今回紹介する本は
「暗闇から世界が変わる ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの挑戦」
です。
どんな内容の本なの?

1993年、ある日出合った新聞の囲み記事───
欧州で視覚障がい者が案内する「闇の中の対話」
というイベントが流行っているという記事───
を見て、「これだ」と思ったことから、
最初はひとり、まったく手探りの社会を変える挑戦が始まった。仲間を募り、法律の壁を超えて、1999年に初開催。
そして2009年からは東京・外苑前で常設化。
その後も幾多の困難を乗り越え、
ビジネスワークショップ、アテンドである視覚障がい者の成長、
もちろん著者自身の成長、そして日本オリジナルの「暗闇の中の対話」へ。すべての肩書き、立場から自由になれる「暗闇での対話」から、
HonyaClub より
人間関係の意識も変わる。
社会を少しでも良くしたいと思っているすべての人へ贈る物語。
ここから日本の希望は始まる。
ダイアログ・イン・ザ・ダークってなあに?

ダイアログ・イン・ザ・ダーク(Dialog in the Dark)とは、
照度ゼロの暗闇空間で、聴覚や触覚など視覚以外の感覚を使って
日常生活のさまざまなシーンを体験するエンターテイメント。
「DID」と略称されている。参加者は数人のグループとなり、事前に白杖を渡され、
完全に光を遮断した照度ゼロの暗闇空間を探検。
視覚以外の感覚を研ぎ澄まし様々なシーンを体験する。
暗闇内では「アテンド」と呼ばれる視覚障害者のスタッフが参加者を案内する。1988年、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケ(英語版)の発案によって誕生。
世界41か国以上で開催されており、900万人を超える人々が体験。
日本では1999年11月の初開催以降、21万人以上が体験している。現在は、ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森®」と、ダイアログ・イン・ザ・ダーク「内なる美、ととのう暗闇。」で一般向けの体験が可能。また、企業・団体向けの暗闇でのビジネスワークショップも実施している。
第1章 ダイアログ・イン・ザ・ダークとの衝撃の出会い

当時会社を立ち上げた著者は、今のままでいいのかと思うようになっていた。
そんな矢先に日経新聞の夕刊でとある記事を目にします。
第2章 開催まで。六年半の試行錯誤

ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下DID)の記事をみてから2年後
著者はイタリアのローマにて実際にDIDを体験をします。
そしてその発案者であるハイネッケ氏と出会います。
第3章 日本版、走り出す

1999年東京ビッグサイトの総合展示場、そこで初めて日本でのDIDを開催します。
わずか二週間前に「開催できそう!」とボランティアスタッフを集め
そのスタッフもDIDを体験したことがない状態での手探り状態…
そんな状況で日本版DIDはスタートしました。
第4章 見えているもの、見えていないもの

DIDでは視覚障がい者がアテンドをしてくれます。
日常ではなんでもできる健常者でも暗闇では逆の立場となります。
目が見えないというのは本当に障がいなのでしょうか
第5章 大規模開催から常設化を決心する

評判が評判を呼びチケットが即日完売となっていた当時
「どうしたら長期間開催できるか」
そんな案が浮上するようになりました。
実はそう簡単にいかないさまざまな理由があったのです。
第6章 常設化への壁

大きな事件や事故が発生したことによって、開催するはずだったイベントが白紙になる。
複数回そんなことがおきたことにより、より常設イベント化したい気持ちが募りますが
会場がなかなかみつかりません。
実はDIDに適した会場の条件「暗闇にする」というのは難しいのです。
第7章 常設化。どん底からの再出発

イベント時はチケットが即完売だったのに、常設化してみたら稼働率が低下。
そんななかスタッフの間で「障がい者を使って儲けている」と誤解が生じてしまいます。
スタッフの意識改革を進める中、DID本部からひとりの女性がやってきました。
第8章 価値を転換させる装置

東日本大震災の一週間後DIDはいつも通りの営業をスタートさせます。
そんな中実際被災した人も体験に訪れてくれました。
第9章 一休みして考えた

2014年公演中に著者は体調不良を訴え、緊急手術となりました。
倒れたことで気づいたこともあります。
視野が広がったこと、自分がいなくてもスタッフたちがうごいてくれたこと。
読んでみて

2019年から明治神宮に常設会場となっている
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」
その日本代表である著者が体験し、日本で開催、常設、その後までを綴ったのが本書です。
DIDが日本に受け入れてもらうためには、本部であるドイツのやり方ではなく
日本独特の方法でなければならなかったこと。
日本人特有の「一度体験した」ものを複数回入場しないこと。
(ドイツでは体験よりもアテンドとの会話を楽しむものとして考えられていた)
それを鑑み、複数コンテンツを作り、ビジネス向けコンテンツを作る。
他のエンタメコンテンツでもあるあるの問題を乗り越えていく部分が興味深かったです。
普段の生活では「しょうがい」ととらえられる視覚障がい者が
暗闇では私たちを導いてくれる。
何を基準にするかによって「あたりまえ」がかわるという体験は
日常ではなかなか体験することができません。
だからこそこのような施設は今後も重要なものだと思います。
暗闇で耳をすまして、手で触れて、会話することで
知ることが出来ることは沢山あります。
五感の豊かさを感じに行ってみませんか。
現在もダイアログ・イン・ザ・ダークは常設会場にて体験することができます。

暗闇から世界が変わる ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの挑戦
著者:志村真介
出版社:講談社
発売日:2015/3/19
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【本日のサムネイル】
白杖のイラスト
視覚障害者が道を歩いたり障害物を避けるために使う、白い杖のイラストです。
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