ケーキの切れない非行少年たち

ノンフィクション

2020年に話題になった本書。
話題になった、売れてる、読まれてるには理由があるだろうと手に取りました。

要約すると
「医療少年院に
法務官として勤務していた児童精神科医の著者が
気付いたことを書きました」
というものです。
帯にて
「丸いホールケーキを等分することができてないイラスト」
もまた有名です。
なぜこのような「等分ができない」のでしょうか。


小学生の二年頃に授業についていくことができない。
それを本人は漠然としか気づいてない、
またはきづいてない。
親御さん、担任の先生らも気付いてないまま
どんどん授業についていくことが出来ない。
そして卒業して中学校。
小学校以上に難しい授業についていけなくなってしまい、
サボったりし始めます。
そして、どんどんエスカレートし、
ある日非行行為を行い、少年院へ…


大げさではなく
著者が実際向き合った子どもたちの「傾向」だそうです。
そしてただ授業についていけないだけでなく、
「9歳の壁」や、「中1ギャップ」と呼ばれる年齢の頃、
いじめにあう子どもも圧倒的に多いそうです。
授業についていけない、それはIQが低かったり
軽度知的障がいだったり、境界知能だったり
原因はさまざまです。

境界知能と呼ばれるのは
おおむねIQ71以上85未満のものであるが,
境界知能の知的水準の若者はストレスへの脆弱性が強いことで知られており,
軽度知的障害の若者に対する場合と共通の配慮が求められる場合が多いとされている。

ユースアドバイザー養成プログラムより



これに誰も気付いてなく、適切な教育を受けることはほぼないそうです。
まれに相談されてもこのIQ の数値よりやや上となると、なにも指導もないままなのです。
少年鑑別所にはいってはじめて、自分に障がいがあったと知ることも多いのです。

勉強についていけないので、当たり前のことも知らず、
また「犯罪を行ったらどうなってしまうのか」
と想像が出来ないので、単純に犯罪を行うことを選んでしまいます。

自己への気付き、自己評価が向上することで「やる気」がおきます。
それは子どもも同じなのです。
適切に指導をし、気づいてくれれば変わることはできます。

一番ショッキングだったのは、性的犯罪を犯してしまった子ども
この子どもの95%が学校でいじめにあっていたのです。
勉強ができないことでいじめにあい、家庭でもかえりみてもらえない。
そのストレスが
自分よりも年齢の低い子どもに向けられるという負の連鎖になっていたのです。

この連鎖を断ち切るために
七章に子どもに対する支援方法が記載されています。
著者の開発した「コトグレ」というワークシートや
「感情のペットボトル」など
各家庭でもできることが書かれています。
また実際医療少年院でも行われていた
「子どもに説明してもらう」
「先生になってもらう」
こういうアプローチも有効だそうです。

私が小学生のころ、地方でも学習塾に通ってる友達がいました。
一方で勉強がわからなくてもほったらかし、という家庭もありました。
近年でも教育に対する考えはその家庭それぞれ異なっているでしょう。
それでも、
「自分の子どもは授業を理解してるだろうか」
そうかえりみることで
ほんの少しだけでも子どもに寄り添うことで
未来が変えれるのだと感じました。

[BOOKデータベースより]

児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。

第1章 「反省以前」の子どもたち
第2章 「僕はやさしい人間です」と答える殺人少年
第3章 非行少年に共通する特徴
第4章 気づかれない子どもたち
第5章 忘れられた人々
第6章 褒める教育だけでは問題は解決しない
第7章 ではどうすれば?1日5分で日本を変える

ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)

著者:宮口幸治
出版社:新潮社
発売日: 2019/7/13


【本日のサムネイル】
ホールケーキのイラスト
何も描いていない、無地のホールケーキのイラストです。

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