VR(仮想現実)ビジネス 成功の法則

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ノンフィクション

日本経済新聞社が発行する「日経産業新聞」での連載「姿現すVR」を
再構成、加筆しまとめたのが本書です。

2017年4月に発行されたもので
個人的にはこの本書と「VRビジネスの衝撃」と
「VRコンテンツ最前線」
この3冊で当時の第二次VRブームに対する熱狂ぶりを感じることが出来ました。

1章 VRは「仮想現実」ではない

スマホの次に生活必需品になる、「くる」のがVRではないか
2016年の日経新聞では2,3日に1回のペースでVR絡みの記事が掲載されていました。
VR=仮想、ではもう物足りなく、没入感のある現実と混じったものになっていくでしょう。
ゲームだけではなく、事故で失ってしまった手足で感じる痛み
いわゆる幻肢痛をやわらげる効果がVRを用いることで有効と発表がありました。
これからは「見たいものだけ取捨選択できる」世界になるかもしれません。

2章 「手軽さ」を追え!―ソニーPSVRの挑戦

従来のゴムバンドで側頭部をしめつけ、
目の周囲に機械を押し付けるHMD(ヘッドマウントディスプレイ)
これがPSVR開発者のなかでは「なんかいやだよね」
そういうだけあって、PSVRはバイザー式にし、
従来の細かく機器をセッティングする手間を省きました。
またわざと重くし、装着した時全体のバランスがとりやすいように設計されました。
レンズはSONYの一眼カメラの開発者が携わっています。
まさにSONYのスペシャリストが関わって作り上げられました。

3章 「VR共感力」の格差を見抜け―「国内初」専用施設を生んだバンダイナムコ

2016年4月15日から10月10日の期間限定でオープンしていた
VR ZONE project i Can (ダイバーシティ東京)
その施設を生んだバンダイナムコ
ゲームセンター市場が規模縮小傾向のなか
次の手を探しており、
「次世代テーマパーク」としてVRを選びました。
VRの共感力の低い傾向の人に向けてあえてネタバレをし
それによって想像し、実際体験するという「ギャップ」により共感力をたかめるという
手法でお客様を楽しませていました。
一般的なゲームはネタバレはタブーですが、それこそがVRを楽しむポイントとのこと。
VR ZONEの期間終了後も愛知県の店舗にてVRゲームの試遊機を用意し、
VRをまだ楽しめないお子様むけに
映像を投影して楽しむプロジェクターベースのVRも導入という細やかさ。
(現在はVR ZONE portalとしてサテライト展開しているようです)
ライバル社のセガ・エンタープライズもVRパークトーキョーをオープンさせています。

4章 「VRならでは」は成功体験の外にある―コロプラが信じる可能性

2016年3月オキュラス社が発売したHMD「Rift
その発売にあわせてパズルゲームテニスゲームが同時発売されました。
それを制作したのがコロプラです。
その後も続々とVRゲームをリリースしています。
VRゲームは体験者がすきな場所をみてしまうので
従来のゲームより気を配るポイントが多いそうです。
「VRならでは」のゲームを作るのが大事
VRはすべてのコンテンツが「体験」になる!

5章 ストーリーで勝負せよ!―フジテレビ・グリー・電通の野望

ゲーム会社グリーとテレビ局であるフジテレビジョンが業務提携をしました。
フジテレビは2016年のリオデジャネイロオリンピックパラリンピックの凱旋パレードを
VRで撮影した実績があります。
パレードを仕切っていた電通が思いつき、フジテレビに相談したのがきっかけだそう。
「VRが本当に普及するかは疑問だが、目立てるのがVR」という。
スマホゲームの開発に遅れをとっていたグリーは、最初二人だけの開発チームでした。
2015年12月にアメリカのVRベンチャー企業30社を訪問
VRの未来を確信し、すぐにVRファンドの設立、HTC、フジテレビとの業務提携を
スピードをあげておこないました。

6章 すべてが体験へ―医療、不動産、災害対策ほか

VR機器(HMD)を装着して手術前の打ち合わせをおこなっている医師たちがいます。
VRベンチャーのホロアイズが開発したVRシステムは
手術に必要な情報の共有や確認、練習までも行うことが出来ます。
平面の写真では執刀イメージがしにくいですが、VRにはそれが解消できます。



設計事務所フリーダム・アーキテクツデザイン
VRで住宅設計を、「体験」に変えています。
仮想空間で設計中の新居に訪問することで、現場に出ないとわからない失敗や不備が
事前にわかるようになります。

https://redshift.autodesk.co.jp/freedom_bim_vr/



KDDIはVRで災害を疑似体験することで緊急時の適切な対応を学ぶシステムを作成しました。
南海トラフ巨大地震を想定し、HTC viveを用いて
細部までリアルに体験することができる6K映像をみることが出来ます。

VRを活用した地震・津波等の災害対策ツール製作・導入について
KDDIのニュースリリース VRを活用した地震・津波等の災害対策ツール製作・導入について



よんでみて

圧倒的な取材力と判りやすい文章は、さすが新聞社の本だなあ!と思いました。
知っていたサービス、知らなかったシステムがありましたが
現在はさらに進化しているものになっていると思います。
6章最後に5Gについてもかいてあり
この5Gの普及でVRがさらに体験しやすくなるでしょうとありました。
2021年夏現在、5Gは一部のみのサービスで
これからの普及が期待されています。
この普及と一緒にVRがもっと身近なものになってほしいと思います。

【目次】
1章 VRは「仮想現実」ではない
2章 「手軽さ」を追え!―ソニーPSVRの挑戦
3章 「VR共感力」の格差を見抜け―「国内初」専用施設を生んだバンダイナムコ
4章 「VRならでは」は成功体験の外にある―コロプラが信じる可能性
5章 ストーリーで勝負せよ!―フジテレビ・グリー・電通の野望
6章 すべてが体験へ―医療、不動産、災害対策ほか

VR(仮想現実)ビジネス 成功の法則 (日本経済新聞出版)

編集:日本経済新聞社
出版社:日本経済新聞社
発売日:2017/4/21




【本日のサムネイル】
昔の大きな携帯電話で話す人のイラスト
バブル時代に使われていた、肩に担いで持ち運べる大きな電話機を使うビジネスマンのイラストです。

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