「私はフーイー 沖縄怪談短篇集」を改題し
このタイトルとした本書は舞台が沖縄の名もなき島々という異色の短編集です。
著者は東京都武蔵野市出身ですが、29歳に沖縄に移住したとのことで納得です。
七つの短編から構成されています
弥勒節
クームン
ニョラ穴
夜のパーラー
幻灯電車
月夜の夢のかえりみち
私はフーイー
七作の短編からなる本書です。
全体的にどの話も、日本特有のじめっとした感じではない
暑い熱気、空気感とそこに存在するであろう植物と土のにおいのようなものが感じられます。
じっとりと汗を皮膚に感じる
そんなわけはないのにと思いながらページをめくりました。
七編のうち印象深かった二作についてご紹介しますね。
「私はフーイー」
タイトル作であった「 私はフーイー 」
フーイーからヤエマ、そしてマヤ。
フーイーから二度、その記憶をもって生まれ変わって
最期に戦争から逃げた時
最初の、原初のフーイーの能力に目覚める。
これは民話そのものです。
生まれ変わる民話は各地にさまざまありますが
近代の話でこのような珍しいうえにものかなしいです。
生まれ変わっても、大好きだった人たちはもういない。
この島の人々と暮らしていければ十分だったはずなのに
なぜ能力があって、なぜ生まれ変わったのか。
最期に鷺となった彼女が生まれた島に戻れますようにとただた願う。
「夜のパーラー」
一方で「フーイー」と真逆だったのが「夜のパーラー」
いつもは通らない道を入っていった末に見つけた小さなパーラー。
パーラー:沖縄県に見られる簡易店舗。
Wikipediaより
常設の露店で、天ぷらやハンバーガー、タコス、沖縄そばなどの軽食を販売する
そのパーラーで働く一人の女性。
二度目の訪問でその女性チカコとねんごろになった男は
彼女からオバアの殺害を依頼される。
家族に不幸がありオバアに頼って13歳で島にきた彼女は
無理やり売春させられていたのだった。
その後お付き合いをはじめた女性ができたことで
パーラーにいくのをやめた男に電話が来て…。
たぶんこれは舞台が島ではなかったら
よくあるサスペンス系怪談になってしまうと思います。
この舞台だからこそ生々しく、こわい。
ショートフィルムにできそうな怖さがあります。
よんでみて
湿度が高く、むしむしした雰囲気が
読んでるこちらにまで伝わる筆力のすごさを感じてほしいです。
夜にまつわる話が多いですが
どの夜も全く異なる姿をみせてくれるので
それもよみどころですよ。
著者:恒川光太郎
出版社:KADOKAWA
発売日: 2014/12/25
【本日のサムネイル】
月夜の背景素材
三日月が浮かぶ夜空を描いた背景素材です。
コメント