもツッコミしかないんですが
その写ってる著者の顔がまた真顔なんですよね。
人間休みたかったんじゃないのか…
もっとリラックスしてよ…
そう思わなくもないですが、その環境と達成したい事柄と方法が
あまりにアンバランスすぎて
生きて帰ってくれただけ十分なのかもしれません。
ここまで悪ふざけのようなことを本気で行えることは
ある意味才能なんだろうなと思いました。

ところで薄々思っている方もいらっしゃったかと思いますが
このプロジェクト、
なんと2016年にイグノーベル生物学賞を受賞しています。
やっぱり才能だったのかもしれませんね。



人間をお休みしてヤギになってみた結果 (新潮文庫)

著者:トーマス・トウェイツ
翻訳:村井理子
出版社:新潮社 
発売日:2017/10/28

【本日のサムネイル】
ヤギのイラスト
頭に大きな角が生えた、眠そうな顔の山羊(やぎ)のイラストです。

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