訊問の罠 ――足利事件の真実

ノンフィクション

【初回公開:2012/07/03 (Tue) 12:54】


尋問の罠

菅谷利和
佐藤博史

新書: 218ページ
出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009/8/27)
ISBN-10: 4047102083
ISBN-13: 978-4047102088
発売日: 2009/8/27
商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.8 cm

内容紹介
足利事件は””仕組まれた冤罪””だった!嘘の自白の強要、DNA再鑑定の抹殺、嘘の証言の強要、口封じのための?死刑執行などの、科警研・警察・検察・裁判所・法務省の恐るべき「犯罪」を、冤罪被害者と弁護人が告発する
恐怖の「任意同行」、「虚偽自白」の強要、「無実の叫び」の封殺・無視、「DNA再鑑定」の抹殺―。
冤罪被害者と弁護人が明かす、訊問と裁判の恐るべき実態。

著者について
菅谷利和 足利事件冤罪被害者。09年6月、逮捕以来17年半ぶりに無罪を勝ち取る。
佐藤博史 弁護士。早稲田大学客員教授。1948年島根県生まれ。71年東京大学法学部卒業。74年弁護士登録。
足利事件主任弁護人。足利事件の真実を明らかにすべく、検察・裁判所と闘い続けている。
(Amazonより

足利事件で冤罪になった菅谷氏と
その弁護士佐藤氏が交互に書いてる本書。

ここで足利事件がどんなものだったかを。

足利事件(あしかがじけん)とは、
1990年5月12日、日本、栃木県足利市にあるパチンコ店の駐車場から女児(4歳)が行方不明になり、
翌朝、近くの渡良瀬川の河川敷で遺体となって発見された事件。
犯人として誤認逮捕、起訴され、実刑が確定して服役を余儀なくされた菅家利和さんと、
遺留物のDNA型が一致しないことが2009年5月の再鑑定により判明し、
確実な無実、さらに冤罪であったことが発覚。
服役中だった菅家さんはただちに釈放され、その後の再審で無罪が確定した。
冤罪事件であると同時に真犯人が検挙されていない未解決事件でもある。
(ウィキペディアより)

当時DNA鑑定が初めて実証化された事件としても有名です。
いまでは当たり前のように使われているDNA鑑定。
当時は実はまだかなり怪しいものだったということ。
警察の化学班のメンツの為としか思えない事が普通に行われていたこと。
それらが書かれています。
菅谷さんの幸運だったことは、勇気をもってずっと無罪の主張をしていたこと。
一度は弁護人から見放され、そして佐藤弁護士に出会う事になる。
そして、佐藤弁護士が事件のほころびを解明していきます。

私がものすごく恐ろしいなと感じたのは
菅谷さんがIQが低かったということ。
障害者と健常者の間のような、そんなあいまいな人たちがいて。
菅谷さんもそのうちの一人だったけれど
それでもちゃんとまじめに働いていた。
いろいろヘリくつのような難癖をつけられて、お父さんが亡くなったショックもあり認めた。
事実とは全く違う、しらない事が警察検察の嘘でどんどんかためられてゆくこと。
ちゃんと話せば判ってもらえると思っていた
警察ってそういうものだと誰しもが思ってます。
まさか自分たちのメンツの為になるとは思わない。
警察も必ずしも正義ではないということ。
裁判所という司法でさえも、必ずしも正義ではない。
裁判員裁判という制度があって、誰かを裁かなければいけないということが
他人事ではない今だからこそ、読んでよかったと思います。

タイトル:訊問の罠 ――足利事件の真実
著者:佐藤 博史、菅家 利和
出版社:角川書店

訊問の罠 ――足利事件の真実 (角川oneテーマ21)


【2021/01/27 追記】
毎回書き終わった後にAmazonにてレビュー読みに行くのですが
この本がもう新品で購入できないことにショックを受けております。
まじか。
本書を読めばわかりますが(という文言は使いたくないのですが)
今後も冤罪事件はなくならないと思います。
このようなごり押し無理やり系冤罪はこれからもなくならないと思いますし
こういう社会的にも歴史的にも重要な事件についての著書が絶版になるのは由々しきことではないでしょうか…

【本日のサムネイル】
牢屋に入れられた人
犯罪または冤罪で、牢屋に入れられた男性のイラストです。

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