【いるだけで、味方】おれのおばさん

文芸

【初回公開:2013/08/30 (Fri) 09:05】

おれのおばさん
佐川 光晴 (著)

文庫: 224ページ
出版社: 集英社 (2013/3/19)
言語 日本語
ISBN-10: 4087450503
ISBN-13: 978-4087450507
発売日: 2013/3/19
商品パッケージの寸法: 15.2 x 10.6 x 1.4 cm

内容(「BOOK」データベースより)
ある日突然、父の逮捕を知らされた陽介。
父が横領した金を返済するため、陽介は都内の名門中学を退学し、
母の姉が運営する札幌の児童養護施設、魴〓(ぼう)舎に入ることになる。
急激な暮しの変化に当惑しながらも、パワフルなおばさんと個性豊かな仲間に囲まれて、
陽介は“生きる”ことの本質を学んでゆく。
ときに繊細で、たくましい少年たちの成長を描いた青春小説。
第26回坪田譲治文学賞受賞作。

(Amazonより

なにも問題がない家庭はないと思う。
家族の数だけ問題が必ずある。

以前法律家に相談したいことがあった。
でも相談できるアテなんかあるわけがなく
しょうがないのでインターネッツ様に頼ってみた。
そこで知ったのは相談件数でもっとも多いのは
会社の金の横領、つかいこみということ。
結局相談はしなかった。
けれども時折思いだすのは、横領をしてる人は後をたたないということ。
オレオレ詐欺(母さん助けて詐欺)でも
「会社のお金使っちゃって・・・」というのが多いらしく。
ふうん
そう思ってた。

舞台は東京、札幌、福岡、奄美大島。
超難関高校に入学した少年が父親の横領発覚で
高校は転入し、札幌へ。
あらすじを読んで
なんつーヘビーな内容!と思ったのだが
書き方は意外と軽くものの一時間もかからずに完読。

主人公の語りで進んでゆく。
徐々に打ち解けてく様は、大人にはない子供特有だなと思うし
伯母はすごいが母はどうだ?
父を赦したいけれど、赦せないと思う葛藤は大人のそれで
大人と子供をいったりきたりな不安定さが絶妙だと思う。
これは主人公が少年だからよかったものの
少女だったら父に対する軽蔑など
複雑怪奇でこんなにさわやかな話には到底ならなかったと思う。
話の中心である恵子おばさんは確かにすっぱりしている。
豪傑快活!といった肝っ玉かあちゃんといった所だが
後半の入院シーンなどは
やっぱり無理していたのかもと。
人は常に楽しくなんて生きて行けない。
うまいステーキだって毎日はあきるし、うまくもなくなる。
時々楽しかったりエキサイティングがちょうどいい。
そうおもう。
そして作中のような
親に都合よく振り回されてる子供がすくなくなりますように。
何事も経験ではあるけれど
それが必ずしも幸せではない。
だれにでも「おれのおばさん」がいる世界でありますように。

おれのおばさん (集英社文庫)


著者:佐川 光晴
出版社:集英社
発売日: 2013/3/19

【2021/03/26 追記】
子どもがしんどい話は年齢もあってかこっちもしんどいな
読んだ当時そう思いました。
子どもが大人に気をつかうというのが創作でも現実でも苦手です。
そんな子どもが主人公なこの本。
おばさんが子どもを助ける、というのはここ近年多くなってる気がします。
今回他の方のレビューをみて、他に二冊続いてることを知りました。
ただカワイソウだった子供が親と現実と向き合おうと終わったこの本。
その後の二冊でどう変わったのか。
会いに行かなくちゃと思います。

【本日のサムネイル】
いろいろな角度から見たおばさんのイラスト
前向き、後ろ向き、横向き、俯瞰など、様々な角度から見た中年のおばさんのイラストです。

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