【ふるいけどあたらしい】活版印刷三日月堂

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文芸

【初回公開:2017/09/06 (Wed) 11:11】
こちらは旧ブログのアーカイブとなります。

活版印刷を知りませんでした。
完全作者買いというかたちで購入しましたので
なんだろう?印刷屋さんの話なんだろうな、くらいの気持ちで読み始めました。

活版印刷(かっぱんいんさつ)は、
凸版印刷の一種で、金属や木に文字を彫り込み判子状にしたもの(活字)を
並べて文章にした板(活版、組版)を作り、
それに塗料を塗って印刷すること。
また、その印刷物。鉛版・線画凸版・樹脂版などの印刷も含めていう。
活版刷りともいう。
(Wikipediaより

Wikipediaより

活版印刷については本書にも細かく描かれているので
まったく知らなくてもだいじょうぶです。
舞台は埼玉県川越市。
ひとりの女性が仲間とランニングするところからはじまります。

本書は4編のお話で一冊になっておりますが
この最初の話ではまだ活版印刷所は存在しません。
かつて活版印刷所だった場所にとある女性が引っ越してきます。
その女性が活版印刷三日月堂を営むことになっていきます。
とてもゆっくりとした流れで進んでいきます。

普段買いに行くパン屋さんでレジを打つおねえさん。
おねえさんはパン屋さんで働いていますが
彼女にも人生があり日々なにげない日常を送っています。
わたしやあなたに関わるのはパン屋さんとしてですが
一個人としてくらしている。
当たり前ですがそういうのを思い出させてくれます。

最初の話が次につながり、それがまた次につながる。
そのつながりは強引ではなく
当たり前の日常そのもののようにつながっていきます。
印刷所で作るのは年賀状だけではありません。
きっと読んだらなにか印刷してみたい、
近くに活版印刷所はないかな?と思う本です。
ほんとうになんでもないあたりまえの日常がつまった本で
もっとこんな本がふえてほしいなあと思っています。


【2023/4/24 追記】
買ったけれど読まずに(読めずに)積んである本
いわゆる「積読」
そのうちの数冊が三日月堂です。
著者であるほしおさなえさん @hoshio_s
このシリーズを縁に実際活版印刷でご自身の作品を制作もなさっています。


どんな人も笑っていてもこころのなかに自分だけの嵐があると思っています。
話すことはないかもしれませんが
悩んだりずっと心に秘めていることがあったり
それは些細なことかもしれませんが
それらは個人的に大切だったりつらいことだったり。
それらは各家庭にも存在して
どんなに仲がよい家族でも、その家族だからこその感情があると思います。
そんな表現しにくい機微に触れることまでも表現されているお話です。
中学生くらいのお子さんにも是非読んでいただきたいですね。


活版印刷三日月堂・星たちの栞
ほしおさなえ(著)

文庫: 311ページ
出版社: ポプラ社 (2016/6/3)
言語: 日本語
ISBN-10: 4591150410
ISBN-13: 978-4591150412
発売日: 2016/6/3
梱包サイズ: 15.2 x 10.8 x 1.6 cm

活版印刷三日月堂 星たちの栞

内容紹介

「伝えられていない〝言葉〟はありませんか――」
発売前から社内外で感涙・絶賛の声、続出!!
優しさと切なさと感動の詰まった、今年一番の自信作!

<内容>
川越の街の片隅に佇む印刷所・三日月堂。
店主が亡くなり、長らく空き家になっていた三日月堂だが、
店主の孫娘・弓子が川越に帰ってきたことで営業を再開する。
三日月堂が営むのは昔ながらの活版印刷。
活字を拾い、依頼に応じて一枚一枚手作業で言葉を印刷する。
そんな三日月堂には色んな悩みを抱えたお客が訪れ、
活字と言葉の温かみによって心が解きほぐされていくのだが、
弓子もどうやら事情を抱えているようで――。


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