【反省とは未来を変えること】防災アプリ 特務機関NERV: 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年

ノンフィクション

防災アプリ 特務機関NERV(ネルフ)を制作、運営している
ゲヒルン株式会社の創業者 石森大貴氏の半生と防災に対する気持ちを綴ったノンフィクションです。

どんな内容なの?

【あらすじ】
ツイッターフォロワー数140万人、
スマホアプリダウンロード数206万回―。
かつて、「謎の災害速報アカウント」と呼ばれた「特務機関NERV」は、
今や社会インフラになった。
アカウントの始まりは、2010年にひとりの大学生が始めた「遊び」。
だが、2011年の東日本大震災が行く末を大きく変えた。
宮城県石巻市出身の「中の人」石森大貴が何を思い、
どのように「インフラ」と言える災害情報配信システムを築いていったのか。
「天才」と呼ばれる技術力と、
経験に裏打ちされた信念が結実するまでの、情報と防災にかけた10年を追った。

HonyaClub より

序章 最速の防災アカウント

新世紀エヴァンゲリオン
その物語に登場する特務機関NERV(ネルフ)
その名をつかったTwitterアカウントがある。
それは誰が運営しているかはわからないが、防災アカウントとして有名だった。

第1章 3月11日

2011年3月11日14時46分
東日本大震災
その時石森氏(以降敬称略)は東京でそれを感じていた。
彼の出身は宮城県石巻市
たまたま仕事で神奈川県にいた父と連絡が取れ、
実家にいた妹と一度だけ電話がつながった。

第2章 熱意と技術

震災後一年、彼は大好きだった伯母の葬儀に出席していた。
伯母はその職場であった病院ごと犠牲になっていた。
災害の情報を「早く」「正確に」把握し、届けられたなら。
大切な人たちに「逃げて」を伝えられるかもしれない。

第3章 Lアラートと作画システム

特務機関NERVの情報は石森自身がつくったプログラムを日々改良し
素早く届けられるようになっている。
さらにより早く正確な情報を伝えるために
「公共情報コモン」に接続することを目指す。

第4章 起業と経営

セキュリティ企業「サイバーディフェンス研究所
そのアルバイトをはじめた縁で起業を薦められ
ゲヒルンを立ち上げた石森。
やりたいことがあったわけではなく、
ホームページやウェブサービスの仕事をしていた。
やはりセキュリティの仕事をしようと
ベンチャー企業「アラタナ」の社長にメールをする。

第5章 防災アカウントとして

創立して、のち2016年
そのころのNERVの運営は石森の個人的な活動としてが色濃かった。
ゲヒルンに「技術開発部 技術局防災チーム」が発足。
新たなメンバーらで作画システムが改良されていく。
そんななかNERVの弱点克服にも着手されていった。

第6章 災害と、新たな挑戦

2018年 NERVが気象業務支援センターと専用回線でつながった年だったが
同時に災害が続いた年でもあった。
そのなかでも7月6日「大雨特別警報」が発令された。
その西日本豪雨のあとで
どのように指定河川洪水予報を伝えるかが課題となる。

第7章 「情報では命を救えない」

2019年6月NERVのTwitterアカウントが突然凍結される。
それは解除されたものの、今まで以上に
「自分たちが管理できるプラットフォームを持つべき」
という認識が強くなり、アプリ製作が加速していく。
エヴァンゲリオンの世界観のままアプリ化をしていいのか、
その世界観に恥じないかつ見やすいデザインはどうしたらいいか、
androidアプリ開発はどうしたらいいか、
さまざまな困難をメンバーらは解決していく。
そんな中で石森との連絡がつかなくなってしまう。

第8章 哲学と実装

なにもかも投げ出した石森は実家に帰省
そしてたまたま訪問した「リアス・アーク美術館
そこで彼の気持ちを大きく変えることとなる。

第9章 特務機関NERV防災アプリ

そうしてアプリはios、androidともに無事リリースとなった。
その後もさまざまな機能の実装やアップデートを行っている。
「逃げるための判断に役立つ情報を届ける」ことを念頭に開発されてきたが
さらに色覚異常当事者でもみやすい「カラーバリアフリー」化、
音声合成エンジンを用いての声で情報を届けるなど
どんな人でも使いやすいよう開発が続けられている。

終章 反省とは、未来を考えること

2021年霞が関の経済産業省
そこでゲヒルンは情報化促進貢献個人等表彰の
経済産業大臣賞を受賞した。


読んでみて

東日本大震災当時、揺れが収まったあとでも自宅にいたために流されてしまった
そんなニュースはよく耳にしました。
ゲヒルンの代表石森氏のご家族も同じ体験をされています。
家族は無事でしたが、それがずっと彼の心の中に居座ることとなります。
「にげて」
それが伝えられたら、
その気持ちはTwitterアカウントの運営が大きく変わりました。

簡単にできることではないです。
自分ができることはないか
そう突き詰めて、防災アプリまで作った天才プログラマーの話でした。
あれから10年以上が経過し、その間日本では全国的に
自然災害がおきています。
そんな時どうしたらいいか。
地震や津波だけでなく、豪雨による水害、または豪雪など
「防災情報のグーグルを目指して」と本書にありましたが
アプリリリース後の追加開発は、
実にさまざまな災害を想定されています。
ただそれは「情報」でしかなく、「それをみてどう動くか」、
それを考えるのは私たち個人です。
アプリの利用だけでなく
「こんな時どうするか」
「どこに避難するか」
その先につなげるためにあるアプリだと思いました。




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