絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ

ノンフィクション

【初回公開:2020/09/09 (Wed) 13:17】

この本には8種類の絶滅してしまった、絶滅しそうな動物について書かれている。
・キハンシヒキガエル
・フロリダパンサー
・ホワイトサンズパプフィッシュ
・タイセイヨウセミクジラ
・ハワイガラス
・キタシロサイ
・リョコウバト
・ネアンデルタール人
サブタイトル「自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ」とあるように
この本にある絶滅しそうな動物はもはや自然環境では暮らしてはいない。
科学や人為的環境で暮らしている。

とある種類のカエルがすんでいた環境がダムを造るためになくなってしまう。
しかし貧しい土地でこのダムを造られることで農作物が作ることができる。
電気も作ることができて生活が潤うことになる。
しかしカエルはこの環境特有の種である。
ダムを作ってしまったらカエルは絶滅してしまう。数も少ない。
そこで疑似環境を作ってカエルを住まわせて保護することにした。
これはカエルにとって幸か不幸か。
こういうケースを取り上げています。(キハンシヒキガエルのケース)

開発によってそこから疑似環境の動物園に移動させ飼育下で生息させる。(キハンシヒキガエル)
遺伝子的に近い種と交配させ「絶滅しそうな種の遺伝子を持っている交配種」をつくる。(フロリダパンサー)
もともとの環境から移動させて放たれた場所で30年繁殖した結果進化し、もともとの種と異なったものになってしまった。(ホワイトサンズパプフィッシュ)
たぶん個体数は少ないであろうことがわかっているが、
永い寿命と海に生息してるために把握しきれず、かつ気象変動で餌のオキアミが減ってきてることもありどう保護をすればいいのか困惑している(タイセイヨウセミクジラ)
冷凍庫に保存された標本からDNAを抽出し、そこから種を復活させた場合自然に戻せるか(ハワイガラス)
iPS細胞でクローンを作れば、その種は絶滅しないのだろうか(キタシロサイ)
「ゲノム編集」で絶滅した生き物を蘇らせることは可能か(リョコウバト)
絶滅したネアンデルタール人を蘇らせていいのか?(ネアンデルタール人)

各々を書いてみると、いつから人は神の領域に入ってしまったのだろうかと思う。
アメリカ自然史博物館の地下には「アンブローズ・モネル冷凍コレクション」がある。
世界各国から収集した人間以外のあらゆる生命体の組織サンプルを、マイナス160度で凍結保存している。
実際冷凍保存した精子を使ってキンケイに人工授精を行い無事ひなが生まれたケースもある。
またノルウェー領スヴァ―ルバル諸島スピッツベルゲン島に「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」がある。
サンティエゴ動物園には絶滅危惧種の遺伝的多様性を守るため遺伝子を冷凍保存している。
遺伝子を操作して蘇らせる。
それは動物にとっていいことなのだろうか。
オリジナルの種と異なるのではないだろうか。
考えさせられる一冊だった。

タイトル:絶滅できない動物たち――自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ
著者:M・R・オコナー 翻訳:大下絵津子
出版社:ダイヤモンド社

絶滅できない動物たち――自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ

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