比嘉姉妹シリーズの５作目、今回は短編集です。
短編集は「などらきの首」（３作目）に次いで２冊目です。
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作品は5作
・鏡
・わたしの町のレイコさん
・鬼のうみたりければ
・赤い学生服の女子
・ぜんしゅの跫
上記５編から構成されています。
・鏡
結婚式に行くために朝から身支度をしている男は、身重でつわりがひどい妻に
休む前に自分の食事の支度を要求する。
それに妻が白い目で見てることに気づいてはいない。
結婚式場の隅に置いてあった鏡をみて、その後披露宴に参加するも何かがおかしい。
浄玻璃の鏡は閻魔様の横に置いてあるもので、
本人がしてきたことが映し出されるという。
男が体験したことは20数年後本当になるのだろうか。
この話には比嘉琴子が登場します。
もはやこのシリーズに登場の配偶者（男）はクソという
形式がおなじみになっていますね。
・わたしの町のレイコさん
一つの刑事事件と、都市伝説。
都市伝説は実は本当かもしれない。
ひとくみのカップルはその真実を紐解こうと
その噂を調べ始めますが…。
事件後の両親の行動が恐怖でしかありません。
彼が都市伝説ではなく本当になったのは、
ある意味呪いなのかもしれません。
・鬼のうみたりければ
真琴の彼氏である野崎にかかってきた電話からはじまる。
行方不明になった兄が、30年後弟夫妻のところにやってきた。
弟のふりをし仕事をして、母親の介護もしてくれる兄。
その兄がまた突然いなくなり、数日後また帰ってきた。
そのころから弟の様子がおかしくなっていく。
枕草子から思いついたアイデアらしいのですが
枕草子にそんなエピソードがあったのか！
＆
地域伝承の形式も取り入れており
「そういう伝承があるのか」
と思ってしまったほど自然です。
・赤い学生服の女子
事故で入院した先の病院で
毎晩同じ部屋の入院患者が亡くなっていく。
前日まで元気だったのに
「赤い学生服の女子に会いに行く」
そう言い残して翌朝にはいなくなってしまう。
私は夜中に部屋を抜け出していく同室患者の後を追った。
怪異がオバケ、
夢の中で起きたことが現実にも影響を与えているという
ちょっと珍しいパターンでした。
3巻に出てくる比嘉晴美（琴子の妹で、真琴の姉）が登場しますが
こういう再登場もアリなのか！と驚きました。
ラストが澤村節！でした。（もやもや）
・ぜんしゅの跫 （あしおと）
夜中に姿の見えないものに襲われるという事件の調査に乗り出した野崎と琴子。
足音だけが聞こえるそれはいったい何なのか。
自分たちも襲われてから、解決するまでがジェットコースターのごとく
スピード感で「読ませる」ものでした。
今回妹の真琴は怪我をしていて調査には同行していませんが
だからこそ解決した事件なのかもしれません。
シリーズを通して読んでいるからこそ
琴子と真琴がこのような話に登場してることににっこりです。
ラストも不穏な雰囲気がなくて安心しました！
（ちょっと物足りなくも感じましたが、「赤い学生服の女子」が継いでいるのでしょう）
まとめ
今回の短編集は
民族伝承や古典、都市伝説など
物語からのアイデアが多かったようです。
私たちが気づいていないだけで
創作のアイデアは無数に身近にあるということなのでしょう。
それだけに今回の短編集は
今までのものより読みごたえがありました。
ホラー小説としてはやや物足りない部分もありますが
著者独特の世界観は今回も十分です。
個人的には
「赤い学生服の少女」の最期をどう考えればいいのか
迷うところです。
「ぼぎわんが、来る」のラストと似たような
もにゃもにゃ感が残っています。
【あらすじ】
足音が背後に迫る。
HonyaClub より
かり、かり、がりっ―。真琴と野崎の結婚式。
琴子は祝いに駆け付けるが誤って真琴に怪我をさせてしまう。
猛省する琴子は真琴に代わって、
通行人を襲い建造物を破壊すると噂の「見えない通り魔」の調査に乗り出す。
不気味な足音を頼りに追跡した通り魔の姿は、
余りにも巨大な化け物だった…。
果たしてその正体は！？
論理的にして大胆な霊媒師・比嘉姉妹が
怪異と対峙する書き下ろしの表題作ほか全５編を収録！
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【本日のサムネイル】
キメラのイラスト
ライオンの頭、
ヤギの体、
毒蛇の尻尾を持つギリシャ神話に出てくる怪物、
キメラ（キマイラ）のイラストです。
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