今回紹介する本は
藤本靖さんの
「OSO18を追え〝怪物ヒグマ〟との闘い560日」
です。
どんな内容なの

藤本さんは私の釣友達で昔から羆のことは追いかけていた。
そしてついにこんな本まで。これは読むべし。――夢枕獏(作家)2019年夏、北海道東部で、牛を次々と襲う謎のヒグマが確認された。
付けられたコードネームは「OSO18」。捕獲に乗り出した地元の男たちの数年に及ぶ闘いを描く。
Amazonより
OSO18ってなあに?

OSO18(オソじゅうはち)は、
Wikipediaより
北海道東部の川上郡標茶町および厚岸郡厚岸町一帯において、
2019年から2023年にかけて家畜(乳牛)を襲撃していた雄ヒグマ1頭のコードネーム。
2019年7月に人間による唯一の目撃を伴って白昼に被害が発生した
標茶町オソツベツの地名と、
前足の幅が18センチメートルと推定されたことにより命名された。
プロローグ

NPO法人「南知床・ヒグマ情報センター」。
この組織を立ち上げたのが、本書の著者である藤本さんです。
幼少期から釣りを趣味としてきた著者は、
かつてサーモンフィッシングの大会を主催していました。
しかし、大会の会場となる場所は、まさにヒグマの生息地。
「参加者がクマに遭遇しないようにするにはどうすればいいか?」
その切実な問いに対し、
ヒグマの足跡や痕跡の見方を教えてくれる心強い仲間たちが集まりました。
そうして、人とヒグマの適切な距離を保ち、
共存の道を探るために設立されたのが、このNPO法人だったのです。
第一章二〇一九年・夏 襲撃の始まり

最初の襲撃が起きた後の8月5日、そして6日。
立て続けに被害が発生したタイミングで、標茶町役場から
「現場を見てほしい」と藤本さんに要請が入ります。
そして要請を受けて現場へ向かっていた、まさにその当日。
そこでもまた、新たな乳牛がOSO18の牙にかかっていました。
第二章 二〇二一年・秋 追跡開始

OSO18が初めて襲撃したとき、一体何が起きていたのか。
当日の天気はどうだったのか、唯一の目撃情報はどんな内容か、
そして凄惨な現場の状況は――。
藤本さんは、現役の凄腕ハンターである赤石さんと共に、
まるで精緻な捜査を行うように調査を開始しました。
わずかな痕跡から「彼(OSO)」がどのような行動をとり、
どんな性格をしているのかを丁寧に、そして深く読み解き始めたのです。
第三章 二〇二二年・残雪期 知られざる襲撃

そんな折、NHK札幌放送局のディレクターが藤本さんのもとを訪れます。
「OSOを追う姿を撮影させてほしい」という依頼でした。
しかし、相手は正体不明の怪物です。
何ひとつ全貌が見えていないうえに、ヒグマ捕獲の同行取材には常に命の危険がつきまといます。生半可な気持ちで引き受けられるものではありませんでした。
ここから1年半にわたる、NHK取材班との奇妙で濃密な付き合いが始まることになります。
第四章 二〇二二年・夏 知恵比べ

夏の山は、生い茂る草木が壁となり、人間の視界を無情にも遮ります。
一歩先も見えないような状況でライフルを構えるのは、あまりにも危険すぎました。
そこで藤本さんたちは、銃ではなく「捕獲檻」の使用を対策本部に提案します。
しかし、檻を置けば解決するわけではありません。
最大の問題は、広大な原生林のどこに、その一点となる「檻」を設置するか。
知能の高いOSO18との、高度な心理戦が始まった瞬間でした。
第五章 二〇二二年秋 咆哮

OSO18は、標茶町の「オソベツ」という地区を好んで徘徊していました。
それには明確な理由があります。
そこには、いわゆる「シカ捨て場」が存在していたのです。
本来、ハンターは仕留めた獲物を持ち帰るか、適切に処理施設へ運ぶのがルールです。
しかし、中には崖下の沢などにシカの死骸を不法に捨てていく者がいました。
ヒグマにとって、苦労せずとも手に入る「シカの肉」が常にそこにある。
そんな場所を頻繁に訪れるようになるのは、ある意味で当然のことでした。
第六章 二〇二三年・春 異変

冬眠から目覚めたヒグマたちが、一斉に活動を開始する季節。
なかなか「OSO18」と特定できる個体がつかめない焦りの中、
6月、ついに乳牛が襲撃されます。
しかし、その凄惨な死骸を前にした藤本さんたちは、
ある決定的な「違和感」を覚えるのです。
第七章 二〇二三年・夏 「OSO18」の最期

2023年7月。
運命の歯車は、誰も予想しなかった形で動き出します。
著者の藤本さんは、悪性リンパ腫という重い病に倒れ、
入院生活を余儀なくされていました。
最前線を離れ、病室で闘病を続けていたそんな最中、一報が入ります。
「OSOが捕獲された」
長年追い続けてきた宿敵の最期を、なぜ自分は現場で見届けることができなかったのか。
そして、あれほど慎重だった怪物がなぜこのタイミングで?
驚きと困惑、そして言葉にならない感情が藤本さんを包み込みます。
読んでみて

こちらの作品は
Amazonのオーディオブック「Audible(オーディブル)」で聴きました。
私はいつも、食事を作っている時や洗濯物を干している時など、
ちょっとした隙間時間に「聴く読書」を楽しんでいます。
家事で手が離せない時でも、
耳から物語が流れ込んでくるだけで、
いつもの家事の時間が贅沢な読書タイムに変わります。
忙しくてなかなか本を開く時間が取れないという方にも、ぜひおすすめしたいです。
北海道の標茶町と厚岸町で、
約4年間にわたり66頭もの乳牛を襲い続けた怪物ヒグマ「OSO18」。
この神出鬼没な巨躯を追いつめるべく、
最前線でハンターたちを指揮した藤本靖さんによる壮絶な記録です。
舞台は、果てしなく広がる原生林。
ライフルの使えない規制エリアや、人間の背丈ほどに生い茂る草木など、
圧倒的な自然の中にOSO18は潜んでいました。
体長2.2メートル、体重330キロという巨体が、時速60キロで疾走する。
人間がまともに太刀打ちできる相手ではありません。
藤本さんたちは、牛が襲われた現場を丹念に観察・調査し、
OSOの性格を分析して次の行動を予測する……。
そんな執念の追跡を繰り返してきました。
しかし、結末はあまりにも呆気ないものでした。
藤本さんが入院している最中、
OSOはそれとは知られぬまま駆除されてしまったのです。
リーダーである藤本さんはもちろん、
ハンターたちも到底納得できる終わり方ではありませんでした。
物語が再び動き出したのは、NHK取材班の有本ディレクターの「執念」でした。
解体業者の堆肥の中からOSOの骨を見つけ出し、ついにその正体を突き止めたのです。
現在、日本各地でクマによる被害が急増しています。
本書が鳴らす警鐘は、OSOがこれほどまでに異常な行動をとるようになった「原因」が、
実は人間にあったのではないかという点です。
例えば、ハンターが仕留めたシカを谷に捨てていく。
そこにヒグマが餌を求めて通うようになる。
その先に放牧された乳牛がいれば……
ヒグマがシカよりも美味しい牛を狙わないわけがありません。
なぜクマの被害が増え続けているのか。
その原因の片棒を、実は私たち人間が担いでいるのではないか。
単なる怪物退治の記録にとどまらず、
現代社会と野生動物のあり方を深く問いかけてくる一冊です。

OSO18を追え〝怪物ヒグマ〟との闘い560日
著者:藤本靖
出版社:文藝春秋
発売日:2024/7/11
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【本日のサムネイル】
熊に遭遇した人のイラスト
山のハイキングや登山の最中に大きなヒグマに出会った人のイラストです。


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