【妻が亡くなったら、泣きますか】永い言い訳

文芸

【初回公開:2017/09/07 (Thu) 11:43】
こちらは旧ブログのアーカイブとなります。


配偶者を亡くしたらどうなるか。
家のローンが無くなるとか、保険金が下りるとか、お葬式どうしようとか。
俗物的なことのあとに
残るのはただひたすらに虚無感なんじゃないだろうかと思う。

配偶者(妻)が亡くなって立ち直るまでの話と書くと身も蓋もないですが
その亡くなり方が大事故である日突然で
夫婦間も冷え切っていたというもので。

よく聞くのが「親を亡くしたことから立ち直れない」
配偶者だったら、とは聞いたことがない。
(たぶん自分が聞いたことないだけだとは思う)
もっとも親を亡くすよりはもっと大変だろうなとは思う。
ただこの主人公は作家でテレビにも出演するものだったので
ちょっと普通の一般人からは外れている。
一緒に事故で亡くしてしまった友人の家族の面倒をみることになってしまう。
子供だけでなく、友人の夫の面倒をみていくうちに
あわただしいなかでもゆっくりゆっくり自己治癒をしていく。
それが突然壊れ、そして形をかえてゆく。
興味深いのは、友人家族の家の掃除はするのだが
自宅に戻ってから全くなにもできないことだ。
たまりにたまった洗濯ものと、日々の雑事とこまごましたものと
人の不在の空気と、思い出のようなものがそこにあり
それは長いことそのままになっている。
友人家族の面倒をみるのは結局のところ他人だからできることで
その子供が甘えるのは他人だからであり
また作家がそこにいて癒されてゆくのもまた他人の家だからこそなのだと。
そこから一歩踏み出してこそのこのエンディングなのだと思う。

著者は映画監督で、この作品が二作目のノベライズとなります。
同名の映画も公開しております。

永い言い訳
西川美和(著)

文庫: 341ページ
出版社: 文藝春秋 (2016/8/4)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167906708
ISBN-13: 978-4167906702
発売日: 2016/8/4
梱包サイズ:  15.2 x 10.6 x 1.8 cm

永い言い訳

妻が死んでも泣けない男のラブストーリー。
西川美和による小説、脚本・監督映画作品。
出演は本木雅弘、深津絵里、竹原ピストル他。

人気作家の衣笠幸夫は、
長年連れ添った妻が友人とともに旅行に出かけたその日に、
彼女がバス事故死したことを知らされる。
ただ妻のいぬ間に不倫をしていた幸夫にとって
さほど悲しい出来事ではなかった。
同じ事故で亡くなった妻の友人の夫、陽一が電話を寄越してくる。
トラック運転手である陽一はふたりの子供を抱え、
妻を失った事実に打ちひしがれて
同じ境遇の幸夫と思いを分かち合おうとした。
予期せず家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか――。
人を愛することの「素晴らしさと歯がゆさ」を描ききった物語。

(Amazonより

【本日のサムネイル】
いろいろなバスのキャラクターのイラスト
赤、オレンジ、黄色、黄緑、緑、水色、青、紫、ピンク、黒、グレー、白など、
いろいろな色のかわいいバス(路線バス)のキャラクターのイラストです。


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