三津田信三氏の幽霊屋敷シリーズ
その第二弾です。
著者である三津田信三氏と
友人である編集者が
不思議なお話を読み解きます。
タイトル通りの内容です。
今なら「事故物件」といわれるような
事件や事故で人が亡くなった物件を四件移築
それを無理やり繋げ、一件にしてしまったという「烏合邸」
烏合というと
「烏合の衆」が出てきますが
「烏が集まって騒ぐように規律や統制がない集団のこと、
または秩序がない軍勢という意味のことわざ」
それも踏まえての名前をつけたのでしょうか。
そこにある条件をつけて集めた人々に住まわせて
手記を書かせました。
その手記にまつわるおはなしです。
四件の部屋
黒、白、赤、青
四色になぞらえてつけられた部屋(もとは各一つの家や部屋)
この家が建てられたのは、まだ冷蔵庫がなかった時代なので
昭和中期の、
たぶん戦後のことかと思います。
・黒い部屋 ある母と子の日記
シングルマザーの母親とその息子 。
この部屋と職場を提供する代わりに、
日記をつけるのが条件だったようです。
母親が働いている間、未就学児の息子はその部屋でお留守番。
もしくは近所で遊んでいるようです。
ですが、部屋の様子が徐々におかしくなり
息子の話す内容もなんだか不思議になっていきます。
そして会社の人にも妙なことを言われるようになってきます。
そして母親の手記もどんどん変化が…
・白い屋敷 作家志望者の手記
作家志望の若い男性の手記です。
「黒い部屋」の母子のように、手記を書くことが条件で入居したようです。
母子の部屋とは違って、こちらは完全に家です。
隣り合ってくっついているのに、向こうは部屋
こちらは一軒家なのでちょっと奇妙です。
この男性はここに作品を完成させるためにやってきました。
ですがどうも集中できません。
ざっ…ざっ…と妙な音が聞こえるのです。
男性は作品を完成させることが出来るのでしょうか。
この手記の面白いところは
黒い部屋の正体が書かれているところです。
忌み家がくっついて一軒家になってることは
この彼には大家は話してるようですが
どうも母子には教えていなかったようです…
・赤い医院 某女子大生の録音
元は歯科医だったという建物に、テープレコーダーを持った女子大生が入り
口述でレポートする内容です。
建物に入って、各部屋ひとつひとつその様子を話す女性。
木造家屋にあとから無理やり歯科医部分を増築されたため
階段も急で狭かったり、座敷からはじまったりと
奇妙なつくりとなっています。
ひとへや、ひとへやと見ていくうちに
誰かに見られている気がしてきます。
最初は気のせいかと思っていましたが
彼女は何かを目撃します。
・青い邸宅 超心理学者の記録
大学にて助教授をしていますが、実は裏では超心理学の研究もしてるという筆者。
三月某実に烏合邸の該当建物に調査にやってきます。
数日かけて各部屋を確認し、超常現象が起こりそうな部屋にめぼしをつけて
機材などで調査することに。
その建屋にはすでに15、16ほどの少年が入り込んでいました。
依頼主が調査の手伝いとしてよこしたのだろうと
彼と一緒に調査をはじめます。
初日に撮影した写真にあるものがうつり
二日目にもよく似た痕跡がうつっていたので
その部屋に彼女は泊まり込むことに。
それまで違和感がつきまとっていたのに、
興味が勝ってしまったのです。
そしてその夜彼女はふと気づいたことがあります。
よんでみて
今回も
二つ目の話と
三つ目の話の後にそれぞれ「幕間」があります。
それでは各話を読んだ著者と編集者の感想や
気付いたことなどが書かれています。
今回は幕間が長いです。
それだけこの烏合邸が異常ということでしょう。
そして二人にも超常現象が起きてしまいます。
終章で著者は
この異常な忌み家である烏合邸について
「とある能力をもった女性が妊娠し出産したら
どのような子どもが生まれるかを試すためだった」
と結論づけています。
最後に二人はこの本を出版するかで話し合います。
自分たちが奇妙な体験をしてしまった以上
読者もそのような体験をしてしまうのではないか?
そう話してはいますが
結局のところ出版され
私たちの手元にやってきています。
これを読んで奇妙な体験をされた方はいらっしゃいますか?
【あらすじ】
「幽霊屋敷って一軒だけで充分に怖いですよね。
HonyaClub より
それが複数ある場合は、どうなんでしょう」
知り合いの編集者・三間坂が作家・三津田の元に持ち込んだのは、
曰くある物件を継ぎ接ぎした最凶の忌み家、
そしてそこに棲んだ者達の記録。
誰が、何の目的でこの「烏合邸」を作ったのか?
怖すぎると話題の「幽霊屋敷」怪談、再び!
【本日のサムネイル】
いわくつき物件のイラスト
過去に事故や事件など何かしらの問題が起きて
いわくつきとなった事故物件のアパートのイラストです。
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