アルビノを生きる

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ノンフィクション

【初回公開:2013/10/30 (Wed) 13:23】

アルビノを生きる
川名 紀美 (著)

単行本(ソフトカバー): 368ページ
出版社: 河出書房新社 (2013/6/19)
言語 日本語
ISBN-10: 4309021913
ISBN-13: 978-4309021911
発売日: 2013/6/19
商品パッケージの寸法: 18.6 x 13 x 3 cm

内容紹介
白い髪に白い肌。弱視で紫外線に弱い「アルビノ」。
学校、地域社会、そして親族からも差別を受け続けてきた人々が、
社会を変えるために自ら歩み始めるとき。
—-元・朝日新聞論説委員が長期取材で寄り添い続けた“葛藤の道のり”。

※アルビノ(白皮症)とは……
1万人から2万人に1人の割合で現れる遺伝性の疾患。
メラニン色素が足りないために肌が白く、髪や体毛は白や褐色、金色になる。
目の色も青や茶色、灰色で、視覚障害を伴うことが多く、紫外線にも弱い。
(amazonより

実際アルビノをみたことがありません
あにめや漫画や小説などではそういう人がいることは知っていました
映像でもみたことがなく
今回読もうと思ったのはWebでみたニュースがきっかけです。
中南米でアルビノの人を殺して呪術的に使っている。
それは衝撃的で、これがいま本当に起きていることだろうかと
そして彼らはどんな人なんだろうかと思ったのです。

この本のいいところは
一人のことに絞ってないところです。
石井さんという男性がキーパーソンになってはいますが、
彼だけではなく様々なケースの人がかかれています。
お涙ちょうだいの感動ものの本にしたかったら石井さんだけをクローズアップすればいいのです。
それでもこれはそれをしなかった。
他にこんな人もいるよ
世界ではこうだよ!という感じに好感です。

石井さんが育った環境は私の育った環境に似ていて、
そんななかで声をあげるのは実はとても勇気のいる行動だっただろうと思います。
田舎特有の封鎖されてるような空気のなかで
大学病院にいって自分はなぜこうなのか?と問う行為。
もう27年も生きてるんだ。
そんなのいまさら調べてどうするんだ。
治るわけでもないだろうに。
そう言ったひともいるでしょう。
それでも彼は前に進んで、いまに至ります。
自分のことをさらすというのはパワーがいることで、
それでもそれを辞めない姿にはだた脱帽です。
そしてアルビノは色が白いだけではなく、目が見えにくいこと
かかりやすい疾患があること。
そういったことで苦しみつつも前に進む人たち。
また世界規模での取り組みかた。

正直読んで思ったのが
「いいな」
私は皮膚の表面に石灰が点在してます。
薄い板のようにあるそれは一見やけどのあとのようにみえて
肌を露出する夏場を中心に格好のいじめの標的でした。
中年と言えるこの年になっても買い物先で見知らぬ人に
「きもちわるいね」といわれるこれを
ずっとうとましく思ってました。
強打するとからだのなかでそれが増えると知ったのは8年ほど前です。
いまだ同じものをもった人にはあったことがありません。
ですから同じアルビノに会った彼らがほっとしたその瞬間は
本当にうらやましく思えるのです。
色がしろい
石灰が発生しやすい。
そんな身体でも、わたしたちはひとりの人間で
みんなとなんら変わってはいなくおんなじなのです。
ちょっとだけ違う。
これが受け入れられる世界がはやく訪れますように。
そう思わずにはいられません。

【2021/04/06 追記】
当時アルビノについて書かれたものはこの本くらいでしたが
いま調べましたら他にも複数出版されており、
じぶんたちのことをいえる時代になっているのだなと思いました。
国や地域によっては自分の存在を知らせることは
私を殺してください
と成りかねないことにもなります。
メラニン色素が足りない、見た目が白いというだけで迫害されたり
薬になると、真実とは違った呪術的な意味合いで殺されるということは
あってはならない。
このようなことはあまり知られていないことなので
もっとメディアでも取り上げてほしい事柄のひとつであると思います。


★ナショナルジオグラフィックのアルビノの記事が
アルビノ問題についてわかりやすかったのでリンクを置いておきます★

アルビノ取材が写真家の人生を変えた
アルビノを取材していた写真家のステファニー・シンクレア氏とその夫が、中国からアルビノの子どもたちを養子に迎える決断をした。

アルビノを生きる


著者:川名 紀美
出版社: 河出書房新社
発売日:2013/6/19


【本日のサムネイル】
アルビノの男性のイラスト
生まれつきメラニン色素が少なく白っぽい肌をしているアルビノの男性のイラストです。

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