お笑い芸人、松本ハウスのハウス加賀谷さんが
統合失調症と今までどのように向き合ってきたのか
また相方である松本キックさんがどのように彼と向き合ってきたのかが書かれています。
どんな内容なの?
・統合失調症がやってきた
【あらすじ】
HonyaClub より
10代前半から統合失調症に苦しんでいたハウス加賀谷は、
松本キックという相方を得て、病と闘いながらもお笑いの世界で人気者になる。
しかし、活躍と反比例するように、症状は悪化。
人気絶頂の松本ハウスは活動を休止した。
精神科に入院し治療する加賀谷を黙って待ち続けた松本。
10年の時を経て復活ライブに挑んだ二人は大歓声に迎えられる。
・相方は、統合失調症
【あらすじ】
病による活動休止から10年を経ての復活ライブは大きな笑いに包まれ、
HonyaClub より
松本ハウスの時計は再び動き始めた。
しかし、かつてできたことができない自分を加賀谷は責め、
そんな相方をなんとかしようと松本は焦り、コンビはぎくしゃくしていく。
苦しんで悩んで涙した6年で辿り着いた答えとは―。
“相方”への想いが胸を打つ感動ノンフィクション。
「統合失調症がやってきた」は加賀谷さんの半生を
「相方は、統合失調症」は初本ハウスがコンビとして復活してからのことが書かれています。
この二冊は松本さんが
加賀谷さんに聞き取りを行って書かれたものだそうです。
・統合失調症がやってきた
序章 あの時のこと―松本キックから見て
1章 統合失調症の発症
小学生時代に親の期待に応えることに限界がきたこと
中学時代に突然幻聴がはじまりそれに苦しみ
高校時代に病院へ
グループホームを経てお笑い芸人を目指すまでが書かれています。
2章 松本ハウスという居場所
松本キックさんとの出会い
事務所に病気のことがばれつつも、
全国区で人気者となっていった「松本ハウス」。
そんな多忙の中、気のゆるみから自分本位に薬を飲んだり減らしたりしてしまう。
それはすぐに加賀谷を苦しめはじめ、どんどん追い詰められてゆく。
3章 入院生活
閉鎖病棟に入院することになり、徐々にその生活に慣れていく。
理解できないながらも本を読み続け、
体調が芳しくない時は幻聴にも悩まされた。
そんな中あらたな主治医O先生との出会いで少しずつ快方に向かっていく。
4章 復活に向かって
退院して自宅療養をしながら体調を調えていく。
どうしてもコンビを復活したい。
そのためにはどうしたらいいか。
加賀谷は不器用ながら試行錯誤を続けていく。
そして松本にその気持ちを告げる。
相方は、統合失調症
復活まで
こちらの章では
「統合失調症がやってきた」の内容がざっくりと
松本キックさんの視点から書かれています。
(もちろん「統合失調症が~」には書かれていないことも)
復活から
コンビ再結成から3年。
その三年間について書かれています。
復活したのはいいですが、完全に病気が治ったわけではなく
10年前のようにテンポよく漫才ができない。
せりふを覚えられないことで自分を責める加賀谷さんと
どうしていいかわからずいらいらしてしまう松本さん。
場数をこなせば思い出すだろうと試行錯誤する二人。
だが自体は悪化するばかり。
そんな二人に周囲の仲間は手を差し伸べ
徐々に「これから」を作っていく。
読んでみて
テレビをあまり見ないので芸人さんタレントさんはよくわかりません。
そんな私でさえ「なんとなく覚えてるような…丸刈りのぴちぴちシャツ着たひと」
という認識なので加賀谷さんをご存じの方も多いと思います。
この著作も新しくはない(新刊ではない)ので
病気についてご存じの方も多いとおもいます。
とある医療従事者の方がお薦めされていたので手に取ってみました。
統合失調症は、現実とのつながりの喪失(精神病)、
家庭版MSDマニュアルより
幻覚(通常は幻聴)、
妄想(誤った強い思い込み)、
異常な思考や行動、感情表現の減少、
意欲の低下、
精神機能(認知機能)の低下、
日常生活(仕事、対人関係、身の回りの管理など)の問題を
特徴とする精神障害です。
本書に書かれている加賀谷さんの症例は一部で
他にもさまざまな症状があるそうです。
中学生という多感な時期に幻聴があったら、誰だって参ってしまいます。
ましてや当時はインターネットがない時代で
自分で気軽に調べられる状況ではありません。
自分を責めつつも懸命に生きてくれてよかったなあ
松本キックさんと出会えてよかったなあ
コンビ復活してよかったね
そう単純に思っていました。
「相方は、統合失調症」でその松本キックさんの内面が書いてあります。
松本さんのすごいところは、その他人との距離感です。
「松本さん、ぼくなんだか不安なんです」
と加賀谷さんに言われても
「そうか不安か。じゃあ焼きそば食っとけ」
いまからライブという時に不安を訴えられて
それを受け止める。
受け止めるだけ。
なかなかできそうでできないことです。
コンビが復活してから加賀谷さんとうまくいかない時に
自分がどのようにしたらいいか
自分がしっかりしなければ…
周囲からのプレッシャーも相当なものだったと思います。
それでもお互いがコミュニケーションをとることで
少しずつ前に進んでいきます。
「病気だから笑いにしてはいけない」ではなく
「病気でも笑いにしてもいいじゃないか」
その姿勢はこれからの時代にたいせつなものだと感じました。
著者:松本ハウス
出版社:幻冬舎
発売日:2018年6月8日
著者:松本ハウス
出版社:幻冬舎
発売日:2018年6月8日
【本日のサムネイル】
お笑い芸人のイラスト「漫才師」
お笑い芸人が楽しそうに漫才をしているイラストです。
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