南極ではたらく かあちゃん、調理隊員になる

ノンフィクション

南極地域観測隊に調理隊員として参加した記録、というと

すっごくお堅い本

もしくは「南極調理人」のようなイメージだと思います。

私も後者だったのですが、実はその作品読んだことも見たこともなく。

一体どんなことをするんだろう?

そう思い手を伸ばしました。

南極地域観測隊は「夏隊」と「越冬隊」にわかれる。

夏隊は南極の夏にあたる12月中旬から2月中旬までの約二か月間観測活動を行う。

越冬隊はそれからさらに冬を越えて一年間観測を続ける。

観測隊員は研究観測や、定常観測など担当し、設営担当は基地の設備や生活の維持を担当。

観測をする隊員より生活と基地の維持をする隊員の方が数が多い。

これは「はじめに」のほんの数行なのですが、これだけでもう「南極って思った以上に過酷なのかも?」と予想されます。

「そもそも南極観測隊の調理隊員はどのように選ばれるの?」

「一年も南極にいて食材はどうしていたの?定期的に輸送されるの?」

「ごはんはどんなもの作ってたの?」

「ケーキとかあまいもの、し好品って食べれるの?」

全く未知の世界なので知りたいことがいろいろありますが、それに答えるように書いてあります。

なぜ南極行きたいと思ったのか。

家族はどう思ったのか。

南極で毎日どんな生活をしていたのか

南極で調理にあたってこまったことなど…

各章のあいだに昭和基地の豆知識だったり、食事事情のことだったり

南極で出来ること、できないこともかいてありとても興味深いです。

思ったよりもわかりやすい言葉で書いてありますので

するする読めるのもありがたいです。

逆に言えば「もっと知りたい!」と思うことが書いてないので物足りなさがあるかもしれません。

(もしかしたら守秘義務契約があるのかもしれません)

また、調理隊員で採用されましたがごはんを作っていればいいわけではなく。

この観測隊、全員が持ち場が決まっており誰も変わりはいません。

(調理は遠方観測についていく場合もあるので二人います)

なので、雪かき(!)や設営などはみんなで行います。

当たり前なのかもしれませんが、南極でも雪かきするんだ…

風が強くて空気も乾燥してそうだから吹き飛ばされて雪かきしなくてもいいイメージだったので

すごく驚きました。

また女性隊員は著者しかおらず、そのことについても書いてあります。

文章がかなり軽めなので「楽しいなー」「そうなんだー」と読めるのですが

南極にはこの観測隊しかいないのです。

楽しいと、観光気分で一年間続けられるわけがないのです。

そういう極限生活をするに当たって大切なものはなにか。

それは南極だけでなく私たちの日常でもとても大切なものかもしれません。

この南極観測隊は無事全員が帰路に就けました。

「無事にかえること」

それだけのことがとても難しい、ちょっとの気のゆるみで怪我や死に至ってしまうそんな世界でした。

大げさではなく。

タイトル:南極ではたらく
著者:渡貫淳子
出版社:平凡社

南極ではたらく:かあちゃん、調理隊員になる

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