ヤノマミ

ノンフィクション

【初回公開:2013/12/18 (Wed) 11:48】


ヤノマミ
国分 拓 (著)

文庫: 375ページ
出版社: 新潮社 (2013/10/28)
言語: 日本語
ISBN-10: 4101281912
ISBN-13: 978-4101281919
発売日: 2013/10/28
商品パッケージの寸法: 15 x 10.8 x 1.6 cm

内容(「BOOK」データベースより)
150日間、僕たちは深い森の中で、ひたすら耳を澄ました―。
広大なアマゾンで、今なお原初の暮らしを営むヤノマミ族。
目が眩むほどの蝶が群れ、毒蛇が潜み、夜は漆黒の闇に包まれる森で、ともに暮らした著者が見たものは…。
出産直後、母親たったひとりに委ねられる赤子の生死、死後は虫になるという死生観。
人知を超えた精神世界に肉薄した、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。
Amazonより

文庫化まってましたー!
久しぶりに夢中で本読んだ気がします。
実家から結婚して都会に出たとき
思ったのが「夜でもあかるいな」
山があまりない土地柄なので空は広いけれど
それ以外はなんだか息苦しいなそう感じてました。

真っ暗闇のなか
完全なる闇のなかで、研ぎ澄まされた聴覚でとらえた
音がどれだけ恐怖かを私はしらない。
獣の、虫の、ひとの声。
もしこれが、取材じゃなかったら
作者はどうなっていただろうか
ヤノマミの一人になりたくてのことだったら
どんどんそれに恐怖じゃなくなっていたのだろうか。

これを読む二週間くらい前生理用品の社会史を読んでました。
30年ほど前まで
生理中の女性は隔離されてそれ専用の小屋にて生活していた。
はじめて知ったとき驚愕と怒りで一時間ほど室内を歩き回っていました。
女性で、生理があるというだけで意味嫌われる。
理不尽だ!
そう思いました。
この本のすごいところは取材陣が男性だけだったのに出産にまつわることまでとらえたこと。
原初の生活で、結婚するまでどちらかというとややフリーセックスっぽい彼ら彼女ら。
その出産。
精霊とみるか、子供とみるか。
決めるのは産んだ女性だけが決める。
夫さえもそれに口出しをできない。
そして少女から女性となる初潮。
隔離された小屋にいれられてそこで生活するという儀式。
森が血で汚れるという理由ではあるが
野生動物に血の臭いを嗅ぎ付けられるということと
血がでるということに対しての恐怖。
そのくだりをよんで
すとんと理解しました。
原初から近代まで、生理ということは恐怖だったんだ。
体内から血が流れるということは、普通だったら死に至ること。
なのにそれが命に繋がるということ。
男性にしてみたら、女性というものは欲望であり恐怖でもあるのだと。

最後の先住民として誇りにいきるというのは容易ではなく。
文明がヤノマミの生活をどんどん変えてゆくこと。
それとどう向き合うか。
ここに至るまでの歩みをみると、自分達の幸せと彼らの幸せの違いに
しあわせってなんだろうかと
ありきたりなことを考えてしまいます。

著者は優しすぎてだからこそ
そのタイミングで取材できたこと
こうして伝えてくれたことを読めたことに
感謝したいです。
いい本です。
わたしたちが忘れた、そしてたぶんもう
失われた生活があります。

【2021/04/27 追記】

NHKスペシャルで初めて映像をみたことを
いまも覚えています。
この現代に原初の生活を送ってることはまさに奇跡に近いことではないでしょうか?
ただ今これを読んで思うのは、
著者はこの体験をそのまま伝えたことの素晴らしさがでているなと。
原初の生活を送っている、類似の本もいろいろ読みましたが
保護しようとしている、だまして観光化しようとしてるなど
人を人とも思っていない、その生活を破壊する結果となっていました。
このヤノマミがその後どうなったかわかりません。
わたしたちの文明が必ずしも正しいこととはいいきれません。
そっとしておいてほしいと思う気持ちと
その生活を暴きたいという真逆の気持ちが湧き出るものでした。


ヤノマミ (新潮文庫)

タイトル:ヤノマミ
著者:国分 拓
出版社:新潮社
発売日: 2013/10/28


【本日のサムネイル】
ピラニアのイラスト
アマゾン川に住む鋭牙を持った肉食の魚、ピラニアのイラストです。

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