帯やキャッチコピーに騙されてはいけない!!!
乱倫なパンダ、売春するペンギン、トイレで婚活するナマケモノ
なーんて帯に書いてあったらえっちな本って思うべやーーーー!!
全くえっちな内容ではありませんので!!
ではタイトルの「子どもに聞かせられない」は何を指しているのか?
フィシオロゴスという本をご存じでしょうか。
フィシオロゴス(ギリシア語 : Φυσιολόγος, ラテン語 : Physiologus)は、中世ヨーロッパで聖書と並んで広く読まれた教本である。表題の「フィシオロゴス」とは、ギリシア語で「自然を知る者、博物学者」と言う意味である。ヨーロッパでは、5世紀までに訳された、ラテン語版に従って「フィシオログス」(Physiologus)と呼ばれている。
さまざまな動物、植物、鉱物の容姿、習性、伝承が語られ、これに関連して宗教上、道徳上の教訓が、旧約聖書や新約聖書からの引用によって表現されている。とくにラテン語版は、のちに中世ヨーロッパで広く読まれる動物寓意譚(Bestiarium)の原型になったと言われる。
Wikipediaより
このフィシオロゴスに掲載されてる寓話があります。
『フィシオロゴス』には実在の動物だけではなく、架空の動物、樹木、鉱石を取り混ぜている。初期のキリスト教徒達はこれらを民衆に教義を親しみやすくさせるためのアレゴリーとして使用したといわれる。
- ライオンはその雌が子供を死産した時、その父である雄はその子達に3日間息を吹きかけるか、咆哮することによって生き返らせる。
- フェニックスは自らを焼き、その灰の中から若返って飛び立つ。
- ペリカンは自分の胸を引き裂き、その血でヒナを蘇生させる。
- ユニコーンは汚れなき処女の許に親しげに近づいて首をその胎に憩わせ、彼女に捕らえられてしまう。
- キツネは飢えると、鳥達をそそのかして自分のそばに来させるために、死んだふりをする。
- キジバトはキジバトのように(恋人達のように)生きる。
Wikipediaより
今では考えられないトンデモな内容ですが、この四世紀に書かれた内容は近年まで多くの人たちに信じられてきました。
それを先人たちが時に正しく、時にさらにおもしろおかしく書き立ててしまい
様々な動物らが本来とは異なる生態だと信じられてました。
それらについてが「子どもには聞かせられない動物のひみつ」となっています。
本書には13種類の動物の寓話が掲載されています。
第一章 ウナギ
「ウナギは地球の胎内から生まれる」アリストテレス
「ウナギは胎生で成熟したウナギの体内に稚魚をみた」カール・フォン・リンネ
精神分析の父フロイトも学生時代ウナギの雌雄の研究をしていた。(本当)
第二章 ビーバー
猟師に襲われると自ら去勢し、睾丸をその鋭い歯で見切り猟師に差し出し自分に価値がないことを示した。
これは後にレオナルド・ダヴィンチも同様のことを綴っている。(本当)
ダムを作る時100匹もののビーバーが力を合わせて作る。そこには現場監督もおり、怠け者がいたら叱咤し、噛みつき仕事を続けさせた。
第三章 ナマケモノ
あらゆる動物の中でもこの惨めで不格好な動物は最も生に執着があるようだ。
チャールズ・ウォータートン
何をされても黙って声一つあげないナマケモノだが、ミツユビナマケモノのメスは発情期になると樹のてっぺんにのぼって寄生をあげる。しかし外見が枯れた木々の葉や蔓の陽ようなので外敵に見つからない(本当)
第四章 ハイエナ
ブチハイエナのメスは哺乳類として唯一ヴァギナが開いてない(本当)
「ハイエナは両性具有だとされる。ある年はオス、ある年はメスとして過ごすのだ」
大プリニウス
第五章ハゲワシ
「彼らは意地汚く、卑劣で、醜悪で、不快で、オオカミと同じく生前は有害、死後は無価値である」
ジョルジュ・ルイ・ルクレール・ド・ビュフォン
「ハゲワシはいくつかの好物を通して人間の死を予言する」
第六章 コウモリ
「コウモリは耳で見るといわれているが、つまり目で聞いているのだろうか」
ジョルジュ・モンターギュ
第二次世界大戦中、ちいさな爆弾をコウモリの大群に背負わせて、日本の都市の上空に放つ作戦が検討されていた。(本当)
第七章 カエル
中世のイギリスではカエルを食べると高確率で避妊できると信じられていた。
1920年代後半、カエルを用いて妊娠判定薬として使っていた時代がある(本当)
第八章 コウノトリ
かのアレキサンダーは「年をとったコウノトリは人間に変身する」と主張していた。
コウノトリは渡り鳥だったが世界大戦中は移動中捕獲され食料とされたため数が激減した。
(本当)
第九章 カバ
「カバは体重が増すと川岸に向かい刈り込まれたばかりの葦の断面に体を押し付け片足の腿の血管を傷つける。血液が流れだすと損なわれていた健康が回復する」大プリニウス
コロンビアにはかつて麻薬王が作った私設動物園があってそこで飼育されていたカバが野生化して闊歩している(本当)
第十章 ヘラジカ
「ヘラジカは憂鬱な動物だ。彼らの肉は憂鬱の原因になる」エドワード・トプセル
酔っぱらった挙句その立派な角が植物にひっかかって警察沙汰になる個体も多い(本当)
第十一章 パンダ
普段は単独行動を好むが生殖活動は集団で行われる。(本当)
人工飼育されたパンダは生殖行為をしらないので、パンダが生殖行為をしてるビデオを見せられたり玩具やヒトの手で射精、繁殖行為を習う(本当)
第十二章 ペンギン
コウテイペンギンの85%は翌年違うパートナーとつがいになる。
動物園で飼育されてるペンギンは同性カップルが何組も確認されている。
第十三章 チンパンジー
1920年代チンパンジーの睾丸を薄く切ってヒトの年老いた睾丸にのせれば若返るといわれていた。
女性にチンパンジーの精子を受精させる実験をしていた人物がいる。
今は笑い話ですが、当時は本気でしたしみんな信じてました。
現在のように個人で海外旅行ができた時代ではないです。
著名な学者が実際探検した人に話を聞いてそれを面白おかしく書いたものも多かったようです。
まとめられたそれらを読んだり、読んだ人から聞いた人が信じてしまう時代でした。
(ある意味いまも変わりませんね)
またこれらどの動物も「昔からの寓話が本当なのか?」と
生きたまま実験された末、現在それが誤りだと認識されています。
(コウモリのページが一番ひどいです)
「子どもには聞かせられない動物のひみつ」というタイトル通り、各動物の生殖活動は他の種と比べた場合かなり特殊なものが多いです。
それはその種が住んでいる環境にも由来があり、その生命活動、日常活動にも直結します。
一見奇抜に見えても、そのほうがいいだろうとゆっくり時間とともに進化して今があります。
「子供には聞かせられない」というのは大人の勝手な思い込みであって
れっきとした生存政略の一部なのです。
おもしろそうだったらよんでみてね(((・ω・)♪
タイトル:子どもには聞かせられない動物のひみつ
著者:ルーシー・クック 翻訳:小林玲子
出版社:青土社
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