雑誌「ナショナルジオグラフィック」の企画PHOTO ARK(ふぉとあーく)のひとつの写真集です。
PHOTO ARK(ふぉとあーく)とは
世界の動物園、保護施設で飼育されている1万5000種の動物をすべて写真で記録するプロジェクト。
写真家のジョエル・サートレイが中心になって立ち上げました。
動物の姿を記録し、発表することで、絶滅の危機にある動物への関心をもってもらい、また未来の世代に動物の姿を伝えることを目的としています。
アークとは箱舟のことをさし、フォトアークとは「写真版のノアの箱舟」を意味します。
本書にはこのフォトアークより300種を掲載してるそうです。
背景が真っ黒、もしくは真っ白で、動物の写真が掲載されています。
片面一ページ、時々見開き一ページに載っている動物の写真は生き生きとしてるもの、
とぼけた表情をしてるものもありますが、ほぼキリっと緊張してるかのようです。
背景をおいて、適切な照明を当てる。
小さい動物は、壁と床が白または黒の空間に置けばいいだけだ。
柔らかい布を張った撮影テントがその役目を果たす。(中略)
シマウマ、サイ、ゾウといった大きくて用心ぶかい動物になると、背景を設置して自然光だけで撮影する(中略)
大切なのは、完全な黒または白を背景に、動物の鮮明なポートレイトを仕上げること。
このような動物の写真集で撮影の舞台裏がかかれてることはほぼありません。
動物たちのストレスを最小限にするために撮影は速やかに行われます。
何のために写真を撮影しているのかを徹底的に意識されていると感じました。
またナショジオの本らしいなあ!と感じたのは
IUCNレッドリストの分類が書いてあることです
IUCNとは
IUCNとは国際自然保護連合。国際機関です。
【IUCNの分類】
EX:絶滅種 種の最後の個体が死んでいることに合理的な疑いがない。
EW:野生絶滅種 種の個体が飼育下でのみ、もしくは以前の生息域から離れた場所に定着させた個体群のみ存続している。
CR:絶滅寸前種 入手しうる最も確かな証拠が、野生では絶滅のきわめて高い危険に直面していることを示す。
EN:絶滅危惧種 入手しうる最も確かな証拠が、野生では絶滅のかなり高い危険に直面していることを示す。
VU:危急種 入手しうる最も確かな証拠が、野生では絶滅の高い危険に直面していることを示す。
NT:準絶滅危惧種 評価の結果、現時点では上記分類には該当しないが、それに近い保全状態であると判断された。
LC:低危険種 評価の結果、上記のいずれの分類にも該当しないと判断された。
DD:情報不足種 絶滅の危険性を十分に評価できるだけの情報がない。
NE:絶滅の危険性評価が行われていない。
この分類を知っていると、例えばWikipediaで動物を検索した際に
その種がどのような分類をされているかわかるようになります。
(画像はWikipediaより)
※赤で囲った部分がIUCNの分類になります。タヌキの場合LC:低危険種になります。
「絶滅危惧種」という言葉は広く浸透してますが、それは種類があること、どの動物がどんな状況下にいるか、このIUCNの分類はわかりやすいと思います。
写真と名前、学術名とIUCNの分類、そして少しの説明。
その簡潔な説明で、この種における危機が伝わってきます。
もっと掘り下げて調べたい場合は他の本でインターネットで調べればいい。
私たちが思ってるよりも沢山危機的状況の動物はいるということが伝わってきます。
この本は動物園や保護施設にいる動物や爬虫類のみですが、実際絶滅している、絶滅しそうなのは昆虫や植物も同じで、それらは載っていません。
私たちが知らないところで、動物や植物が消えていこうとしていることに向き合わなければいけないと思います。
どの写真もハッとする美しいものなので、動物写真集としてもお薦めです。
※サムネイルは写真集にも掲載されていたバーバリーライオンのイラストです。
いらすとやさんにバーバリーライオンがあるのも驚きですが
説明もきっちりかかれていてびっくりです。
タイトル:PHOTO ARK 消えゆく動物 絶滅から動物を守る撮影プロジェクト
著者:ジョエル・サートレイ エリザベス・コルバート
出版社:日経ナショナルジオグラフィック社
PHOTO ARK 消えゆく動物 絶滅から動物を守る撮影プロジェクト
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