三津田信三氏の幽霊屋敷シリーズ
一巻「どこの家にも怖いものはいる」
二巻「わざと忌み家を建てて棲む」
に引き続き
完結編の三巻です。
今回はどんな内容なの?
今までのお話は「幽霊屋敷」
つまり
「幽霊のでる家」でしたが
今回は
「家そのものが幽霊」というおはなしです。
どうでもいいですが
この編集者、おじいさまといい叔母さまといい
どんだけ怪談話の蒐集と
怪談話らしきものが勝手に集まるの…?
祟られてないの?
と勝手に心配してしまいます。
特に二巻を読んだ後だとそう思わざるを得ません。
二つの話
一巻は五つ
二巻は四つ
今回は三つ
巻を重ねるごとに話数が減ってるのが気になります。
あの家に呼ばれる 新社会人の報告
姉の家族が新しく住宅を作りました。
ですが姉の夫の急な転勤でそこに弟である主人公が住むことになりました。
ちょうど新入社まぢかで
ばたばたとそこに引っ越しをして新しい生活がスタート。
ふと気づいたのが、こんなにいい場所なのに
かたいっぽうの土地が空いたままなのです。
そのうち誰か買い手がつくだろう。
そう思い忙しい日々を送っていたあるひ
最終バスをのがしてしまい歩いて帰宅した時
遠くからみた我が家の隣、空いているはずのそこに家があったのです。
その家に入れない 自分宛ての私信
とある町にある小さな不動産やさん。
そこに「私」は一般客を装って訪問し、
とある一軒家を借りました。
不動産やさんも、ご近所さんも
「この家はいいわよ!」とお墨付き。
ですが「私」にはこの家が見えないのです。
「私」はそのからっぽの土地にキャンプ用品とテントを持ち込んで
そこに泊まります。
見えない家の中にいる状態です。
そしてその夜、ある出来事が起きるのです。
この家に囚われる 精神科医の記録
とある精神科に受診している患者。
その患者に箱庭治療を行うことにしました。
何度か治療を行ううちに、患者のあることが目に付くようになってきます。
そして患者は
「ひとりで作りたい」
と医師をその部屋から出ていってほしいともいうようになります。
数十分後戻っても箱庭は全く作られていないのです。
読んでみて
二巻の「わざと忌み家を建てて棲む」といい
この巻の「その家に入れない 自分宛ての私信」といい
なんでいわくつきの物件に興味もつかな!?
と思ってしまいました。
もはや恐怖体験されても
「自業自得では??」
という気持ちにさえなっていました。
今回は三つのお話のみなので
おはなしも幕間もボリューミーです。
今回の巻は1→3→2の流れではないか?
と結論づけられています。
一巻二巻が(やや)強引な印象だったので
今回はすんなり受け入れられました。
いままでで解決が丁寧に書かれていますし
三つのおはなしの間に起きていただろう物事も
そんなに突飛ではありませんでした。
ですが「家」が何なのかがはっきりしていないので
今回は「解決」となっていないところが
この本らしいと思いました。
三津田信三氏は今回はじめて作品を読みましたが
なかなか独特な作風なので
ちょっと怖いお話が読みたいな
と思っていらっしゃる方にはお薦めです。
【あらすじ】
HonyaClub より
もし何かが「一つずつ減っている」
または「増えている」と感じたら、この読書を中止してください。
今回、編集者・三間坂の家の蔵から発見されたのは、
厳重に封印が施された三つの記録。
それらはすべて「家そのものが幽霊」だという奇妙な内容で――。
三津田信三の最凶「幽霊屋敷」怪談、最新作!
著者:三津田信三
出版社:中央公論社
発売日:2020/7/20
【本日のサムネイル】
建築中の家のイラスト
土台や柱を組んでいる途中の、建築中の建物のイラストです。
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