今回紹介する本は、地方の工業団地でおきた連続事件というホラー小説です
とある場所に工業団地が作られることとなった。
その場所は一面の笹原で昔から誰も入ってはいけないといわれていた。
工業団地になったそこは自動車のパーツを作る工場が複数建てられて24時間フル稼働していた。
バブル景気の最中の春、取引先大手の自動車会社の新機種そのパーツをこの工場で作ることになった。
いつもの仕事にくわえて、試作品づくり。
取引先からは無茶な品質要求を突きつけられて、連続の残業に皆疲弊していた。
ささいなことから工場内で喧嘩が勃発、若い社員が中堅社員を殴って流血沙汰になったのだ。
若い社員はその場から逃走、そして病院に搬送された中堅社員はなぜか病院から飛び降り自殺…。
同時に工場内に怪音がきこえるようになる。
さらに工場内でひとり倒れている社員が発見される。
これは逃亡中の若い社員が関りがあるのだろうか…
この本は工場系に勤務したことがある人ならば
あまりのリアルさにぎょっとすると思います。
私も電気基板工場に勤務していたことがあり、殺人事件はなかったものの
この切羽詰まった状況や、品質管理の確認に奔走しました。
なので事件が起きても動き続ける工場が異質だと書かれても
どうしても苦笑が出てしまいました。
事件よりも、いついかなる状況下でも動かし続ける工場の異質さがメインなのかもしれません。
タイトルである「猿神」ですが
実際猿を神として祭る猿神信仰が存在しますが、本書では異なるようです。
山中にある笹原の中にある石碑、最後に出てきたニホンザルらしきもの。
はっきりとその正体は書かれていません。
あの工業地帯の場所は禁足地だった、ということでしょうか?
個人的にはあれだけの事件が起きて猿神が篠島に乗りうつりました、とさえはっきり描写がないのはどうなのかなと思います。
あの地が工業団地になる前のエピソードなり、篠島が石碑の前に立っていたなど
篠島が猿神に乗りうつられる確証が欲しかったです。
ホラー小説特有の理由ぼんやり系ですが、映像にしたら映えそうなシーンが多かったので実写化は向いているなとも思いました。
ぜひよんでみてね(((・ω・)♪
タイトル:猿神
著者:太田忠司
出版社:幻冬舎
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