サブタイトルのとおり
北海道の開拓から現在までの
ヒグマによる人的被害状況をまとめたものです。
どんな内容なの?
![](https://moyukukamui.com/wp-content/uploads/2022/01/b7ad708aff1ad36ab20a868dd6d30ce5.jpg)
【あらすじ】
なぜヒグマは人を襲うのか?
資本主義的開発、軍事演習、大噴火などの天変地異…
「愛すべき山の隣人」はこうして最恐・凶暴な怪物となった―。
自然界の聖域に侵入する人間たちの欲望と、
それに牙を剥いた凶暴なヒグマたちによる凄惨な戦いの数々―。
膨大な資料をデータベース化し、歴史に埋もれた事件群を掘り起こす。序章 歴史に埋もれた人喰い熊―上川ヒグマ大量出没事件
HonyaClub より
第1章 明治初期の人喰い熊事件―石狩平野への人間の進出
第2章 鉄道の発展と人喰い熊事件―資本主義的開発とヒグマへの影響
第3章 「枝幸砂金」と人喰い熊事件―ゴールドラッシュの欲望と餌食
第4章 凶悪な人喰い熊事件が続発した大正時代―三毛別事件余話と最恐ヒグマの仮説
第5章 軍事演習とストレスレベルの関連性―大正美瑛村連続人喰い熊事件
第6章 受け継がれる人喰い熊の「DNA」―北見連続人喰い熊事件
第7章 十勝岳大噴火―天変地異とヒグマの生態系との関連
第8章 炭鉱開発と戦中戦後の人喰い熊事件―封じ込められたヒグマの復讐
第9章 樺太―パルプ事業の拡大と戦慄の「伊皿山事件」
読んでみて
![](https://moyukukamui.com/wp-content/uploads/2022/01/05dbe5f6074db6c6fba9afc3007c241a.jpg)
「すごい本を読んでしまった」
が一番強い感想です。
実は今まで様々なヒグマについての本を読んできましたが
ここまで徹底的にヒグマによる人的被害について調べあげている本はありませんでした。
マタギ、アイヌなど狩猟する側からの内容、(クマにあったらどうするか)
ヒグマの生態をまとめた内容、(アーバンベア)
特定のヒグマによる人的被害を掘り下げたもの(羆嵐)
等はありましたが
人的被害に特化したもの、
しかも開拓時代から近年までを各地方新聞からデータベース化
網羅したものは初です。
しかもそれをマッピングし
北海道がどのように開拓され近代化していったのか
おのおのの時代にヒグマがどのように翻弄されていったのかが
わかりやすくまとめられています。
またそのマッピングの方法もわかりやすいので
とても参考になります。
また、人間はこんなにも弱いものなのかと
圧倒的王者のヒグマの荒々しさと臆病さを再確認することも出来ます。
開拓による自然破壊と
噴火などによる自然災害によって
その性格までも変えなければ生きていけなかったヒグマを思うと
北海道の開拓は正しかったのかと疑問に感じます。
今までなかったヒグマ本です。
ヒグマの獣害記録としてだけでなく、開拓の歴史書としてもお薦めです。
著者:中山茂大
出版社:講談社
発売日: 2022/11/10
【本日のサムネイル】
ヒグマのイラスト
アラスカや北海道に生息する大きな体の熊、
ヒグマ(エゾヒグマ)のイラストです。
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