「オキュラス」「プレステVR」などゴーグル型端末の発売が相次ぐ2016年は
「VR元年」と呼ばれる。
なぜ人々はVRに熱狂するのか?
これから登場するVRビジネスとは?
最前線で取材を続ける気鋭のジャーナリストによる渾身のレポート!
2016年に出版されたこれは2021年の現在からみるともはや古典のようなものだと思いってます。
古典のようなもの、だからこそ
当時だからみえたワクワクが詰まっている本だと思います。
序 章 VRビジネスの大潮流――熱狂はなぜ産まれたのか?
2016年はVRゴーグル、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)が
一通り発売され、揃うといわれています。
名だたるIT会社が巨額の投資をしており、フェイスブックやグーグルがその筆頭です。
マジックリープなる謎な会社も出現しており、
ディスプレイとARがどのように使われるか注目されています。
最初のVRブームが1990年。
その時すぐに下火になってしまいましたが今回はそうではありません。
VRの最終目標は人間の五感などさまざまな感覚に働きかけて
「現実世界と実質的には同じ空間」を作り出すことです。
コンテンツは体験へと変わり、HMDをつかうことにより可能になります。
第1章 VRの現在――映画とゲームをつなぐものは何か?
2016年のゲーム開発者会議(GDC)にて展示されたVRデモ。
「ザ・ウォーク」
HMDをかぶるとワールドトレードセンター間に一本だけ通されたワイヤーがあり
高さ540mの眼下にはニューヨークの街並みが見え、ヘッドフォンからは風の音が聞こえます。
VR空間でこのワイヤーを踏み外しても絶対に安全です。
それでも渡り切れない人が続出しました。
ホラー映画「パラノーマルアクティビティ」とタイアップされたVRホラーゲーム。
HMDをかぶってVR空間内の薄暗い部屋を物色してゲームを進めます。
ゲームとわかっていてもそれでも恐怖は感じてしまいます。
他にも物語形式で目の前でキャラクターが動いているものなどは
それらに感情移入してしまいます。
![](https://assets.moguravr.com/uploads/2017/02/201702171054000000.jpg)
これらリアルな映像はゲームエンジンで作られています。
ゲームエンジンを使うことによって
「マルチプラットフォーム」「モデリング」「レンダリング」などがしやすくなり、
VRゲームやVR空間を作りやすくなりました。
(ユニティ、アンリアルエンジン)
ゲームエンジンは無料ですが、ライセンス料が今までと比べて安価になりました。
結果的にVR開発の技術の向上が加速しています。
第2章 ハイエンドVRの夜明け――オキュラスはなぜ生まれたのか?
パルマー・ラッキーが、VRヘッドマウントディスプレイ「オキュラス」を作った
その理由と歴史が簡単にまとめられています。
その後「オキュラス」は2014年にFacebook社に買収。
そのFacebook社に所属していたマイケル・アブラッシュが
チーフサイエンティストとしてVRが抱えている問題を解決する研究をしています。
![](https://assets.moguravr.com/uploads/2016/04/image008.jpg)
この章の最期にハイエンドVRヘッドマウントディスプレイの紹介として
HTCバイブ、PSVRについて解説があります。
第3章 日本のVRビジネス――独自のビジネスモデルは生まれるのか?
2014年4月「ユナイトジャパン2014」に出展された
バーチャルシンガー初音ミクと握手することができる「ミクミク握手」
これを開発したのがGOROmanこと、近藤義仁氏。
オキュラスDK1をかぶると、手の感触から振動して初音ミクと実際握手してるように感じます。
![](https://image.itmedia.co.jp/nl/articles/1309/27/ys_miku01.jpg)
2015年9月東京ゲームショウでFacebook社がお披露目したデモ「トイボイックス」
VRが個人から、仲間と楽しむことにシフトしたゲームとして話題になりました。
![](https://assets.moguravr.com/uploads/2016/11/201611271056861000.jpg)
また今はなき戦艦大和をVRで復元するプロジェクトもクラウドファンディングで募集されました。
建築業界ではVR、MRの利用が顕著で
タワーマンションのVR映像で今までわかりにくかった細部、
たとえばエントランスの雰囲気などが可視化されることでわかりやすくなりました。
(積木製作さんの実例とインタビュー)
第4章 VRからAR・MRの時代へ――これから登場するビジネスとは?
ロケーションビジネスとしてのテーマパーク方式のサービスが流行しています。
広い倉庫のような場所でHMDをかぶってゲームを楽しむものです。
従来のゲームではできなかった没入感をVRでは味わうことが出来ます。
著者の予測だと今後HMDの価格低下、それと同時につよつよPCの価格低下
スマートフォンにとっても今後VRは重要視されるのでは?とあります。
またVR関連のベンチャー企業が増えていることに投資家も注目しており
注目されているのが「マジックリープ」社。
会社名のみ公開されており、何を開発されているかもわからない状況ですが
多額の投資が集まっています。
今後はメガネタイプのARハードウェア、ARのホロレンズもリリースされて
VRだけでなくXRとして盛り上がっていくことでしょう
よんでみて
本書の内容のまとめ抜粋と、その当時の記事を読み
何となく当時の雰囲気がわかりました。
(私がVRの催しものに行くようになったのは2018なので、この頃は全く知りません)
過去に何度か「VRが流行るだろう」という時期があって
それは流行ることはなかったですが
今回はビッグビジネスの予感…!!!
というお祭り前の静かな興奮が感じられました。
タイトルには「VRビジネス」とありますが、
思ったよりもビジネス系ではなく、どのようにその時が流れたか
一種の歴史書のように楽しめました。
VRゲームは楽しんでるけれど、どんなふうにVRがもりあがったのかを知りたい方には
ピッタリかとおもいます。
★同じテーマの書評はこちら★
・第三章にも登場されていたGOROmanさんの著作です。
・VRやXRを医療に利用されている事例についての本はこちら(杉本真樹氏)
【本日のサムネイル】
埋蔵金を探す人のイラスト(男性会社員)
シャベルで地面に穴を掘っている男性のビジネスマンのイラストです。
コメント