【家族が支えてくれた闘病記】失くした「言葉」を取り戻すまで 脳梗塞で左脳の1/4が壊れた私

ノンフィクション

脳梗塞で左脳の1/4が壊れた著者の闘病記です。

どんな内容なの

忽然と姿を消した人気コラムニストの約17年ぶりの新刊は、
愛と笑いに溢れた120%ポジティブ闘病記!

2009年11月、頭に激痛が走り「くも膜下出血なので今すぐ開頭手術を」と診断されたのに、
手術を拒否して病院から帰宅。
1週間後に手術を決意し受けたところ、くも膜下出血とは別の箇所で脳梗塞を発症、
左脳の1/4が壊死して、目覚めたときには、
利き手だった右手に麻痺がでて
「お母さん」「わかんない」の2語しか話せなくなっていた……。

「左脳を大きく損傷した私は、かなりのことがわからなくなっていました。
自分が自分であることはわかる。
でも自分の名前も、数字も、時計も、言葉も、常識もわからない。
少し前まではふたりの子どもを育てながら、
大量の原稿を書いていた私が、ほとんど赤ちゃんのような状態になっていました。」
(本文より)


「いずれ本を書くときの資料になるはずだ」と、
カセットテープに録音しておいた手術前後の家族との会話、
夫の当時の日記、実際の脳のMRI画像、担当の医師や言語聴覚士、
理学療法士に著者本人が取材して得た証言を織り込んで、
失語症になった当事者自らがパソコンのキーボードを一文字一文字打って綴った
渾身のノンフィクション。

HonyaClub より

序章 くも膜下出血

二人目の子どもを妊娠中に、血圧が高かったこともあり降圧剤を服用
劇的に下がった血圧をみて
「薬ってこわい」
そう感じた著者は周囲の人々が「降圧剤は飲みなさい」
そう言っていたのに、頑なに拒んでいました。
さまざまな謎の体調不良にも無視し続け
とうとうくも膜下出血を起こしてしまいます。
ですが著者はこの手術を「イヤ」と断り
帰ってしまったのです。

第1章 手術

手術を断って帰宅してから一週間のことが書かれています。
その一週間後に手術をすることを決めて病院に向かいます。
その時の夫と著者の会話がカセットテープに録音されていました。

第2章 集中治療室

手術を終え集中治療室へ。
子どもにショックを与えたらいけないと夫は一人お見舞いに行きます。
著者に何を言っても「わかんない」「お母さん」しかいいません。
その語彙も少しづつ増えていきます。
この当時の会話もカセットテープに録音されていました。

第3章 一般病棟

一般病棟にうつり、子どもとの対面、
リハビリテーションも始まりました。
話すことはできませんでしたが、著者のなかではいつも通りのことを思っていたそうです。

第4章 リハビリテーション病院

リハビリテーション専門の病院に転移し
平日は病院に入院しつつリハビリ
週末は自宅にてリハビリをすることが決まりました。
自宅に帰った著者は今まで書き溜めていたレシピノートをみて
少しずつ料理や家事にもチャレンジしていきます。

第5章 スペシャルセラピスト

リハビリ病院を退院してから最寄りの治療院を紹介していただいて
そこでリハビリを続けます。
その治療院のおかけで握力などみるみる回復していきました。

第6章 私のサリバン先生

パソコンをやれるようにしたい
著者の希望で、紙で作ったキーボードを用意し
それを用いてタイピングの練習が始まりました。

終章 十年が過ぎて

10年が過ぎて右手の機能は失ったままですが
左手を用いてやれることが増えました。
そのかわり音や匂いに敏感になりました。

読んでみて

くも膜下出血が見つかって、手術の用意しました、手術台に横たわってます。
そんな状況下で夫が手術の説明をしたら
「手術はイヤ」
それで夫も「本人が嫌がってるので」と
帰ってしまうというのは、正直ドン引きしました。
結局一週間のちに手術をするわけですが、このような考えの方もいるのだな
とびっくりしました。
手術を経て、言葉が出ない、右手が動かないなど
後遺症を回復させるべくリハビリを行い
10年経過しました、という本書。
言葉が出てこないだけで、本人の中ではいろいろ思っていたこと、
「もともと文字を綴っていた人だからきっと後に役立つだろう」と
妻に話しかけて当時の様子をカセットテープに録音したり
日記という形でメモを残していた夫
それらがあってこの本は出来ています。
お子さん(息子、娘)が母のリハビリのため
というよりは遊びの延長のような気軽さで
リハビリに付き添っていたり
家族が一丸となって回復を信じていたのだなと感じました。

がんやくも膜下出血、脳梗塞など
重篤な病気になったとき
該当の闘病記を探したりする人も多いと思います。
これは著者のケースであって、誰しもこの方法で快方に向かうという保証はありません。
それでもこれらのユニークなリハビリや闘病記は
読む人に希望のかけらのようなものを与えてくれると思います。


失くした「言葉」を取り戻すまで 脳梗塞で左脳の1/4が壊れた私

著者:清水ちなみ
出版社:文藝春秋
発売日:2023年2月10日


【本日のサムネイル】
病室のイラスト(背景素材)
病院に入院するときに使われる、
ベッドや花が置かれた、病室の背景用イラストです。

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