妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。

ノンフィクション

いちどは読んだほうがいい。
マルチ商法はさまざまな角度から入り込んできます

まずタイトルにもある「マルチ商法」とはなんでしょうか?

マルチ商法(マルチしょうほう、multi-level marketing)は、
会員が新規会員を誘い、
その新規会員が更に別の会員を勧誘する連鎖により、
階層組織を形成・拡大する販売形態である。
正式名称は連鎖販売取引で、その通称である。
別名ねずみ商法、鼠講式販売法。
表向き合法であるマルチ商法を謳う組織でも、
違法となるネズミ講と判断された事例も多い。

Wikipediaより

久しぶりに友人に呼び出されて楽しく食事をしていて
その終盤に
「最近これハマってて~」と紹介されたあやしい商品。
「ほんと肌にいいんだよー」としつこい。
いったいなんなの…?
と春になるとなぜかやたら多くなる勧誘。
ここまであからさまではなくとも、
一度や二度似たような経験をされたことがある方もいらっしゃると思います。


この「勧誘する人」が家族、親、配偶者、恋人、友人だったらどうしますか?
配偶者がハマってしまって家庭崩壊してしまった著者と
おなじような経験をされた方々のお話をまとめたのが本書です。

【目次】
第一章 妻がマルチ商法にハマって、家を出るまでの二年間
第二章 離婚調停 
    妻の身にいったい何が起きていたのか
第三章 SNSで被害を発信しはじめたら起こったこと
    5人の被害者たち
第4章 マルチ商法と社会の闇
終章 家庭崩壊した僕が、今伝えられること

著者の奥様はたぶん「ハマりやすい」タイプだったんだろうな。
コーヒー浣腸や、自然なお産、牛乳は身体によくないなど
「自然は身体にいい」「おしゃれ」など
ちょっと前に流行ったロハス、
「健康と地球環境」意識の高いライフスタイルをやっていたつもりだったのかなあと。
それが「トンデモ」情報だったとは、全く感じていなかったのだと思います。
ちょっとしたトラブルで知り合った民生委員さんと知り合ったことで
X社に傾倒していき
著者のしらないところで娘さんのママ友、幼稚園、ご近所さん、親親戚まで
勧誘活動をしていきます。
著者は家中に増えてゆくX社の商品や奥様の言動に嫌気がさし
家に帰らなくなります。
そして著者の怒りが爆発し、奥様は娘さんをつれて出ていってしまいました…

たらればですし
よその家のことなのであれですが
たぶん軌道修正するチャンスは
読んでいて「ここでは?」がかなりあったと思います。
問題は「妊娠は俺がするわけじゃないから好きにしてもらおう」など
「奥様の出来事が自分事になってなかった」のが大きいと思いました。
はじめての子育てで、ベースに「トンデモを信じちゃう」があって
旦那さんが「好きにやっていいよ」
そりゃあハマるわ…と思いました。
ほったらかしすぎじゃん…そりゃ優しくしてくれる人になびくわ…
呑気に思ってました、著者のケースでは。
離婚調停のくだりは、民生委員さんのとこで入れ知恵されたのでしょうね
(著者のハンドルネームのくだりは素敵エピソードなだけにとてもしんどい…)

その後の、著者がSNSで集めた5人のケース。

・夫がハマった
・親友がハマった
・お母さんがハマった
・恋人がハマった
・友人が巻き込まれた

「お母さんがハマったケース」と、「友人が巻き込まれたケース」
これは恐怖でしかありません。
「お母さんがハマった」
このケースの場合子供はまだ幼く、お母さんのいうことを聞くしかない。
両親が新興宗教にハマった話を思い出しました。
ほぼ同じ感じで、マルチや宗教のためなら子供をつかうことに罪悪感はなく
そのハマり度合いが深いほど、家事などを行わなくなっていく等
共通点が多かったです。
また
「友人が巻き込まれたケース」は
「友人以外全員がマルチ側の人間だった」こと。
恋人も複数の友人らも全員グル。
どこでそうなったのか、よくわからない巧妙さが恐怖でした。
うっかりSNSとかで仲良くできない…
全員がマルチの人にみえてしまう…!!
誰を信じていいのか全然わからないのは不幸でしかありません。

正直「マルチ商法って高校の教科書で読んだやつ」くらいの認識でしたが
ハマってる人以外誰も幸せじゃないのでは??
そう思いました。
家族があっという間にハマってしまった。
もうそれに大金をつぎ込むことはしていないけれど、
実は別のマルチに…というケースも多いようで
その催眠がかかったような状態が完全に消えるのは
とても時間がかかるんだろうなと思いました。
科学的リテラシーは一長一短で身につくわけではありませんし
自分が正しいと思っていたことが誤りだった、ということは
案外日常でも多くあります。
それだけに用心したことにこしたことはないなあ
なんだか人を疑うのを当たり前にしたくはありませんが
哀しいことだなあとも思いました。
なにかおかしいと思ったら距離を取る。
「おかしいよね?」といってあげるのは大事だなと痛感しました。


ところで
金持ち父さん貧乏父さん
バビロンの大富豪の教え
など
有名著作をダシに使われてることに怒りを感じました。
いい本なのに!!
マルチのために書かれた本でしょ?と思い込んでる人もいるようで
とてもかなしいです。

妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。


著者:ズュータン
出版社:ポプラ社
発売日: 2021/1/14


【本日のサムネイル】
マルチ商法の勧誘のイラスト
マルチ商法(ネットワークビジネス・ねずみ講)の魅力を説明している女性のイラストです。

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