今回紹介する本は
坂上香さんの
「プリズン・サークル」
です。
どんな内容なの?

受刑者が互いの体験に耳を傾け、本音で語りあう。
Amazonより
そんな更生プログラムをもつ男子刑務所がある。
埋もれていた自身の傷に、言葉を与えようとする瞬間。
償いとは何かを突きつける仲間の一言。
取材期間一〇年超、日本で初めて「塀の中」の長期撮影を実現し、
繊細なプロセスを見届けた著者がおくる、圧巻のノンフィクション。
【目次】
プロローグ「新しい刑務所」
ある傍観者の物語
感情を見つめる―四人の物語
隠さずに生きたい
暴力を学び落とす
聴かれる体験と証人―サンクチュアリをつくる
いじめという囚われ
性暴力 光のまだ当たらない場所
排除よりも包摂
助けを諦めさせる社会
二つの椅子から見えたもの
被害者と加害者のあいだ
サンクチュアリを手わたす
罰の文化を再考する
エピローグ「嘘つきの少年」のその後
読んでみて

島根あさひ社会復帰促進センターは、官民協働で運営される新しい形態の刑務所です。
ここでは、受刑者の再犯防止を目的とした更生教育や、就労に向けた職業訓練など、
先進的な試みが行われています。
本作は初犯で犯罪傾向が進んでいない受刑者を対象とした
更生プログラムを追ったドキュメンタリー映画の書籍版です。

「そもそも、刑務所の中を撮影できるのか?」
誰もが抱くこの疑問の裏には、
著者の粘り強い交渉と、気の遠くなるようなプロセスがありました。
撮影場所や質問内容、時間に至るまで施設側から細かく制限され、
時には撮影済みの映像が公開不可になることも。
著者は「なぜ撮るのか」を根気強く説明し続け、
ようやくこの貴重な記録を世に送り出したのです。
プログラムを受け、変化していく受刑者たち。
何度も繰り返し受けることでようやく自分に向き合えるようになった者、
いまだに実感が湧かない者、
自分には関係ないと冷めている者……。
しかし、彼らが犯した罪と人生を紐解いていくと、一つの過酷な事実が浮かび上がります。
それは、多くの受刑者が幼少期から深刻な虐待を受けていたということ。
家庭内での暴力が当たり前だった環境で育ち、
その連鎖を断てずに自分も他者に暴力を振るってしまう。
嘘や窃盗が日常にある世界で生きてきた彼らにとって、
犯罪はあまりに身近な選択肢であり、
それ以外の生き方を知る機会が奪われていたとも言えるのです。
プログラムの中で、彼らは少しずつ仲間に本音を語り始めます。
それを見て喜ぶ者もいれば、揶揄する者もいる。
それでも対話を重ねるうちに一人ひとりが思考し、自分自身の内面を言葉にし始めます。
人が変わっていく過程、誠実に罪と向き合い、未来を模索する姿。
「罪は許されるのか」
「更生とは一体何なのか」
読み終えた後、その問いが重く心に残り続ける一冊です。
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【本日のサムネイル】
刑務所のイラスト
実刑判決を受けた受刑者を収容するための刑務所のイラストです。



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