売春島と
かつて呼ばれていた渡鹿野島についてのルポタージュです。
大阪飛田についての本はいくつかありますが
他にこのようなものはないかな
と興味本位で見つけたのが本書です。
渡鹿野島 (わたかのじま)について
![](https://moyukukamui.com/wp-content/uploads/2022/01/b36f5dc40893db02dff29b1d750e5865.jpg)
渡鹿野島 は三重県志摩市にある島です。
島の歴史や性産業についてはWikipediaにも
詳しくかかれています。
(地図の赤いマークが渡鹿野島になります)
ざっくりこんな内容です
最初は他の色街本と同じように
そこで働くおねえさんたちが
どうしてここにきたのか
どのように働くかを中心に描かれています。
中ごろから
この島がどのように色街になっていったのか
歴史や栄えていた時代と今、
郷土の歴史を紐解くものとなっています。
ヤクザが置屋を経営していない、
他の風俗業と違って働く目的がちょっと違ったり
島だからこその独自ルールなどの違いがありました。
著者の取材スタイル
![](https://moyukukamui.com/wp-content/uploads/2022/01/8f03fda2b7e0e384a28046fc9781d9c9.jpg)
島に4度渡り
宿屋の人や、それに関わる周囲の人らにも話を聞き
有力者をしぼり、栄えていた当時を知る人たちに話を聞いていく。
インターネットでこの島を検索すると
じつにさまざまな記事がヒットします。
ですがこれらは取材していないものが多いそうです。
著者は取材時に
自分がジャーナリストで
調べている目的もはっきり相手に伝えているそうです。
だいたいの人は
「あまり売春について書かないでほしい」と
言うそうですが
それに対して
「良いことも悪いことも
この島の歴史と現状をありのままに書くだけ」
そう返します。
「きちんと説明したうえで話を聞きたい」
その熱意でいろいろな人たちが話をしてくれたのが本書です。
置屋のママさんがすごいです
![](https://moyukukamui.com/wp-content/uploads/2022/01/b5f4fbefc0deb1b1b06ed0c5dab37049.jpg)
小さな島の歴史本と読む以外に
個人的に感心したのは置屋のママさんについて。
置屋ではたらくおねえさんたちを
本当の子どものように面倒を見ていたママが多かったそうです。
不平不満をチーママが聞き、ママに報告。
みんなで船に乗って買い物に行き、気晴らしをさせたり
おねえさんたちが「頑張ろう!」となるように
自然に誘導する。
気配りのプロで
時折出てくるおねえさんへのケアはなるほどでした。
今の島はどんな感じ?
![](https://moyukukamui.com/wp-content/uploads/2022/01/a4f2f529731797b38c8cb69bb529a306-1024x461.jpg)
現在はクリーンな島のイメージで頑張っているそうですが
2019年時点では
置屋は店舗型、派遣型各一件ずつ現存しているそうです。
よんでみて
![](https://moyukukamui.com/wp-content/uploads/2022/01/05dbe5f6074db6c6fba9afc3007c241a.jpg)
こういう本は
性的なことが含まれているので
あまりいい顔をされないことが多いですが
個人的にはその土地の歴史のひとつとして読んでいます。
かつて女性が騙されて連れてこられ
働かされていたことがあるのは事実のようですが
そういうことも踏まえてなかったことにするのは
ちょっと違う気がします。
今はクリーンな観光地として動いているそうなので
頑張ってほしいですね。
【あらすじ】
“売春島”。
三重県志摩市東部の入り組んだ的矢湾に浮かぶ、
人口わずか200人ほどの離島、
周囲約7キロの小さな渡鹿野島を、
人はそう呼ぶ。
島内のあちこちに置屋が立ち並び、
島民全ての生活が売春で成り立っているとされる、
現代ニッポンの桃源郷だ。この島にはまことしやかに囁かれるさまざまな噂がある。
「警察や取材者を遠ざけるため客は、みな監視されている」
「写真を取ることも許されない」
「島から泳いで逃げようとした売春婦がいる」
「内偵調査に訪れた警察官が、懐柔されて置屋のマスターになった」
「売春の実態を調べていた女性ライターが失踪した」……しかし、時代の流れに取り残されたこの島は現在疲弊し、
凋落の一途を辿っている。本書ではルポライターの著者が、
HonyaClub より
島の歴史から売春産業の成り立ち、隆盛、
そして衰退までを執念の取材によって解き明かしていく。
伝説の売春島はどのようにして生まれ、どのような歴史を歩んできたのか?
人身売買ブローカー、
置屋経営者、売春婦、行政関係者などの当事者から
伝説の真実が明かされる!
【本日のサムネイル】
チップのイラスト(ホテル)
海外のホテルに泊まったときに、
チップをベッドの上に置いている様子を描いたイラストです。
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