今回紹介する本は
湊かなえさんの
「人間標本」
です。
どんな内容なの?

人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな
蝶が恋しい。
Amazonより
蝶のことだけを考えながら生きていきたい。
蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。
あの美しい少年たちは蝶なのだ。
その輝きは標本になっても色あせることはない。
五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、再び飢餓感が膨れ上がる。
今こそ最高傑作を完成させるべきだ。
果たしてそれは誰の標本か。――
幼い時からその成長を目に焼き付けてきた息子の姿もまた、
蝶として私の目に映ったのだった。
イヤミスの女王、さらなる覚醒。
15周年記念書下ろし作品。
就学前のひととき、私は山奥の家に住んでいた。
その裏山には蝶があふれかえる楽園だった。
母に買ってもらった虫取り網と虫かごを手に山をかけまわる。
そこに入れた蝶は翌朝には死んでいた。
それをみていた父がある日提案をした。
「標本を作ってみないか」
こんな冒頭からはじまるこのミステリーは
蝶にまつわる物語でもあります。
大人になった私は蝶の目の見え方についての研究をしていた。
父親の友人の娘、留美は蝶の目からみたような絵を描く画家となっていた。
昔父が所有していた山の家を買った留美はそこで合宿を行うという。
その合宿の最後に自分の弟子を決めるという。
そこに息子であるイタルを参加させたいと連絡があった。
そこには5人の美しい少年たちと
留美、その娘安奈ががいた。
・榊 史郎
・SNSより抜粋
・夏休み自由研究 「人間標本」2年B組 榊 至
・独房にて
・面会室にて
5つのパートから構成されて物語は進みます。
・榊 史郎

この物語の主人公である榊 史郎の書いた手記。
なぜ少年らは殺されなけばならなかったのか。
史郎はなぜ殺したのか
それは息子であるイタルのためだと思っていました。
ここまでは。
・SNSより抜粋

ここで誰も知らなかった事件が発覚します。
発見者の当時の様子と、史郎の逮捕と手記の公開
そしてそれを読んだ人たちの勝手なSNSへの書き込み
・夏休み自由研究 「人間標本」2年B組 榊 至

史郎の息子であるイタルの手記です。
突然あらわれる、イタルの手記は
なぜこの殺人が行われたのかがさらに明るみとなります。
最後に書かれた
「おとうさんごめんなさい」
がイタルの気持ちなのでしょう。
・独房にて

史郎の手記とイタルの手記、
そこに書かれていないイタルとの最後の夜が書かれています。
それまであった矛盾がなくなった、ような気がしますが。
・面会室にて

刑務所の面会室にて史郎は安奈と対面します。
そこで安奈が語ったのは
予想もしていない出来事だった。
読んでみて

「イヤミスの女王」と称される湊かなえさんの作品を、今回初めて手に取りました。
イヤミスとは「読後にイヤな気持ちになるミステリー」の略称だそうですが、
本作で見ごとに、その洗礼を受けることとなりました。
本書の冒頭には、6枚の口絵が差し込まれています。
美しくどこか彫刻のようなそれらは、
作中で殺害された少年たちの「人間標本」なのです。
タイトルからある程度の予想はしていたものの、
決して気持ちの良いものではありません。
それなのに作中で標本の解説が出てくるたびに、
抗いがたい力に引かれるように口絵のページをめくってしまいました。
文章だけでは想像しきれない造形が視覚化されることで、
あろうことか「なるほど、こういう標本なのか」と納得
(もちろん、納得していい場面ではないのですが)させられてしまうのです。
物語は史郎とイタルという二人の手記、
そして独房で回想される記憶によって綴られていきます。
すべての矛盾が解消され物語が閉幕するかと思われたその時、
面会室に現れた安奈との会話でがすべてが覆されます。
真の犯人は、一体何を見せたかったのか。
誰の視点で物事を見るかによって真実はこうも無残に変貌するのかと、
ただただ唸らされる一冊でした。
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