今回紹介する本は
秋山千佳さんの
「沈黙を破る 「男子の性被害」の告発者たち」
です。
どんな内容なの?

日本社会では長年“なかったこと”にされてきた男性の性被害。
Amazonより
加害者は、担任教師、実父、芸能事務所社長……。
社会の沈黙はいつまで続くのか?
たった一人の勇気ある闘いが、重い扉を開け、闇の中に光が差し込んだ。
そして彼らは語り始めた。ある者は実名で、ある者は素顔を明かして――。
月刊『文藝春秋』電子版での大好評連載をまとめた、深層ノンフィクション。
第1章 パンツ1枚の勝訴から始まった

中学時代の担任であり、部活動の顧問でもあった男性教諭から
性暴力を受けていた47歳の男性が、裁判を起こし勝訴した。
刑事事件としてはすでに時効を迎え、
民事裁判においても損害賠償を請求する権利が消滅しているという、
法的には極めて困難な状況であった。
それでも男性は諦めることなく提訴し、
長年抱えてきた苦しみに一つの決着をつけたのである。
第2章 「十中八九負けます」

第一章の内容が『文藝春秋』電子版で公開されると、
それを読んだ一人の女性から著者のもとへメールが届いた。
「実は39歳の息子がこの記事と同じような性被害を担任教諭から受けており、
現在裁判を戦っています」
メールの主である母親とその息子は、
自身の顔と名前を公表したうえで
この事実を記事にしてほしいと切実に訴えたのである。
第3章 見過ごされた時限爆弾

わずか30分という短時間の出来事が、彼の人生を大きく狂わせた。
記事を読み意を決して著者に連絡してきた彼は
「男性の性被害について語ることで、次世代を守るアクションを起こしたい」
と強く語る。
しかし、事件が彼と家族に残した傷跡は深く、
今もなお後遺症による障害が、その生活に暗い影を落とし続けている。
第4章 ジャニ―氏から受けた“通過儀礼”

2023年英BBCは
ジャニーズ事務所の創立者、ジャニー喜多川による
性的虐待問題を報じる番組を放送した。
その放送から数日後、著者は一人の男性と会っていた。
かつて事務所に所属し、実際に性被害を受けたという人物である。
被害は1年ほどの期間に10回にも及んだ。
その記憶は、退所した後もなお、彼の人生に深刻な影を落とし続けていたのである。
第5章 ダビデとゴリアテの戦い

彼は自らの性被害とトラウマの影響を初めて実名記事で告発した。
記事が公開されると、かつてジャニー喜多川を敬愛していた母親からは謝罪を受け
世間からもポジティブな反響が寄せられた。
しかしそれと同じくらいに多かったのは、
心ない誹謗中傷や「なぜ今さら言い出したのか」という心ない声であった。
第6章 弟は父の性虐待で死んだ

彼女が語ったのは、自身と弟が実父から受けてきた凄惨な虐待と性的虐待の記録だった。
その暴力は白日の下に晒されていてもなお、
誰一人として手を差し伸べる者はなかったという。
何度も、何度も父から逃げようと足掻いた。
それは、出口のない地獄そのものであった。
第7章 女優の告白

第6章で凄惨な体験を語った女性。
その伯母であり、本章の語り手となるのが彼女だ。
職業は女優。
これまで姪の闘いを影で支えてきた彼女だったが、
ついに大きな覚悟を決める。
自らの実名を公表し、過去を告発すること。
それは、姪と甥を地獄に突き落としたその男が、
彼女にとっては実の兄であり、
彼女自身もまたかつて同じ兄から性的虐待を受けていた被害者だったからだ。
第8章 時代の転換点

2章の彼は、小学校時代の男性担任を相手に裁判を起こした。
弁護士に「十中八九負ける」と言われた闘いだったが、結果は「勝訴」。
実名告発に踏み切った彼の姿を見て、
当時の同級生たちが証人として立ち上がってくれたのだ。
そして、彼以外にも4人が同様の被害を受けていた事実も明らかになった。
第9章 声を上げた彼らのその後

これまでの章で壮絶な過去を打ち明けた彼ら、彼女ら。その後の歩みを追った。
読んでみて

読み進めるのがあまりに苦しい内容ばかりでした。
彼ら、彼女らは被害当時から今この瞬間も、
癒えぬ傷やPTSDの苦しみの中にいます。
「男の子が被害に遭うはずがない」
と叫びを封じられ、存在をなかったことにされてきた孤独。
大人になり、家族や知人に知られる恐怖を飲み込んで実名告発に踏み切ったのは、
「自分と同じ被害者を二度と出したくない」
という、血を吐くような願いがあったからだと思います。
体験を話し、裁判を起こす。
並大抵ではないその覚悟が、
長く止まっていた彼らの時間を今、少しずつ動かし始めています。
その確かな一歩に触れ、私はただただ本当によかったと思わずにはいられません。
私たちにできることは、
まず、こうした出来事があったという事実を「知る」こと。
そしてもし「虐待かもしれない」と感じる子どもを見かけたら、
迷わずしかるべき場所へ連絡することだと思います。
彼らが命を削る思いで告発した言葉を、ただの悲劇で終わらせないために。
一人ひとりの気づきと行動こそが、次の地獄を食い止める唯一の鍵になるのだと信じています。
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【本日のサムネイル】
テミスのイラスト
ギリシャ神話に登場する法の女神(正義の女神)、
テミスの目隠しをしている状態のイラストです。
裁判所などによく像が飾られています。
※目隠しを付けた像は、「見るべきでないものを見ない」
裁かれる人がどれほど偉い人であろうともそれには目をつぶり、
しかるべき裁きを下すという意味での「正しさ」を示しています



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