コメディアンである著者が、
かつて住んでいた賃貸物件の一階に住んでいた大家さんとの物語
その続きとなります。
大家さんの部屋に8年以上住んでいたそうです。
一巻と、この2巻のいちばん大きな違いは
「この物語はフィクションです」と
あるところです。
あまりに可愛らしいエピソードが多く
本当のことかと思いがちですが
あくまで
「僕(著者)自身が接し、話し、見ていた大家さんからイメージして作り上げたキャラクター」
とのことです。
前巻同様、大家さんのエピソードは疎開されていた少女時代もありますが
今回後半はその大家さんが入院されていた出来事が多いです。
元気な時、美容院に2日にいっぺんシャンプーに行くエピソードがありましたが
その理由が
「転倒がこわい」。
後期高齢者にとって、転倒はなによりもこわいものです。
そこから寝たきりに繋がることはよくあることです。
大家さんが話すことは私たちにとって
お金持ちのおばあさんのおもしろ話で
その感覚のずれがほほえましいのですが
いつも大家さん自身が高齢者であることを忘れてしまいます。
家の前の小道はいつしか転倒しないように舗装され
退院後、近くの施設に入居してしまいました。
読んでいて、その急激な変化に戸惑ってしまいましたが
著者である「矢部さん」はそれにも丁寧に向き合い、
お見舞いだけでなく、車椅子を押して外出したりと
「大家とその部屋を借りている人」以上の絆のようなものを感じました。
ですが終盤に
「やっと大家さんと二人なんだって」の言葉に
「僕」が今まで思っていた大家さんへのいろいろな気持ちに
ほんの少しだけ「怒り」も含まれていたのではないか。
大家さんが好きだった家が
「あぶない」「転倒防止」
さまざまな理由で変えられていくことに怒っていたのでしょう。
大家さんと僕をめぐる環境はこの2巻で目まぐるしく変化し
そして大家さん自身も変化していきます。
僕にとって大家さんと過ごす時間はかけがえのないものとなっていたのに
それさえも変わってゆく。
そのことについての小さな怒りと
やっと大家さんをあの家に連れて帰ってこれたことの安堵感。
それがあのせりふにこめられていたのでしょうか。
【あらすじ】
日本中がほっこりしたベストセラー漫画、涙の続編、いよいよ発売!
季節はめぐり、初めての単行本が大ヒットとなった僕は、トホホな芸人から一躍時の人に。
忙しい毎日を送る一方、大家さんとの楽しい日々には少しの翳りが見えてきた。
僕の生活にも大きな変化があり、別れが近づくなか、
大家さんの想いを確かに受け取り「これから」の未来へ歩き出す僕。
美しい感動の物語、堂々完結。
【本日のサムネイル】
おばあさんのイラスト「笑顔」
優しい笑顔のおばあさんのイラストです。
こんな穏やかな老後に憧れますね。
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