どんな内容なの?
日本にも、終末期の人や重度障害者への思いやりとして
HonyaClub より
安楽死を合法化しようという声がある一方、
医療費削減という目的を公言してはばからない政治家やインフルエンサーがいる。
「死の自己決定権」が認められるとどうなるのか。
「安楽死先進国」の実状をみれば、シミュレートできる。
各国で安楽死者は増加の一途、拡大していく対象者像、
合法化後に緩和される手続き要件、
安楽死を「日常化」していく医療現場、
安楽死を「偽装」する医師、
「無益」として一方的に中止される生命維持…などに加え、
世界的なコロナ禍で医師と家族が抱えた葛藤や日本の実状を紹介する。
序 章 「安楽死」について
近年の安楽死への関心の高まり、映画「PLAN75」、
障がい者施設殺傷事件などについて。
「安楽死」と「尊厳死」についても書かれています。
第一部 安楽死が合法化された国で起こっていること
第一章 安楽死「先進国」の実状
第二章 気がかりな「すべり坂」――線引きは動く
2008年から2009年安楽死の合法化が起き、各国で安楽死は合法となりました。
各国はどのようなルール化がされているのでしょうか。
そして、だんだんと安楽死のその対象が拡大されていきます。
第二部 「無益な治療」論により起こっていること
第三章 「無益な治療」論
第四章 コロナ禍で拡散した「無益な患者」論
「無益な治療」論とは、家族が治療の続行を望んでも
医療サイドに一方的に治療の差し替えや中止の決定がされていることをさします。
なぜそのようなことが起こっているのでしょうか。
第三部 苦しみ揺らぐ人と家族に医療が寄り添うということ
第五章 重い障害のある人の親の体験から医療職との「溝」を考える
第六章 安楽死の議論における家族を考える
終 章 「大きな絵」を見据えつつ「小さな物語」を分かち合う
障がい児を育てている著者が大学病院にて感じたことや
医師から見た障がい、家族からみた障がいや
日本での医療の考えなどが書かれています。
読んでみて
「安楽死」については、定期的に調べて読むようにしていますが
どの本もセンセーショナルな書き方がされていることが多いです。
SNSなどでは「日本も早く安楽死を導入したい」」と軽いノリで書かれているものをよく見かけます。
スイスやオランダなど、合法かつ外国人を迎え入れている団体は
ただ死にたいと思っている人の死を手伝っているわけではありません。
それは自国民の安楽死のみを扱ってる国でも同じです。
もう治らない病気であることなど一定のルールがあって、それらをクリアし
医師複数人と患者と家族との話し合いの末決定されるのです。
ですがその安楽死のルールがどんどんと簡略化、ルール無視になりつつあるのが現状です。
その危険性を本書は警告しています。
恐ろしいのは、治療すれば生き延びれる可能性がある人に
看護婦らが当たり前にように
「安楽死もありますよ」
と声をかけることです。
ルールに全くのっとってはいません。
お金が払えなそう、ベッドを長期間占領しそう、障がいがあって長くいきれないでしょ
そんな医療側の勝手な言い分で安楽死を薦めてくる医師も存在することは
私たちはなかなか知ることができません。
安楽死という言葉が勝手なイメージだけで独り歩きしてる今
その実態を見極めなければいけないと思います。
著者:児玉 真美
出版社:筑摩書房
発売日:2023/11/09
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人工呼吸器を口に当てて、病院のベッドに横になっている男性の患者さんのイラストです。
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