芦花公園氏のホラー小説です。
どんな内容なの?
安息を求める人々が集う「とらすの会」。
HonyaClub より
皆の輪の中心で微笑む美しい「マレ様」に
殺したい人間の名を告げると、
必ず凄惨な死を遂げる。
錯乱状態に陥った少女は、
オカルト雑誌のライター・美羽の眼前で突然、
爆発するように血肉を散らして死んだ。
スクープを狙った美羽は「とらすの会」を訪ねるが、
マレ様に出会ったことで、
想像を絶する奈落へと突き落とされる―
ホラー界の新星が描く、美しい異常。
・坂本美羽①
都内無差別殺人事件について調べなければいけなくなったライターの美羽は
ネットで妙な書き込みをしていた少女ミライとオープンカフェで待ち合わせる。
そこで美羽はミライから妙な話を聞かされる。
・川島希彦①
希彦は中学になる前の記憶がかなりあやしい。
そのせいか両親からはかなり溺愛されている。
ある日希彦が中学に登校すると友達の佐藤がいじめの標的になっていた。
・坂本美羽②
美羽はミライからきいた「マレ様」に会うためその住所にむかう。
そして彼女にあった美羽はなにもかも話してしまう。
家族と元恋人とその彼女を「謎の死によって亡くしてしまった」美羽に
二人の警官が声をかけた。
・川島希彦②
不良少年の井坂と距離を縮めていく希彦は、その井坂の取り巻きから恐喝される。
金を用意できないならと彼らは希彦に売春を強要する。
指定された場所にいた男とホテルにいった希彦はずっと「視界にいる女」を鏡越しにみる。
・白石 瞳①
美羽が最後に残したメッセージを追う瞳に上司は反対する。
そんな瞳にとある男が情報をあたえる。
それは希彦のうまれに関する資料だった。
・川島希彦③
ホテルから出てきた希彦の態度に取り巻たちは、
希彦の親に井坂との関係や売春を暴露し金をせびろうと希彦の自宅へ向かう。
希彦の両親の態度に苛ついた彼らは庭を破壊する。
その時希彦は奇妙なことを言いはじめる。
・白石 瞳②
単独で「とらすの会」に向かった瞳は、そこに弟の姿を見る。
そして捕まった先で意外な人と出会う。
・白石 瞳③
事件はうやむやにされ、上層部から自己都合退職を迫られ警官を辞した瞳。
彼女はとある人物と出会い、お互いのこれからの話をする。
これからお互いあらたな人生を送るはずだった。
読んでみて
各章の主人公が変わっていき、最終的に瞳の物語で幕引きとなります。
美羽が現在の物語を引っ張り、瞳にバトンタッチ
その間に希彦の物語が組み込まれています
著者の他の本でも出てきますが、キリスト教関連のことが希彦の章ででてきます。
これは著者の特徴と言えるかもしれません。
嫌なやつは、
みんな
「マレ様」が殺してくれる。
この本のキャッチコピーですが、
あなたはマレ様に誰を殺してもらいますか?
自分だったらうっかり言ってしまいそうです。
そもそもマレ様に出会った人は
みずからのことを話してしまうようです。
とらすの会にいた人々は本当に弱かったのでしょうか
心の弱い人、コンプレックスのある人がコミュニティ内で生きにくいのは昔からよくあることで、
そんな人たちをマレ様のようなものがくいものにしている。
今回はそれが誰かの死でありましたが、そういうことは実は私たちの身近にあるのかもしれません
ラストですが、
よくホラー小説にありがちといえばそうなのですが、希彦と一緒にいたお父さんは
もしかしてあの彼なのでしょうか
そうすると希彦のもうひとつの能力は義父母以外にも周囲にも及ぶ、ということなのでしょうか
著者:芦花公園
出版社:東京創元社
発売日:2022年7月29日
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スピリチャルな女性のイラスト
宗教的・精神的な大宇宙と交信している、
スピリチュアルな女性のイラストです。
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