どんな内容なの
自殺する間際にメッセージを録音して残す人がいる。
HonyaClub より
それを集めて記事にしないか?
編集者時代の三津田に企画を提案したライターが突然失踪。
後日、三津田の元に届いた1本のテープには何が。
カセットやMDに録音された体験談に材を取った6つの怪異譚と、
それらを連載し本になるまでの、
担当編集者との裏話的なエピソードから成る作品集。
この物語を読むあなたは恐怖を「体感」することになる。
序章
雑誌に不定期掲載していた短編小説を一冊にまとめるにあたって
著者は担当編集の女性とその上司も交えた3人で打ち合わせを行っていた。
しかし今日は担当編集の女性の態度がいつもと違っていた。
死人のテープ起こし
とある紹介で知り合ったライターが言いだした
「自殺する間際に家族や友人に向けてカセットテープにメッセージを吹き込む人がたまにいる。
それをおこして原稿にしようと考えてるんだ」
そのライターから自殺者のメッセージを起こした原稿が送られてきた。
留守番の夜
大学のクラブのOGから
「楽ちんで割のいいバイトがある」
といわれてやってきたのが留守番のバイトである。
とあるお屋敷に一晩泊っているだけでいいそのバイトは好条件に思えた。
しかしそのお屋敷に向かっていると、なんだか気味が悪いのである。
幕間(1)
担当編集の女性と打ち合わせをしていると、
過去に実話会談の取材をしていた録音テープの話になった。
彼女はそのテープを聞きたいと言い出した。
ネタ出しにもなると押されて著者はそのテープを彼女に送ることとなった。
集まった四人
ハイキングに誘われたら、誘った人がこれなくなって
待ち合わせにいた4人全員が初対面で山に行くことになって
怪異というかそういう体験をしたおはなし
屍と寝るな
同級生の女性の母親が病気になって入院をしていた時のはなし。
とある病院にて転院となり、解せない気持ちで見舞いに行く。
同じ部屋にいた老人はうわごとを言っていたが、
彼女はそのうわごとを聞いているうちにある仮説を考える。
幕間(2)
担当編集の女性にテープ起こしをさせまいとする著者。
だが彼女からメールが届く。
すぐに彼女に電話で連絡をしたが
そこである体験を聞くことになる。
黄雨女(きうめ)
とある占い師から聞いたはなし。
大学に入学して間もなくできた彼氏。
6月にはいってすぐの頃、思い出したようにいった
「今朝、大学に来る途中で、なんや変な女がおったんや」
すれちがうもの
とある女性がとある朝、部屋からでるとそこには瓶に刺された一輪の花。
子どもはマンションのこの階にはいないはず?
疑問に思いながら会社に向かう。
その途中の踏切で彼女は不意に固まった。
終章
ここで「序章」のシーンにもどる。
著者と担当編集の女性とその上司も交えた3人で打ち合わせを行っていた。
この本の構成について話している。
その後、担当編集の女性から手紙が届いた。
よんでみて
ひとつひとつは短いホラー小説なのですが、
序章から終章まで読むと、ぞわっとするという三津田節が炸裂しています。
「怪談」「テープ起こし」このキーワードで話は進んでいきますが
いきなり怖い話がはじまるのではなく
すこし雑談めいたことがかいてあり、本文にという流れなので
それがかえってリアルさをだしているように感じます。
読んでいてはっきりとこわい!というよりは
読み終わって
「じゃあお風呂入るか」
「ねようかな」
と目を閉じてふと、じわじわとしみだしてくるような
そんな怖さが本書にはあります。
著者:三津田 信三
出版社:集英社
発売2019年1月23日
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編集者のイラスト
山積みの書類や原稿をチェックしながら赤いペンで修正を加えている、
出版社で働く編集者のイラストです。
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