漫画家 中村朝先生の短編集です。
どんな内容なの?
短編漫画が七編収録されています。
きみが小説家をみつけたら
とある家に忍び込んだ泥棒は、机上に原稿らしきものを発見します。
泥棒は毎夜毎夜忍び込み、その物語を読み続けます。
泥棒と作家の物語です。
白件
高校生男女5人のうち、男性4人が山中の廃村で亡くなった。
全員頭髪が真っ白の状態だった。
唯一の生き残りの女性は「おんなだったからたすかった」
そう話すだけだった。
民俗学な物語です。
トウテツの子
饕餮(とうてつ)という中国の神を父に持つ茶道部の部長は
父親譲りなのかなんでも食べてしまう。
なんでもとは「なんでも」
空間さえも食べてしまうのだ。
男子高校生ふたりの物語です。
三弦巻き
生まれつき味覚がわからない三弦(みつる)は
知り合いの子どもに時々夕食を提供することがある。
「味がわからないから安全のために自分でつくったもの以外食べない」
そういう彼に子どもは不思議そうである。
流行り神プロトコル
とある物件に何かがいる。
それは自ら「座敷童」という。
ちょっと変わった座敷童は新しい入居者に
「しあわせにしてあげる」という。
天帝少年
体育の授業中、ぼんやり空をみてたら何かが降ってきたので
それらを体育用品倉庫内に保護しました。
鳥の身体に人の頭のやつ
もう一人は鎧のようなものを着た男性らしきひと?
少年は二人をかくまい、そして家に連れていく。
お前のために言ってんだ(書きおろし)
屋台のおでん屋さんにふたり。
一人は漫画のネームを読んでいる。
学生時代に書いたものらしい。
もう一人はひたすらにそれを捨てるように勧めている。
読んでみて
何を書いてもネタバレになる作品ばかりなので
要約がそっけなくなってしまいました。
どの作品も
「えっ!こうなるの?」
という展開がこの後にくるのです。
全編そうなので、作者の熱量がすごすぎます。
最初Twitterかpixivで「白件」のサンプルを読み、
そのあと書きおろしの「お前のために言ってんだ」をTwitterで読み。
発売日翌日にぽちりました。
個人的に電子書籍はお風呂や銀行の待ち時間など
手持ちぶさたの時に読むので短編漫画を選ぶことが多いです。
たしかにこれは短い話が7編ですが
どれも濃いので片手間で読む系じゃなかった…と湯船で思い知りました。
「白件」はAmazonレビューにもありましたが
ドラマ化されてもおかしくない内容でした。
こういう民俗学系漫画あまりないのでうれしいです。
「きみが小説家をみつけたら」は初期の乙一先生を思い出しました。
どれもいい意味で裏切られるおはなしなのでお薦めです。
著者:中村朝
出版社:マックガーデン
発売日:2022/3/14
【本日のサムネイル】
自転車通学のイラスト(ブレザー・男子学生)
ブレザーを着た男子高校生(男子中学生)が
自転車で登校・下校をしているイラストです。
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