今回紹介する本は
「僕は猛禽類のお医者さん」
です。
どんな内容の本なの?

北海道釧路市にある、日本で唯一野生の猛禽類を保護・治療する施設、
HonyaClub より
それが「猛禽類医学研究所」。
自動車や列車との衝突事故、
風力発電の風車への巻き込まれ事故、
そして狩猟につかわれる鉛弾での鉛中毒などにより、
多くの野生の猛禽類に被害が出ています。
彼らの命を守るべく立ち上がったのが、獣医師である著者。
猛禽類医学研究所の立ち上げ、
仲間の獣医師やスタッフ、
関係者との出会い、
そして保護活動と前例のない治療……。
鳥たちとのドタバタな日常を送りながら、
いますべての人に伝えたい「本当の共生」とは?
猛禽類ってなあに?

猛禽類(もうきんるい)は、鋭い爪と嘴を持ち、
Wikipediaより
他の動物を捕食(または腐肉食)する習性のある鳥類の総称。
獲物を捕まえるための鋭い爪、
掴む力が強い趾(あしゆび)、
鉤型に曲がったくちばしを持つことが共通の特徴である。
ワシ、タカ、ハゲワシ、ハヤブサ、コンドル、フクロウが代表的である。
野生猛禽類と生きる

冒頭のこの章はカラー写真を用いて、著者の活動について書かれています。
猛禽類、釧路湿原野生生物保護センター、猛禽類医学研究所など
これ以降の章で取り上げる内容の写真もあり、わかりやすいです。
第1章 賢い野生動物 今風の生き方

猛禽類研究所に運び込まれる猛禽類は、あきらかに人間の影響で傷ついたものばかり。
傷ついた野生動物を治療し野生に返しても、根本的な原因が解消されなければ
またくり返し同じことがおこります。
第2章 野生動物との出会い

6歳に父の仕事でフランスへ。
そこで日本に住んでいた時以上に自然と触れ合います。
日本に戻りフランスとの教育の違いに戸惑いながらも、
獣医への道を歩みはじめます。
第3章 人間と猛禽類のチーム医療

猛禽類医学研究所の独自事業と、環境省からの委託事業
ロシアでのオオワシ生態調査と大忙し
それは二人の戦友に助けられているからこそのこと。
第4章 規格外すぎる!野生の猛禽類の治療

傷ついた猛禽類はどのようにして研究所に運び込まれるのか
またどのように治療するのか
どのような過程を経て自然に戻されるのかが書かれています。
第5章 環境にも治療が必要だ!

運び込まれる猛禽類の傷病や死亡の原因は、人間とのかかわりが原因らしい。
ではそれをどうやって解消させればいいのか。
「鉛中毒」
「交通事故」
「列車事故」など
その原因と解消方法をみていきます。
第6章 野生動物との共生はどうして大事?

野生動物とどうやって共存していけばいいのか
SNSやクラウドファンディングなどを用いて活動を続けています。
読んでみて

「獣医」というと犬や猫などのペット、
もしくは牛や馬などの家畜のイメージがありますが、
猛禽類の専門の獣医師というのは北海道らしいなと、タイトルをみて思いました。
幼少期をフランスで過ごした体験をきっかけに、
野生生物の獣医師を目指し、現在釧路で活動されていらっしゃいます。
学生時代のロッククライミングなど
趣味でやっていたことが現在も役立ってるのは
人生何事も経験だなと感じました。
著者自身の活動だけでなく
一緒に働いてる仲間たち(動物も含む)のことも書いてあります。
シマフクロウのちびと渡辺獣医師のエピソード
オジロワシの「ベック」の義嘴のエピソードは
動物のたくましさとかしこさ、やさしさが詰まっています。
猟に用いる鉛弾は北海道内は禁止になっているのは知っていましたが
2025年から本州も含めた全国規制になっていることは
本書にて初めて知りました。
この鉛弾については、
著者のもとに運ばれてきたワシたちが鉛中毒の症状を起こしてるのではないか?
と1996年から調べ続けて判ったことです。
鉛弾を使ってエゾジカを狩猟し、その鉛が体内にある状態のエゾジカの一部が放置され
それを食べた猛禽類が鉛中毒を起こす。
病理解剖を行い、それをまとめ、国際学会で発表したことで
このように規制されることとなりました。
ただ運ばれてきた動物を治療するだけでなく
「なぜこの動物はこのような状態になってしまったのか」と原因を探る
さらにそれを掘り下げていって、鉛弾の規制を訴えるというのは
時間も覚悟もいることでしょう。
鉛弾については一例ですが、
おなじように「なぜ?」と調べて
私たちの環境や道具が動物に対してこれ以上害にならないように
工夫の提案と啓蒙もされています。
動物と共存するにはどうしたらいいのか
真剣に考えなければならないことの一つではないでしょうか。
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