どんな内容なの?
全てに無気力な20代無職の「私」は、ある日海岸で小さな蟹を拾う。
HonyaClub より
それはなんと人の言葉を話し、体の割に何でも食べる。
奇妙で楽しい暮らしの中、私は彼の食事代のため働き始めることに。
しかし私は、職場でできた彼女を衝動的に殺してしまう。
そしてふと思いついた。
「蟹…食べるかな、これ」。
すると蟹は言った。
「じゃ、遠慮なく…」。
捕食者と「餌」が逆転する時、生まれた恐怖と奇妙な友情とは。
話題をさらった「泣けるホラー」。
第20回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作。
収録作品はふたつ
タイトル作の「かにみそ」のほかに
「百合の火葬」という短編も収録されています。
忍は父の初七日の法要後に現れた女性キヨノとなぜか暮らし始める。
キヨノに出ていってしまった母の姿を重ねる忍。
キヨノは家の裏にある空き地に花を植えるといい動き始める。
読んでみて
「泣けるホラー」とキャッチコピーのある本書ですが、
どこで泣けばよかったのかさっぱりでした。
たぶん蟹の最期なんだろうなとはわかるのですが
いかんせんそれまで蟹が自由奔放すぎたのと
「私」が蟹に対し恐怖を感じていたことで
泣くまでには至りませんでした。
海でしゃべる蟹を連れて帰って
食欲旺盛な蟹のために働きだして
そこの女性上司とねんごろになり
うっかり上司を殺してしまったので
蟹に食べてもらいます。
ヒトの味を知った蟹は今まで以上に食欲旺盛となって
蟹と「私」はヒト狩りをはじめます。
狩る側だったら楽しいかもしれませんが
それが逆になったら、そりゃあ勘弁してほしいですよね。
蟹は大きさを自在に操れるので普段はふつうの大きさですが
食事中は大きくなるのです。
成人男性だったら「一口かなあ」の大きさ。
次第に恐怖を感じるのが当たり前です。
行方不明となった(最初に蟹に食べられてしまった)女性上司の代わりにやってきた上司
彼から女性上司の過去を聞いた「私」は倉庫の奥に向かい
ひとつの遺体を見つけます。
そしてそれを蟹に与えます。
女性上司の秘密をなぜ「私」が消したのか。
それはうっかり殺してしまった彼女への罪滅ぼしだったのかもしれません。
著者:倉狩聡
出版社:KADOKAWA
発売日:2015年9月25日
【本日のサムネイル】
いろいろなアレルギー食品のマーク(特定原材料)
アレルギーの原因になりやすいといわれる食品のうち、
表示が義務化されている特定原材料(かに・えび・卵・乳・落花生・小麦・そば)
のイラストのマークです。
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