最後にして最初のアイドル【短篇版】

文芸

バイバイ、地球―ここでアイドル活動できて楽しかったよ。

今回は一般的にいう「ネタバレ」が含まれておりますのでご注意ください。

単行本ではなく、まさかの単品買いです。
一時期ハヤカワでばら売りしてた名残をお買い上げしました。
セールとはいえ、100円以下で購入してもいいものだろうか?と思いながら。
まあアイドルものだし、カワイイ女の子が歌って踊ってなんだろうな
そう思っていた自分にもありました。

ここでアイドルの定義を。

アイドルは、
「偶像」「崇拝される人や物」「あこがれの的」「熱狂的なファンをもつ人」を指す。
英語(idol)に由来する語。
稲増龍夫やカネコシュウヘイは、
日本の芸能界における「アイドル」を
『成長過程をファンと共有し、存在そのものの魅力で活躍する人物』と定義している。

Wikipediaより

なるほど。
本書の主人公であり「アイドル」である古月みかは、友人の手によって「アイドル」になります。
友人に出会った高校時代、その三年間二人はアイドル部の一員として切磋琢磨します。
その後みかはアイドルになるべく、何度もオーディションを受け
やっとひとつのオーディションに受かって上京します。
高額なレッスン費用を徴収されて、半年後事務所は倒産。
そんななか偶然に再会した友人と妹に現実を突きつけられて、
そして、みかは自殺します。
そう、みかは死にました。
その後の展開がもうすごい。
「アイドルになりたい!」と夢見ていた少女は友人によって
改造(アイドル)にされてグロになってスペースオペラになって宇宙になります。
一体何を言ってるか、わからねーと思うが…」です。

読者は完全に置いてけぼり状態で
みかはアイドルとして成長を続けます。
オーディエンスの不在に耐えられなくなり、みかは探しに行きますアイドル活動をしながら。
それは私たちが知っているアイドル活動ではなく
身体の一部であるトレーラーで人間を押しつぶして新鮮な肉を手に入れたり、
自分自身を長い時間をかけて空中巨大水母にし空を舞い、
地球上の生態系が回復するのを待ち、ファンを創ろうとする。
最初のみかから第17世代で宇宙に向かい
第747億5807万1916世代で新しい宇宙を創る。
これらを真に受けるなら、アイドルはすべての万物であり宇宙である、ということですね!


そして著者は私たち読者に
「最後にして最初のアイドル」になるよう薦めます。
みかの次のアイドルは私たち読み手であると。
ここまで読者置いてけぼりで地球を破壊し、宇宙をあらたに作ったみかと
同じアイドル活動をする…
アイドルとは何だっけ?と思うのでした。
これはアイドル本として最大級の怪書だと思います。


ところでこの本について検索すると
なぜか「ラブライブ!」についても記載されている記事が多いです。
もともと「ラブライブ!」の同人誌として出版されたもの(合同誌)を
リトライして応募したものとのこと。
まじか。
「最後にして最初の矢澤」
冒頭部分のみがpixiv内で閲覧することが出来ました。
にこまきでした。
まじか。
これを新人が書き上げたことは単純にすごいですし
何を読ませられたんだ…と思うくらいの力技は
魅力がないとできることではありません。
今更ながら、たぶん2021年上半期で一番の衝撃作でした。
もっと早く読めばよかった!



※【本篇を収録した同題の短篇集も刊行されています】


【あらすじ】

“バイバイ、地球――ここでアイドル活動できて楽しかったよ。”

第4回ハヤカワSFコンテスト《特別賞》受賞作

時はアイドル戦国時代。

生後6か月でアイドルオタクになった古月みかは、

高校のアイドル部で出会った新園眞織とともに宇宙一のアイドルになることを目指す。
しかし非情な現実が彼女の望みを打ち砕くのだった。
それから数年後、謎の巨大太陽フレアが発生。
地球人類は滅亡の危機に陥る。
地獄のような世界をサヴァイヴする彼女たちが目にした、〈アイドル〉の最終局面とは? 
著者自らが
「実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF」と名付ける、
最終選考会に嵐を巻き起こしたSFコンテスト史上最大の問題作。


最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

著者:草野原々
出版社:早川書房
発売日:2016/11/22




【本日のサムネイル】
アイドル・歌手のイラスト(職業)
ピンクのドレスを着て歌って踊っている、かわいいアイドル歌手のイラストです。


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