2018年より
小児性愛障害と診断され
子どもへの性加害を体験した人に特化した治療プログラムを行っている
精神保健福祉士の書かれた本です。
犯罪なのに、病気って?
ご自身のクリニックで150人以上治療したことで見えてきたもの、
データが書かれています。
この犯罪は子どもに対する犯罪ということで
他の性犯罪者から見下される傾向や
再犯率がとても高いことが特徴です。
刑期を終えて出てきても、仕事がうまくいかないなど
ストレス状態の時にひとりで歩いている子どもをみかけて…
と再び行ってしまうケースが多いそうです。
またこれが「病気である」と認識しにくいのも特徴です。
アルコールやギャンブルと同じ「依存症」で
仕事中に「子どもに触れたい」という考えが浮かんで
仕事が手につかなかったり
たまたま人気のない場所にて子どもをみかけた時に
衝動的にスイッチが入ったり…
ひと昔前は海外にいって児童買春を…というひとたちもいたそうです。
どんな治療なの?
またこちらのクリニックで行われている治療プログラムですが
こちらは任意であって
強制的に治療を受けさせているわけではありません。
なので数回受診、のちに来なくなる患者さんもいるようです。
根本的治療というよりは
アルコールや薬物の治療のように
「どうすれば衝動的行動をなくせるか」
などの対話などになるようです。
再犯防止の対策はどうなってるの?
「アメリカのメーガン法を取り入れる」
「一生刑務所にいれてほしい」
さまざまな声もあるそうですが
実際どれも税金がものすごくかかったり
効果が出ていないなど
問題があるそうです。
刑務所のプログラムも
刑期が終了間近に行うことが出来なかったり
なにより
「刑務所に子どもはいない」ので
日常のように欲望は生まれず平穏に過ごすケースも多いそうです。
ミーガン法は、
Wikipediaより
本来1994年にアメリカのニュージャージー州で成立した
性犯罪者情報公開法の俗称である。
被害者女児の名を由来としている。
その後他州や連邦レベルでも類似の法律が制定されるようになり、
現在ではこれらを含めアメリカの性犯罪者情報公開法を一般的に
ミーガン法と呼ぶことが多い。
メーガン法とも表記される。
一般に性犯罪者とよばれる人々をさまざまなメディア、
場合によってはインターネット上に公開して
身元を特定することを司法権力に要求するものである。
加害者は事件についてどうおもっているの?
すべての加害者の共通になりますが
「彼らのなかに被害者はいません」。
その存在はきれいに記憶から抜け落ちており
「求められているから、反省と謝罪の言葉を述べる」のです。
相手や周囲の目に
「いかに反省しているかを映す」ことが
大切なのです。
この本は小児性愛に特化しているものですが
すべての犯罪加害者にも共通することではないでしょうか。
読んでみて
と
共通することも書かれていました。
「自分がおかしい」と治療に来るよりも
家族に説得され、しぶしぶ…という人が圧倒的に多いといいます。
性犯罪は病です。
「ちょっとくらいいいじゃん」
「相手も喜んでいた」
「純愛なんです」
それは加害者の認知の歪みで
それが正しいとかたくなに思っていることに
恐怖を感じます。
被害にあった子どもたちに
その後どのような影響を与えてしまっているのか。
無垢だから知らないからこそ
守るべき対象なのであって
子どもは大人の玩具ではないのです。
どうか一人でも自覚してほしいと思いますが
なかなか難しいようです。
【あらすじ】
50人を超える小児性犯罪者に関わってきた著者が語る、
加害者の心理とは?“認知のゆがみ”とは、何か?衝撃の現実!第1章 純愛幻想と飼育欲―その身勝手な論理
第2章 問題行動―病と気づくまで
第3章 逆境体験―依存症から抜け出すために
第4章 児童ポルノ―加害の引き金になるもの
第5章 犯行現場―加害者はすぐそばに
第6章 再犯防止―期待される有効な治療とは?
第7章 回復責任―“やめ続ける”ために
第8章 支配感情―敬われたい男たち
対談 “加害しない自分”をどのように保ち続けるか?
子ども性加害経験者に話を訊く精神保健福祉士として様々な依存症治療に携わる著者。
HonyaClub より
自らが数多くの「性加害者」の治療にあたった経験から
導き出された各種の性犯罪者の傾向に関する考察。
精神疾患である「小児性愛」であるが故に犯罪が起きるのか、
性犯罪者は病気を理由に同じ罪を重ねるのか。
著者:斎藤章佳
出版社:ブックマン社
発売日:2019/11/20
【本日のサムネイル】
ガラスのハートのイラスト
脆いガラスの心臓(ハート)が粉々に砕け散っているイラストです。
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