アルピニスト(登山家)である野口健氏のもとで働いていた過去を持つ著者の
ある意味、暴露本ともいえるものです。
野口健ってどんなひと?
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野口 健(のぐち けん、1973年8月21日 – )は、日本の登山家、環境活動家。
亜細亜大学国際関係学部卒業。NPO法人PEAK+AID(ピーク・エイド)代表(2020年時点)として、
ヒマラヤ・富士山での清掃活動といった環境保護への取り組み、
また遭難死したシェルパ族の子どもたちへの教育支援「シェルパ基金」や
ヒマラヤでの学校建設・森林づくり、
第二次世界大戦の戦没者の遺骨収集などの社会貢献活動を行っている。亜細亜大学客員教授、了徳寺大学客員教授、徳島大学医学部運動機能外科非常勤講師
Wikipediaより
どんな内容なの?
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野口健はモンスターか、善意の活動家か?
人が人に関わることの、真の意味を問うノンフィクション野口健は登山家として本当に「三・五流」なのか?
なぜ小池百合子をあれほど応援したのか?
さまざまな社会貢献を続ける本当の理由とは?25歳でエベレストに登頂し、
HonyaClub より
七大陸最高峰世界最年少登頂の記録を樹立。
富士山清掃などの環境活動、
ネパール大地震の災害支援など、社会貢献に取り組む野口健。
18年間で3度、野口健事務所を辞めた元マネージャーが、
訣別を覚悟して「アルピニスト」の素顔を描く。
これは単なる評伝ではない。
人と人とのっぴきならない関係を描く、新しいノンフィクションだ!
第1章 頂の先にあるもの
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野口健氏の半生と、エベレスト登頂の成功、
その後の富士山登山清掃活動まで書かれています。
母親がギリシア系エジプト人だったため、幼少期はいじめられ
少年時代はいわゆる不良に。
当時好きだった女性とのお付き合いを周囲から猛反対され
だったら誰もやってないことをしようと登山を始める。
第2章 政治家への野望
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七大陸最高峰の最年少登頂達成後に「政治家になる!」
と故人 橋本龍太郎元総理に近づく。
橋本は登山家として有名だったのだ。
当時石原慎太郎のもとでHPなど制作していた著者と野口氏は
知人の紹介で知り合う。
その日のうちに「野口にやられた」著者は
彼と行動を共にするようになる。
第3章 迷走の果てに
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政治家にならないかとオファーが来ても
ふんぎりがつかず、それでいて
どこの党だれでも応援演説の要請がくると引き受けてしまう。
そんななか野口氏の性格が変わっていく。
著者に八つ当たり、暴言、無視、説教のメールと電話が連日。
他の事務所社員も嫌になってやめていく。
著者も辞めたのちに、再び事務所へ戻る。
他の人も同じように戻ってしまう。
「自分が彼の面倒をみてあげなければ」
そう思ってしまう何かが彼にはあった。
そして、著者は本当に彼と決別することにする。
読んでみて
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ある意味とてもこわい本です。
熱量がすごく、久しぶりに一気に読んでしまいました。
野心家で魔性の男ともいえる野口健氏のエピソードが盛りだくさんです。
自分で決めたことに対して根本的に嘘をつけない。
他人に嘘はつけても、自分自身に嘘がつけないのです。
なので「やるといったらやる」
就職してもエベレストには登りたいから、
その気持ちを面接官に言ってしまう。
最初はお金持ちのボンボンが世間知らずゆえのことかと思っていましたが
読み進めるとどうも違う。
大学時代に七大陸最高峰登頂達成のためにスポンサーあつめ等をしていたせいか
もともとの話術とひとたらしに、「どうしたら人を動かせるか」の経験がプラスされて
そうなっていったのだろうと思われます。
(もっともスポンサー様には効いても、就活の面接官には効きませんでしたが)
自分がこうしたい、こうありたいと明確に思ったものは
それらを使って人を動かしていましたが、
政治家と出会い、その活動などを見た時
その気持ちがゆらいだことでそれは達成できませんでした。
また野口氏のパワハラ的な行動なども書かれていましたが
離れてもまた事務所に戻ってしまうという魅力が
読んでて悲しくなりました。
本人もどうしようもない、その時は本気で思っていたから
そのパワハラがでていたのだと
読んできたからこそのもどかしさがありました。
お互いがお互いのことを思っていたと同時に
甘えやずるさをお互いが許してくれるだろうと無意識に思っていたから
起きたことなのかもしれません。
現在著者は野口氏のもとにはいませんが
もしまた戻ったらと思うとぞっとします。
依存関係ともいえる
人間関係のすざましさが伝わる本です。
著者:小林元喜
出版社:集英社インターナショナル
発売日:2022/3/25
【本日のサムネイル】
男性の登山家のイラスト
帽子、リュック、手袋、トレッキングシューズなど、
山登りの装備をしている男性の登山家のイラストです。
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