【死は歴史の一部である】世にも奇妙な「世界死」大全

ノンフィクション

世界の有名な人たちの最期についてまとめられた本です。

どんな内容なの?

【あらすじ】
古今東西の歴史に残る「死」を見ると、
英雄的に命を散らした人や悲劇的な生涯の終え方をした人もいて、
そうした人々の「死」は物語となって多くの人々の心に生き続ける。
しかし、世界の歴史にはまだ、奇妙で衝撃的な、
一筋縄ではいかない「死」がたくさん埋もれている。

カバと戦って殺された王、
火山の火口に飛び込んだ哲学者、
恐怖のあまり気絶して亡くなった平安貴族、
治療で血を抜きすぎて亡くなった大統領……

本書では、一般的な知名度や業績・歴史的意義の如何をほとんど問わない代わりに、
死に様そのものが衝撃的で類を見ない人物をひたすらに集めた。
まさに、純粋に世界中の「死」を集めた「世界死」である。

HonyaClub より

第1章 神話から歴史へ(~前4世紀)

アリストテレス
貞姜(ていきょう)、
ぺリラオスなど
36人の死について書かれています。

この章で印象深かったのは「カロンダス
シチリアの立法家で、死因は自殺。
自分が定めた法を破ってしまい、
「私は法律に従おう」と自殺。
いくらなんでも自殺しなくても…というエピソードです。

第2章 大帝国の平和と混乱(~4世紀)

ピュロス
ミトリダテス6世
ネロなど
38人の死について書かれています。

この章で印象深かったのは「キティオンのゼノン
古代ギリシアの哲学者です。
一度も病気にかかったことがなく健康だったが
ある日出かける際に躓いて転倒。
つま先を骨折してしまいます。
劇のセリフをいうとその場で自ら息を止めて死去。
自分で息を止めて亡くなってしまうという
厳しさにただただびっくりです。

第3章 秩序の崩壊と立て直し(~10世紀)

アッテイラ
シグルド・エイスティンソン、
ヨハネス12世など
26人の死について書かれています。

この章で印象深かったのは遼の武将の「趙思温」(ちょうしおん)
優れた武将で、唐の滅亡後の五代十国の内乱の時代に活躍しました。
そんな彼の死因は「不明」。
庭に隕石が落ちて死去となっています。
ナンダッテー!!!!
と思わずにいられません。

第4章 地域を超える交流(~15世紀)

タヤン・カン
エドワード2世
マーガレットなど
30人の死について書かれています。

この章で印象深かったのは「ブリ・ボコ」
ジュルキン族の力士だった彼は、モンゴル帝国のベルグティと相撲をとります。
ベルグティはモンゴル帝国の王テムジンの弟だったため、
遠慮し自らが倒れました。
そこにベルグティがまたがって背骨を折り、死亡。
ジュルキン族はモンゴル帝国に敗れていたこと
モンゴル帝国の王の弟だったこと
二重の意味での遠慮だったとはいえ、それはどうなの…
モンゴル帝国としては見せしめだったのでしょうけれども…
たいへんもやっとしました。

第5章 砲火と知が駆け巡る世界(~17世紀)

尼子正久
アタワルパ
アンリ2世など
28人の死について書かれています。

この章で印象深かったのは「タフマーズブ1世
死因は「脱毛剤による火傷」
浴場で両足に塗った脱毛剤により大やけどを負ったため
二年後に死去。
サファヴィー朝の王でオスマン帝国を防いで国家の安定を保った王様だったそうです。
でも現代でも毛染め剤などでの怪我はありますから注意ですよ。

第6章 近代の足音(18世紀~)

ウィリアム3世
本田忠村
細川宗孝など
28人の死について書かれています。

この章で印象深かったのは「クレメント・ヴァランディガム」
オハイオ州の民主党議員で、リンカーン大統領と激しく対立していました。
ある事件で弁護人となり、ポケットから拳銃をとりだすという実演中に
銃が暴発、彼自身を打ち抜いてしまい死亡…

読んでみて

著者はTwitterで 世界死botを運営されています。
興味がある方はぜひふぉろーしてみてはいかがでしょうか。

私たちが一般的だったり身近な死というものは
病院で迎えるものですが
それは近年になってからのことなのだなと思いました。
もっともこの本に登場する人々は英雄だったり
哲学者だったり、王様だったりで、一般市民ではありませんが。
ふるい時代の哲学者はその厳しさゆえ、自分がゆるせなくの果てに自殺だったり
中国の武将は敵に騙されての死だったり。
世界が安定していないからこその多様な死があったのではないでしょうか。
ただ英雄の死を並べているだけではなく
右ページの英雄を殺したものが、左ページではまた誰かに殺されていたり
右ページで殺した男を、左ページでは息子がかたきうちをしていたりと
その時々の歴史の流れを読むことも出来ます。
また、大砲や鉄砲、拳銃などその時代によって使われていたものの変化も感じられます。
家族に囲まれて安らかになくなりました、はありませんが
先人がどのように歴史に生き亡くなったのかを知るのも
今の時代だからこそ楽しみ、知れることだと思います。


世にも奇妙な「世界死」大全

著者:遠海聡一
出版社:彩図社
発売日:‎ 2021/6/29


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お葬式などで飾られる黄色い菊のイラストです。

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