飛田新地でお店を10年やってみた著者の話ですが
このように実際経営していた方の本は珍しいのではないでしょうか?
高校の先輩から5年ぶりに連絡をもらい、会いに行ったら
「飛田の親方やらへんか?」
当時31歳の著者はあれよあれよと飛び込んでいきます。
その独特のルールを、他店の親方に教えていただき
お姉さんのいるお店でお酒をおごることでチャラ。
一見ごく普通のことのようですが
その親方は出会ったお姉さんを自分のお店にスカウト。
自分のふところを全くいためずにお酒も飲んでお姉さんもゲット。
これはまだ序の口。
そもそも飛田だけでなく元遊郭は、現在「料亭」として運営しており
お客様と女の子がお菓子とお茶を飲食していたら
「偶然にも恋愛関係になってしまった」ので…
お店の前にいる客引きのおばちゃんにお店を乗っ取られかけられたり
女の子同士のいやがらせや、お金の持ち逃げなど
男女のもめごと以上に
店内のもめごとが多いようです。
15分の接客で料金は1万1千円、
そのうちお店は5千円、女の子に五千円、おばちゃんに一千円と
完全歩合制ですが、これでまたもめます。
艶のある仕事はどうしても他の仕事以上にお金のもめごとが多いのかなという印象です。
またなかなかお客様のつかない女の子のためにも
親方が雇ったお客様を投入することで、その女の子が人気になることもあるそうです。
女の子同士が仲がよくないと、ある日突然「飛んで」しまう。
そうすると、他の女の子もある日突然来なくなります。
そうならないように女の子のケアをしつつ、
お姉さんのいる場所でお酒を飲みスカウトし、
おばちゃんのご機嫌をとり…
親方とは名ばかりの「女性に奉仕しているような」そんな錯覚さえします。
いろいろな女の子がやってきて、去っていく街「飛田」
そんな街の一面がみれる本です。
【あらすじ】
現在、160軒がひしめく大阪・飛田新地。
そこで2軒を経営する人物が初めて当事者として内情を語る。
ワケあり美女たちの素顔、
涙なしに語れぬ常連客の悲哀、
アットホームな小部屋の中、
タレントばりの美貌の日本人美女たちはどこから来たのか、
呼び込みの年配女性の素性、
経営者の企業努力、街の自治会の厳格ルール、
15分1万1000円のカラクリ、
元遊郭の賃料と空き状況、
新参経営者の参画等、
人間ドラマから数字的なディテールまでを網羅する。
遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白 飛田で生きる (徳間文庫カレッジ)
著者:杉板圭介
出版社:徳間書店
発売日:2014/10/15
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こちらは女性フリーライターが飛田に12年通い詰めて書いたものです。
(取材されていた当時は女性が飛田に行くことは今以上にタブー視されていました)
【本日のサムネイル】
料亭のイラスト
日本家屋の古民家をそのままお店にしたような、料亭のイラストです。
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