おべんとうの時間がきらいだった

ノンフィクション

NHKの「サラメシ」
ANA機内誌「翼の王国」にて「おべんとうの時間」を掲載されている「お弁当ハンター」こと
阿部了さんと阿部直美さん。
写真は夫の了さん、本文は妻の直美さん。
息の合った連携でお仕事をされているご夫婦が、なぜ「おべんとう」の写真を撮影するに至ったのか。
直美さんの半生を中心に書かれたエッセイです。

1父と母

幼少期から高校までの家族とのエピソードが書かれています。
お父さまがかなり「繊細」??な方で、こう…大変ご苦労されていらっしゃったのだなと。
お母さまも、その、独特な性格といいますか。
そういう時代だったといえばそうなのかもしれませんが大変でしたねえ。
それだけに留学問題で家族が一致団結されたシーンは奇跡のような感動があります。

2アメリカの家族

留学先のカルフォルニア州ベーカーズフィールドでの一年が書かれています。
これこんなにいるの?と思ったのですが、思春期の一年は長くて重要で
これらのエピソードが後に関わるとは思ってませんでした。
異文化+思春期って難しい…
でもホストファミリーが良い方々でよかった!

3夫と娘

写真家の阿部了さんとの出会い、結婚、出産と仕事について。
番組からにじみ出る阿部了さんの性格がよくわかる章で、なるほどこうして「お弁当ハンター」が出来上がっていったのか!
著者の「お弁当」に対する思いと、阿部さんの「思い」は絶対相いれないものと思います。
それを中和?させてくれたのは、取材先の方々だったのは本当によかった。
著者の性格もあるとは思いますが、ものすごくライターに向いているのだと思います。
世の中「私の話をきいて!」がほとんどなのに、それを「おもしろい!もっと!」と思える。
一種の才能だと思います。
「きっかけが「お弁当」であって、ほかは何を話してもいい」
娘さんが産まれて、ご両親の関係も変わって(仕事上変えざるを得なかったとしても)
それでも続けていく。
阿部さんにしか見せなかったお父さまのおはなし。
家族が出来立てのころの歪さは、大人は気づかないかもしれないけれど
子どもにも伝わってて、時間の経過でその角が取れたころに
新しい命が産まれて、めぐっていく。
そうしてまた家族が変わっていくんだなと痛感しました。

余談

余談ですが私もお昼がすごく苦手でした。
お弁当に駄菓子や、うどん(つゆは水筒)が当たり前に鎮座しており
彩り無視で「とりあえずあるものつっこんだ」感がつらかったです。
幼稚園から中学まで給食だったので、つらい高校三年間でした。
(社会人の途中から自分で作るようになりました)
贅沢言ってるのもわかるんですが、こう、もうちょっと頑張ってほしいなあという気持ちでした。
今も家事全般が苦手な母です。

おべんとうの時間がきらいだった


著者:阿部 直美
出版社:岩波書店

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